先日、ほぼ2か月ぶりに焼津・長兼丸さんに乗船させていただきました。
目当ての壁サーです pic.twitter.com/Rm0k0LeWRI
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月9日
前回の目的は
「深海のオオグソクムシ漁を見学・手伝いさせてもらい、混獲されるデトリタスの標本を作る(という名目でブログネタを確保する)」
でしたが、今回の乗船目的は
「深海漁においてより高度な労働力を提供すると同時に、得られた知見を自身の深海釣りにフィードバックする(という名目でブログネタを確保する)」
です。
果たしてうまくいったのでしょうか。
今回は前回よりさらに1時間早い午前4時出船、そのため川崎を出たのは夜中の1時。
睡眠時間0のまま、wakiyaku氏の運転する車で焼津に向かいます。
深海延縄ティア
「前回、変な生物を嬉しそうに持ち帰った茸本さん御一行」ということで長谷川船長・一孝さんおふたりのおぼえもめでたく、乗船一番「うちから持ってったもので腹壊しても知らねーかんな!」とありがたいお言葉をいただきます。自己責任という言葉が大好きな茸本です。
開店準備です pic.twitter.com/Ni9wM13eyk
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月9日
解凍した餌を切り。延縄の仕掛けを投入しやすいように準備して、5時ごろ出港。
前回より長い距離を走り、いい感じの揺れに体が慣れてきたあたりでポイントに到着です。
かなり沖に来ましたが、水深は駿河湾にしては非常に浅い500m前後とのこと。なるほど、このあたりに深海釣りのヒントがありそうですね。
延縄漁は言葉こそ有名ですが、実際はどんな漁なのか分かっていない人も多いのでは。
まして「深海の延縄」となると全く想像がつきません。かくいう私も(延縄漁)童貞でね……
というわけで船長のすぐ前で手伝いをしつつ、興味深く眺めておりました。
深海延縄を簡単に説明すると
「2つのブイの間を渡したロープに、針が4、5本付いた胴突き仕掛けを等間隔でひっかけ、さらに一定間隔で大きな錘をロープにかけて、仕掛け全体を海底にべったり這わせる」
といった感じです。
深海魚はピンポイントで仕掛けを落とさないと釣れてくれないので遊漁(遊びの釣り)では難易度が高いのですが、延縄はポイント周辺にびっちりと針を落とせるので釣りの効率が良くなります。
網と違って環境も破壊しにくいし、獲れたものの価値も高い(一般的に魚は網で獲れたものより釣りもののほうが高く売れる)のでいいことばかり。
とはいえ、-500mの海底まで延縄の仕掛けを落とすのはもちろん簡単なことではないです。
時間も設備も特別なものが必要、さらに広大な駿河湾でピンポイントに釣れる場所を見つけるのは誰でもできることではないでしょう。
延縄は筒漁や籠漁と違って、比較的すぐに結果が出るのが良いところ。
深海魚は基本的に「飢えて」おり、餌が来るとすぐにバクッと行くみたいで、長時間放置することが良い結果にはつながりません。
むしろ「一寸先は餌」とでもいうべきか、釣れた魚が深海ザメにかじられたり、深海アナゴやグソクムシに貪り食われてしまうことがよくおこります。
高級魚を骨格標本にされてはたまらない、ということで、今回は投入から1時間半後に回収していきます。
最初のうちは何もかからず、船上に不穏な空気が漂い始めましたが、しばらくすると
本入荷しましたー pic.twitter.com/KpSLmXx8Ee
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月10日
赤いのキター!!!
次々入荷してます pic.twitter.com/GxqHTcCnwN
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月10日
今回の漁の本命、アコウダイ(ホウズキ混じる)です。
釣りものは市場価格で10000円/匹ほどもする超高級魚。
遊漁では1日に1尾出れば幸運という魚ですが、さすがは延縄、連続して釣れ上がってくる通称「提灯行列」も見られました。
そして、そこに同じくらい混ざってくるのが
ゲホウってこんなでかくなるの……!? メーター近いんだけど pic.twitter.com/6GfRxJL3gg
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月10日
深海釣りの代表的な外道「ソコダラ類」です。
最近の深海ブームとともにその味の良さが知られてきた魚ではありますが、アコウダイの前にはどうしたってかすんでしまいます。
めっちゃでかいのも数匹上がりました。
そのほか、深海アナゴ類や深海ザメ類などブログネタまっしぐらな釣果が混ざってきたあたりで、特別ゲストが登場。
新人作家が捕獲された pic.twitter.com/GgOZW44pPv
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月10日
世界最大の甲殻類・タカアシガニ。
延縄は針の数が多いので、脚に絡まって会場まで引き上げられてくることがあるのです。
今回は3匹混ざりましたが、そのうちの1匹は
超大型新人キター!!!!! pic.twitter.com/gpdgr1tNqC
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月10日
化け物!!
ハサミ脚の長さは130㎝、脚を開くと3m近い超絶巨大サイズです。
こんなでかいの水族館ですら見たこと無い pic.twitter.com/sevBxt7NmO
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月10日
片方のハサミが130cmあるタカアシガニがこちらです pic.twitter.com/MmRHQzWytd
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月10日
大きさ分かるかな……握っているのがぼくの手です。
これでも長兼丸市場2番目のサイズらしくて、海底にはもっとヤバい奴がいるんだろうなーと思うとオシッコちびりそうになります。
あわてて甲板後方の「トイレとされている穴」に足を運びました。
漁果は上々……に見えますが、一孝さんに来てみると「ビミョー」とのこと。
獲れるときはもっと大量に獲れるようですが、根こそぎ獲っていかないのが延縄漁のいいところでもあります。
そして、我々のお土産も大漁。。。
タカアシガニを一匹いただいた pic.twitter.com/jb10tVfHAS
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月10日
タカアシガニも1匹いただいてしまい、wakiyakuさんのデカいクーラーボックスでも全く足りず、あわてて発泡スチロールを恵んでもらう羽目になりました。
まったく申し訳なく、そしてありがたい限りです。
という形で今回も楽しくお手伝いさせていただいたわけですが、作業中に何度か船長が「このグループはちゃんと手伝うからいいね」をおっしゃるのが耳に入りました。
どんな人でもウェルカムの長兼丸さんですが、乗せてもらっておきながら全くお手伝いしない人も、少なからずいるようです。
ぼくみたいに深海生物目当てで乗船する人間は当然ですが、たとえそれが研究・研修目的であったとしても、無償で乗せてもらっているんだったら手伝いはするべきでしょう。
別にむずかしいことは何も指示されませんし、危険も伴いません。あと作業が楽しい。
手伝える人なら作業も楽しく、長谷川さんも助かり、そして「また乗りにおいで」と言ってもらえるといいことずくめです。
マジで最高のイベントです。焼津がもう少し近かったら毎週末乗りに行きたいくらい。
またすぐにでも乗りに行きたい。どなたか車出せる方お声をかけてください。。
手伝える人ならだれでもウェルカムです。
帰りにさわやかにも寄っていけるぞ。。
コメント
はじめまして、榎本さん。
伊豆在住の、scalperと申します。何年も前から、blog楽しく拝見させていただいてます。今日も楽しそうだな~と読んでたら、絶好のお誘い?
ちょっと変わった生活してるので、伊豆に居ないことも多いですが、タイミングが合えば、是非ご一緒させてください。船酔いしなければ、精一杯、お手伝いさせて頂きますw