昨日の話の続きってわけじゃないですけど、山菜と言ったら「芽」という感覚は一般的なものかと思います。
タラの芽、ゼンマイ、ヤブカンゾウ……木本、草本、シダなど違いはあれど、いずれも新芽の部分を利用するものです。
とくにタラの芽やウドのような木本の新芽を食べる山菜は人気が高く、山菜の代表格として扱われることも多いです。
「木の芽」というだけでおのずと山菜のことが連想される人も多いでしょう(とくに野食クラスタには)。
そういう皆さんに「木の芽」と呼ばれる山菜があるんだよ、とお伝えしたら、何を連想されるでしょうか。
上記のもののほか、通どころではハリギリ、コシアブラ、ウコギなどを思い浮かべる方もいるかもしれない。
でも、実はそれらではなく、もっとマニアックなものを指します。
「キノメ」ことアケビの新芽は美味しいのか
キノメ、とは山菜の世界では「アケビ」もしくは「サンショウ」の新芽を指すことが多いです。
サンショウは山菜というよりは香辛料に近い扱いなのでおいといて、果樹の利用がメジャーであるところのアケビの新芽が、あらゆる「木の芽系山菜」の代表格的な名前になっているの、結構意外な気がしません? しないかな?
小学生時代のワイはそう思ったんよ。
そもそもアケビは木本とはいえつる植物で、あんまり「木の芽」ってカンジはしないと思うんだけど、それでもこのような名前が付けられているというのはそれだけ親しまれてきたからなのかとは思います。
ぜひ一度食べてみなくては……と長年思っていたのですが、都心近郊だと新芽がたくさん採れるほどアケビが生えているところってそんなになく、一方でガチの山に行くと高ーい木の上につるを伸ばしていて新芽を採るのが難しい。
それでいて図鑑には「アクが強く鮮度落ちが激しいので、流通にはあまり乗らない」なんて書いてあったりして購入も難しい。
何とかならんもんかなーと思っていたのですが、昨日のツワブキ同様、海沿いの集落の石垣の隙間から雑草のようにびよんびよん芽を出しているのを運よく見つけることができました。
考えてみたら伊豆に釣りに行ったときに港回りに生えているのを見かけたり、福岡にいたころは能古島がアケビの名産地になっていたりしていたし、アケビって海沿いの場所のほうがたくさん生えるのかもわかりません。
少なくとも、潮風を受けるデメリットよりは日照量が多いメリットの方を享受しているように見えます。
海岸沿いに多いのはムベという種類ですが、ここでは普通のアケビとミツバアケビを採取することができました。
持ち帰って味見してみましょう。
アケビ、なかなか侮れない
新芽の時点ではアケビとミツバアケビの違いはあまりわかりません。
アクの強さが特徴の山菜ということで、まずはカリッと揚げてみます。
……(`・〰・´)
アッこれ、予想以上に美味しい……
茎が細いからしおしおになるんじゃないかなーと思っていたんですけど、全然そんなことはなくて、先っぽに至るまでコリコリとした食感が味わえます。
そしてさらに、油にも負けないしっかりとしたコクがあります。
タラの芽やコシアブラを天ぷらにしたときのような、ナッツ類に通じるようなコクです。
これはいいね!
さらにもう1品。
「キノメ」の地方名の発祥地とされる、新潟県湯沢地方の食べ方だそうですが……
アケビのつるをさっと塩茹でにして、やや長めに水にさらします。
水気を切って刻み、溶き卵に醤油を多めに入れたものに浸して、
ご飯にオンします。
……(≧〰≦*)
うわーこれこれ! これですよ正解は!!
アケビのコクと野性味がしっかり味わえて、そこに足りない塩気と脂っぽさを卵黄が補ってくれます。
出汁醤油を使っているわけじゃないのに非常に強い旨味。
「キノメが出回ると卵が店頭から消える」なんていうそうですが、さもありなんです。
味:★★★★☆
価格:★★★★☆
やっぱりアクは強いので、水にさらす時間は長めにとったほうがいいと思いますが、それはそれとしてこの味の良さ、木の芽系山菜上位なのは間違いないです。
シンプルに食べてこんなに美味しいというのは素晴らしい。
“木の芽”は成長点そのものなので、一度採取した株からはそのシーズンは採らないほうがよく、結果として希少な山菜になるとは思います。
他の山菜同様、節度を守っての採取が求められますが、今シーズンあと2回くらいは食べたいな……
コメント
アケビの新芽を食べる地方がある、というのはコチラを読んで初めて知りました
で、さっそく収穫して(ウチの庭には小規模ですがアケビの藪があります)試してみましたが…
結構いいですね! 長めに茹でても歯ごたえは残ってるし 好みな感じの苦みもあるし。
それなりの量を一度に確保するのは手間ですけど次々延びてくるので長期間楽しめそうです
こんにちわ、新潟中越地域在住の者です。
うちはスタンダードな卵醤油のほかに、炊きたてごはんに細かく切ったキノメと白ゴマ、味塩を入れて混ぜ合わせ、小さな俵型に握ったおにぎりにしても、簡単でまた美味。