先日の深海延縄漁ではタカアシガニが3体登場しました。
タカアシガニは現在のところ日本と台湾の近海からのみ採取されている、世界最大の甲殻類。
生体は世界中の水族館から引き合いがあるほどで、今回採れた最大の固体も「水族館に生物を卸す水産会社」が買い取ってくれることが決まったそうです。
こいつはマジわろけるくらいデカくて、水揚げの際、初めて影をとらえたとき船上のだれもが「丸いものがくる……エイかな?」と思っていたら、やがて脚が見えてきて「カニじゃんカニ」「デケェwwww」「タ……タモタモタモタモ!」みたいに大騒ぎになりました。
深海漁はとんでもなく意外なものが来るのが魅力だと長谷川船長もおっしゃっていましたが、にしてもこんな歓待を受けると駿河湾がますます好きになってしまいますな。
タカアシガニを食べる
獲れた3匹のうち、最初に揚がってきた小型の個体は船長が「くれてやる!」とプレゼントしてくれました。
脚が細く、2本欠損しているので市場価値はやや下がるものの、より美味しいとされるメスでこのサイズなら、直売所で買っても5,6000円はするのではなかろうか。
まったくありがたいことです。
このサイズでも家庭で調理するにはデカすぎるので、
脚を切って
蒸したり、
焼いたり、
しゃぶしゃぶしたりして食べます。
殻に独特なメロン様の風味があり、蒸し上げたときにその香りに一瞬ぎょっとしますが、慣れるとそんなに気にならない。
カニミソはもうちょっと変わった香りがしてダメな人はホントダメ、でも通はこれに身を漬けて食べます。
モヤさまで三村が「くさうま」って言っていたけど、さもありなん……という感じですね
あ、タカアシガニの脚を切って調理する時は、切断面にダイコンを詰めて調理すると余計な水分が入っていかなくていいですよ。
タカアシガニ、食べてみたいよって人は戸田の「の一食堂」がおすすめです。
以前記事を書いているので、よろしければそちらもご参照ください↓
https://www.outdoorfoodgathering.jp/shell/takaasigani/
でも、主役はエボシガイ
でもね、今回一番嬉しかったのは実はこのタカアシガニの、甲羅についてた
これ。
エボシガイの一種、ヒメエボシ。
HP終わったのでブログかきます pic.twitter.com/p5CZNezPuj
— 茸本朗(野食ハンマープライス) (@tetsuto_w) 2018年2月14日
エボシガイは貝とついていますが、甲殻類の一種です。
蔓脚(まんきゃく)という形に進化した脚で餌を絡め取って食べるという点ではフジツボ、そしてカメノテと同じ。
固着生活をするという点でも共通していますが、フジツボやカメノテは岸壁などに付着しやすいのに対し、このエボシガイの仲間は浮遊物や生物につくことが多いようです。
まあ、住処が移動してくれたほうが餌も採りやすいからね。
このヒメエボシは深海性で、タカアシガニの甲羅にくっついて揚がってくることがしばしばあるそうです。
標本としても貴重だとは思いますが、茸本にとっ捕まったからにはやはり食べられてもらわねばならない。
エボシガイを食べてみた
しかし、食べるといっても小型種のヒメエボシ、果たして食べるところはあるのか……?
カメノテでは腕(胴)の部分の皮を剥いて筋肉を食べますが、ヒメエボシの腕は非常に小さい。
とりあえず、そのまま生で行ってみましょう……
……(´・~・`)
殻の食感は二枚貝(石灰質)よりは甲殻類(キチン質)っぽくて、食べられなくもないのですがやはり硬い。
我慢してバリバリと食べていると時々フワッと甲殻っぽい風味が上がってくるのですが、旨味というほどには至りません。
これは、そのものの味を楽しむより、いっぱい集めて出汁をとる方向で考えたほうがよさそうだね。。
カメノテ、フジツボともに大変良い出汁が出るので、水から煮るだけで良い出汁が出るのですが、ヒメエボシはどうでしょう。。
……
……あじしない(;ω;)
どんなに煮たてて、煮詰めても、味は出てきません。
香りすら出ないぞ……おまえ、ホントに甲殻類か??
味:★☆☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
もっと大型になる種類だったら美味しいのかな~?
手に入れて試してみたい……
コメント
こんにちわ。
愛知の市場では、タカアシガニの価値が戸田より低いらしく、2~3000円程で売っていますよ。僕も、蒸し蟹で何度かトライしていますが、なんとなく微妙な味になってしまいます。
今後、茸本さんがおいしい食べ方を見つけてくれることを期待しています。
はじめまして!いつも更新楽しみにしています♪
学生時代にウミガメの体表に着くフジツボやエボシを研究していて、アカウミガメは食べたことあったのですが、エボシガイ食べようって思ったことありませんでした!!
思えばカメフジツボとかレアキャラがいつでも手に入ったのに…