ソウダガツオは夏の魚のイメージが強いが、今回定置網に一匹だけ入っていた。
一本釣りで穫れたものと違って、定置網のなかで暴れまわったためか傷だらけになってしまっており、挙げ句の果てにはイカにかじられて欠けてしまっている。
一本100円ほどだったと思うが、鮮度が命のカツオ、正直購入をかなり迷った。
それでも購入に至ったのは見た目の割りに身に張りがあり、目が綺麗で、そしてヒラソウダだったからである。
マルソウダとヒラソウダの見分け方については、ネット上にわかりやすい情報が溢れかえっているのでここでは詳しくは語らない。
ヒラソウダ→デブガツオ
マルソウダ→ロウソク
という地方名が外見の差をこれ以上ないほど表現しているので、これだけ覚えておくのもよいかもしれない。
ソウダガツオはみりん干しが美味い
さて、ヒラソウダとはいえ、生食は流石にヒスタミンが怖い。
薬剤師の友人が「抗ヒスタミン剤を飲んでから食べればいいよ!」と言っていたがさすがにそこまでする気にはなれない(笑)
こういう時、僕はみりん干しを作ることにしている。
その理由として、
1.立て塩をするので身のなかの血液(とヒスチジン)が抜ける
2.カツオとしては小さいのでちょうどよく干しあがる
3.血合い肉とみりん醤油がよく合う
などが挙げられる。
実は自分で考案したのではなく、かつて戸田に船釣りに行ったときに船宿がお土産にくれたものなのだが、これがとてもおいしく、それ以来自分でも作るようになったのだ。
そこではヒラソウダではなく、全身血合い肉のようなマルソウダを使っていたのだが「マルソウダってこんなに美味しいのか!」と驚愕した記憶がある。
作り方は非常に簡単で、サク取りした身を30分ほど立て塩にし、その後みりんと醤油を1:1に混ぜた漬け汁に3時間~一晩ほどつけて干し網で1昼夜干すだけだ。
個人的に甘いみりん干しが好きなので、ソウダの場合は特にみりん多めで作ることが多い。
出来たのがこれ。
これを焦げないよう、フライパンでじっくり焼いて食べる。
上手くできるととてもしっとりとした美味しいみりん干しになる。
味:★★★★☆
価格:★★☆☆☆ 居酒屋とかで出せばいいと思うよ
なお、血合い肉が多いマルソウダの方が、美味しいみりん干しとなるように感じるのだが、青魚でじんましんが出るタイプの人はやめておいた方が無難だ。
ソウダガツオのちんこを食べる
さて、基本的に捨ててしまうカツオの内臓だが、一つだけ気になるものがあった。
それがこの
心臓。
以前アナハゼの記事でも書いたが、カツオの心臓は鹿児島などでは「かつおのちんこ」と呼ばれて珍味として親しまれている。
一心房一心室の魚の心臓は、言われてみると男性器に似ていなくもない。
今回、ヒラソウダを買うにあたってぜひ試してみたいと思っていた。
捌いてみると、本家カツオと比べると非常に小さいが、それなりの大きさの心臓がとれた。
これを良く血抜きして塩水で洗い、同様にみりん干しにする。
食べてみると、きんたま心室は鶏のハツによく似て歯ごたえ良く、棒心房は非常に硬くて噛み切れない感じだが、総合してなかなか美味しい珍味だと思う。
味:★★★★☆
価格:★★☆☆☆
夏になると伊豆中の港で釣れ盛るソウダガツオだが、これまでは捨てられるか、なまり節にされておしまい、ということが多かったと思う。
ぜひ、甘めのみりん干しにして血合いの美味さを味わってみてほしい。
コメント