先日よりネタにしております「深海ダラ」ですが、「ホントにタラなの?(疑い)」というお声をちょいちょい頂戴しております。
まあ、この異形っぷりを見たら、にわかには信じられない……というのもわからんでもない。
実はタラ目というのは現時点で9科・550以上の種が含まれることが分かっている、魚類の中でも比較的大きいグループのひとつです。
なのでタラ目というだけで「タラ」と言ってしまうのは、フグ目に含まれているという理由だけでマンボウやカワハギをフグと呼んでしまう程度には雑な行為と言えるかもしれない。
ただ一方で我々ヒトは、食材として同じように利用できるという根拠で「ヤドカリをカニと呼んでしまう」ことも辞さない生き物です。
であればこれらの深海ダラも「タラと同じ利用法が可能」ならばタラと呼ぶことに何の遠慮もいらないのではないか。
実際のところ、筋肉部分の身質は(ソコダラ類とチゴダラ類で多少の差はあるが)タラ同様にふわふわした繊維質で、同じように利用できることが分かっています。
であればあとはそのほかの内臓部分も、タラと同じように利用できるか、試してみる価値はあるでしょう。
ということでやってみました。
深海ダラの卵で辛子明太子を作ってみた
使うのは
この馬鹿でかいソコダラ(ミヤコヒゲ? ズナガソコダラ?)の
卵巣です。
そう、鱈の卵といえばやっぱりタラコ、もしくは明太子。
福岡育ちのワイにとってはご飯のお供といえばやはり辛子明太子でありまして、ぜひとも作らねばならぬと思ったのです。
ところで「明太」というのはスケソウダラの朝鮮語名だそうなので、明太子はスケソウダラの卵巣で作ったものでないとそう呼んではいけないそうですが……
辛子明太子のつくり方はざっくりいうと
①塩で下漬けして余計な水分を抜く(半~1日)
②辛いたれに本漬けする(3~7日)
という感じです。
ソコダラの卵巣はかなり水っぽいようなので、①の下漬けは長めにとることにしました。
全体にたっぷり塩をまぶし、ジップロックに入れて一晩放置
……えっらい水分でたなぁ……
水分を捨て、もう1日おいてなじませてから取り出しました。
当初よりはかなり水分が抜けたけども、まだぶよぶよしてますね。
これはもうしょうがないかな、しょっぱくなりすぎてもしょうがないしね。
これをさっと水洗いして水分を拭き取っておきましょう。
白だしとみりん、日本酒を合わせて煮切ったものに
粉とうがらしを入れて本漬け用のたれを作ります。
ここに、下漬けを終えた卵巣を漬けて、数日漬けます。
3日目。
ちょっと早いけど、待ちきれないので取り出してしまいました。
良さげ。
さて通常、明太子を自作する際はこの時点で一晩冷凍するという行程が入ります。
なぜかというと
お前らの大好きなアニーちゃんがいっぱいいるからですね。
関東で購入できるスケソウダラは鮮度が落ち気味なこともあり、開腹すると大量のアニサキスが跳梁跋扈しているのはごくフツーの風景です。
たのむからそんなもので明太子自作しないでくれよ、アニーいなくてもリステリアでお腹いたたしちゃうぞ。
たとえ鮮度が良くても、スケソウダラの卵巣にアニサキスがいる率は極めて高いので、一度凍らして駆虫しておくのが良いわけですね。
ひるがえってソコダラですが、アニサキスはいるときもありますが比較的まれです。
やつらは1000mから釣れてきた魚にも寄生するレベルの根性を持ち合わせていますが、本来はオキアミを食べる魚と、それを食べる魚食魚の体内に寄生するもの。
スカベンジャー(腐肉食)の傾向が強いソコダラの体内にたどり着くことは少ないのではないか、と思われます。
コツが分かれば目視でも取り除けますし、今回は冷凍しなくても大丈夫でしょう。(寄生されたら指さして笑ってください)
炊き立てごはんに乗せて……
……(≧~≦*)
ウマー!!!!
ちょーっとしょっぱいけど、これはまごうことなき明太子!
粒は本家よりも細かく、水っぽさもあってはらはらとほどけやすいのですが、味は完全に明太子です。
ご飯が止まらねー!!!!
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
というわけでソコダラはタラ、これはもう間違いないです。
初めて明太子作ったけど、結構うまくいくもんだね。
卵巣がデカいからまだまだ楽しめそうです。明太パスタ作らなきゃ……(使命感)
コメント
いつも楽しく拝読しております。
深海明太子、おいしそうですね!
明太子がいけるのでしたら、腸でチャンジャも作れてしまうのでしょうか?
鉄腕クローザーのアニーさん(笑)
これを見ると下処理の重要さが解る。