冬の夜釣りでじみーに、しかし意外にもうれしい獲物が
エゾイソアイナメ。
全国的にドンコと呼ばれていて、そちらの方が通りが良い。
黒くてぶねりんとしたルックス、それに冬の夜釣りで釣れてくるとあって一般的な知名度は低く、深海魚の仲間だと思っている人も多い。
実際は、外洋に面したやや深めの漁港などでは簡単に釣れる魚で、場所によっては身近な存在といえなくもない。
そもそも和名が馴染みの悪さを喚起している。
蝦夷とついているが西日本でもしばしば釣れるし、黒くぬめっとしていてアイナメにはちっとも似ていない。
なお、よく個人サイト等で「エゾアイナメ」と表記しているものがあるが正しくは「エゾイソアイナメ」です。エゾアイナメという魚は正真正銘のアイナメ属に存在します。間違った情報を垂れ流しているウェブサイトは至急修正して!
エゾイソアイナメとチゴダラってどう違うの?
さてこのエゾイソアイナメ、最近徐々に釣りものとして知られてきており、その肝の美味さも相まって、一部釣り雑誌などでは「ドン様」などと読んでカルト的な人気を博している。
しかし、よく似た同属の魚「チゴダラ」と混同したまま扱われていることも多い。
学者にとっても混乱の種だそうで、同種として扱うべき、という説も出てきているようだ。
僕も最近までは何が違うのかいまいち分からなかったが、先日の深海釣りでチゴダラを、そして先週の夜釣りでエゾイソアイナメを手に入れることができたので、比較をしてみることにした。
どんこくらべ
チゴダラ
東京湾海底谷、水深580mから釣り上がってきた。完全な深海性と思われる。
餌はサメ短。
全長は50cmほどと大きくなる。
目がやや小さく、吻が尖る。(エゾイソアイナメと比較して)
胃袋の中身はサメ短ばかりだったので、身餌がお好きな様子。
身質は非常に柔らかく水っぽい。火を通したら非常においしいことは知っていたがあえて刺身に。
身の味はあまりないが、肝と一緒に食べたら非常においしかった。
エゾイソアイナメ
三浦半島先端部の某漁港で夜釣り中、水深3mから上がってきた。
図鑑などを見ると、目が飛び出している写真があるため深海にも棲息しているのかもしれない(チゴダラと混同している可能性もある)
餌はこちらもサメ短。
全長は31cm、この種ではほぼ最大サイズと思われる。
チゴダラとくらべて目が大きく、吻は短くて丸みがある。
顎の下に一本だけ生えたひげがかわいらしい。(これはチゴダラにもある)
胃袋はパンパンに詰まっており、量の多い順にアミコマセ、イソガニ、小魚、エビなど。どうも甲殻類が好きなようだ。
コマセで寄せて沖アミ餌をつけた胴突き仕掛けで狙うのがよいかもしれない。
こちらも刺身で賞味。
身は柔らかいがはっきりとした弾力があり、甘みもあって十二分においしい。
カワハギのように肝和えにしたら絶品だった。
気軽に釣れるのもいいよね
もちろん個体差もあると思うが、エゾイソアイナメのほうがチゴダラと比べて味が濃くて美味いと思う。深海性と浅海性の違いに因るのかな?
チゴダラのほうが大きくなるが、陸からも気軽に釣れると言う点も踏まえて言えば、エゾイソアイナメのほうが有り難いターゲットであるかもしれない。
店で購入するものだと、鮮度の問題で刺身や肝和えは難しいので、食べたければ自分で釣るしかないからだ。
理想の釣り方も見えてきたので、この冬は三浦に通ってエゾイソアイナメの釣りと料理について、いろいろと調査してみたいと思う。
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