さて、いよいよ始まりました、漫画「僕は君を太らせたい!」。
本日発売のビッグコミックスペリオール14号に、記念すべき第1話が掲載されています。
やってみて思うのは、やっぱりフィクションってものすごく難しいな……ということ。
この作品の場合、環境設定は現実のもの(茸本が経験してきたこと)を使えるのでまだいいんですけど、異世界ものなどのように、全く一から状況を設定する作品は本当に大変だと思います。
この作品に出てくる食材や料理は現実にある・作れるものです。
あくまで本当に「現代社会においてサバイバルすることになったらどうする?」ということを常に念頭において話を作っていっています。
「現実に役に立つ」という事態があったら困るんですけど、もしそうなった時には役立つ知識もあろうかと思います。よかったらトリビア程度に頭の片隅に置いておいていただけると嬉しいです。
それでは皆様、よろしくどうぞ。
記念に亀ゼリーを自作してみた
さて、1話目の制作にあたり、作画担当の横山先生にもカメの味を見ていただくべく、先日キッチンを借りて取材という名の調理実習を行いました。
本当はミドリガメを採りたかったのですが、前日の雨のせいか首尾よくとはいかず、やむなくアメ横で養殖スッポンを購入しさばきました。
スッポンとミドリガメは捌く難易度こそ違いますが、基本的な解体方法やパーツの使い方は変わりません。
出刃包丁一本だけでさばいていけるのはありがたいところかな。。
オーソドックスに醤油味の鍋にしてみました。ゼラチンが非常に溶け出していてコクのある美味しい汁になります。
なんとか元気を出したい……という時に、これ以上の料理(食材)はあまりありません。
ただし、今回はもっとも美味しい部分である甲羅はあえて使わず、持ち帰ってきました。
それは「亀ゼリー」を作ってみたかったから。
亀ゼリー(亀苓膏)は知る人ぞ知る中国のデザートで、中華街などにいけば手軽に買うことができます。
名前の通り「カメの甲羅」を使って作るゼリーです。
僕が子供の頃は「中華のゲテモノ」という扱いをされていた記憶がありますが、今では美容にいいということで女性にも人気があるそうです。
本来は「ミスジハコガメ」という陸上性のカメの腹甲を用いて作るそうですが、最近ではスッポンの仲間を用いることも多いようです。
最初に「甲羅を粉末にする」という手順があり、硬い甲羅で作るのが厄介だということもあるかもしれません。
少なくとも個人が家で作るには、スッポンの柔らかい甲羅を利用するのがベターでしょう。
ということでやっていきます。
とその前に、アメ横か中華街でとある食材を手に入れておかないといけません。
それはこの
仙草ゼリーの素。
仙草とは、シソ科の植物で、干したものを煮出して常温でおくと固まる性質があります。
中国ではこの性質を用いて、ゼリー様のものを作るのですが、亀ゼリーも亀単体ではなくこの仙草ゼリーと混ぜるのが一般的です。
仙草自体にものすごいクセのある香りと苦味があり、これが亀の臭みをごまかしてくれるのでしょう。
600円ぐらいしますが、50人前ぐらいのゼリーが作れます。完全に業務用だこれ……
素を手に入れたら、さっそく調理開始。
まずはスッポンの甲羅を湯引きし、水にさらしてから表面の薄皮を剥いていきます。
剥けました。
本来はここでカチカチに干してから粉末にするのですが、それもちょっと難しそうなのでこの時点でミキサーにかけます。
すげえ泡立ってるけど……まあいいでしょう。
それより困るのは匂いです。スッポンそのものの匂いと言うか、白身魚と豚肉が合わさったような香りがします。。鍋のときはとても美味しそうなんですけど、これからデザートを作ることを考えると非常にアンニュイです。
これをお湯に溶かしておきます。
仙草ゼリーの素を鍋にあけ、そこにカメ甲羅を溶かした熱湯を少しずつ注いでいきながら、練り上げていきます。
全体がよく混ざったら、オーブンに入れて焼きます。
そう、この亀ゼリーはゼリーというよりはプリンに近いもので、ゼラチンで冷やし固めるのではなく、加熱によりタンパク質を凝固させるという手段で作られます。
焼きあがったのがこれ。
見た目は完全に固まった溶岩ですね……大丈夫かなこれ……
ひっくり返して切ってみましょう。
オッ(`・ω・´)
いいですね、ぽいですね。
亀ゼリーはコーヒーゼリーのようにでっかいブロックに切って盛り付けることが多いように思います。準じましょう。
これにクッソ甘いシロップをかけて食べるのが最もオーソドックスですが、今回は最近中国で流行っているという食べ方でいってみます。
それは、
くっそ甘いミルクティーを注いで食べるというもの。要はブラックタピオカ入りミルクティーみたいなもんですね。
いただきマース
……(・〰・;)……Σ(・ω・´)
悪くない!
と言うか亀ゼリーの味そのものです。
ベースとなる仙草の風味が非常に強く、生臭みは全く感じません。
一方で香りの奥にどこか動物的な……なんだかスタミナがつきそうなスッポンの風味が感じられます。
このバランスがなかなか絶妙で、デザートとするにもギリギリ問題のないレベルに収まっています。
ちなみに中華街で食べる本物の亀ゼリーも「ギリギリデザートと言える……かな?」みたいな味なのでそんなに変わらないということですね。
かけるシロップは甘ければ甘いほど良いと思います。
試しにコーラをかけてみましたが、
これも悪くなかったです。甲羅ゼリーだけにコーラが美味いということで。 お後がよろしくない。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
というわけで、漫画の方頑張っていきます。
もちろん他の連載やブログも変わらずやっていきます。
どうぞよろしくお願いします。
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甲羅コーラ!