2/22(金)、23(土)フェモ採取会 & 櫛田川野食会やります!
くわしくはこちらのページをご覧ください。
毎年年末に「年忘れ大採取大会」というものをやっています。
これは茸本がその年お世話になっている皆様に声をかけ、あっちこっち連れまわした挙句夜中に釣りをさせ、弱体化した状態で正月を迎えさせるというもの。
犠牲者としては銅蟲さん、マーシー、シェフちゃんなどがおり、運転人足としてこき使われたり貴重な食材を提供させられたりなどします。
で、今年はいつもやらないところでウツボを釣ろうということで、外房方面に行ってまいりました。
インターネッツを駆使し外房中のウツボポイントを捜索した結果、絶対鉄板カッチカチの好ポイントという場所を見つけまして、みんなで突撃した結果、7人で頑張って70㎝級が2尾という結果を得ることができました。もう二度と外房でウツボ狙わない……
ちなみにその2匹のウツボを釣ったのはどちらも銅蟲さんで、彼の釣りの才能はいよいよ疑いのないものとなってきています。
今年はみんなで彼を釣り沼にはめよう、まずは脂のりのり大漁確実のイシモチなんかどうかしら。
で、その2匹のウツボのうち1匹はシェフちゃんがその場で刺身にしてくれたのですが、1匹は血抜きされたままになっていました。
とりあえず一旦ぼくのクーラーボックスにしまったのですが、無事みんなに忘れられたままぼくの家まで回送されてきましたので、美味しくいただくことにしたのです。
調理法はずばり、熟成寿司。
魚を塩蔵して熟成する!?
道中、車の中で銅蟲さんに聞いたのですが、ちょっと変わった魚の熟成を行うお寿司屋さんがあるんだそうです。
そこでは魚種にもよりますが、塩蔵と言えるほどしっかり塩を利かせた状態で数週間にわたり貯蔵し、熟成をさせるといいます。
それ一歩間違うと魚醤になっちゃうじゃん……と思うのですが、熟成後に塩抜きをしてから寿司ネタにすると、やべー旨味が楽しめるすごいお寿司になっているのだそう。
しかもハモなどの小骨が多い魚も、熟成後なら骨抜きが可能になるとのこと……!
であれば「ウツボも行けるんじゃね?」という話になるのはごく自然です。
ウツボの骨抜きについては日本のだれよりも強い興味がある茸本、早速やってみることにしました。
塩蔵ウツボの寿司を作った
やることはとてもシンプル。
まず、ウツボを捌き、塩を飽和させた状態でジップロックに入れ、パーシャルゾーン(0℃強)で熟成させます。
空気を抜くべきか抜かぬべきか、それはすなわち熟成に菌が必要なのかどうかということ。
単純な脳みそで考えたら菌は腐敗が怖いし、熟成しても塩辛系の発酵臭がしてきてはしょうがないので、とりあえず今回は脱気してみました。
嫌気性細菌は発生しちゃうかもだけどそこは塩が何とかしてくれるだろう(好塩性だったらもうどうしようもない)
そのまま3週間放置。というか忘れてた。
……ちょっと色づいてますね。
熟成香、というには正直少し発酵臭に近いような香りもありますが、不快なものではありません。
少なくとも腐敗はしてない。さすがは塩です。
これを塩抜きするのですが、このときの方法がかなり大事らしいです。
まず、大きな容器に濃度1.5%、18~20℃の食塩水を用意します。
そこに塩蔵した身を投入して2~3時間ほど待つのですが、この時塩分濃度は常に1.5%をキープします。
魚から塩分がどんどん出てくるので、都度水を加えて薄めるということですね。
うちには濃度測定器などというハイテクマシンは存在しないので、自分の舌だけが頼りです。このためにワインエキスパートの資格を取ったのだ……!(違う)
塩抜きが完了したら水気を切り、少し休ませてからネタに切ります。
あ、でもその前に、骨抜きチャレンジ!
皮下埋没骨を骨抜きでつまみ、グイっと引っ張ると……
……抜けないや。
さすがはウツボ、ハモよりも身が数段硬いだけあって、熟成後も骨が抜けるまでには至りませんでした。
でもこれ、ハモの細い骨ならつるりと抜けるでしょう。
大きめにそぎ切りして、握ります。
今回は1貫のみさっとあぶりました。
できた。
いただきィ!
……(≧∀≦)キター
美味い! これは、熟成できてるゥ!
新鮮なウツボの刺身を食べたことがある人なら、あのムチムチクニクニした弾力お化けみたいな触感をご想像いただけると思いますが、熟成したウツボの歯ざわりはむしろサクサクしています。
ただ、芯の部分には弾力が残っていて、噛み切ろうとすると歯をグッと押し返すような食感があり、歯切れが非常に心地よい。
この取り合わせがとても楽しいです。あぶった方がぼくは好きかな。
味は……少し塩気が残っていますが、これは筋肉が締まりすぎていて塩の抜けに少し時間がかかったのではないでしょうか。
むしろこの塩気が酢飯によく合っていて最高でした。熟成魚は寿司にするのが前提って考えなのかもしれないですね。
懸念の香りですが、塩抜き前にわずかに感じた発酵臭は、塩抜き後は熟成香だ! と感じられるものになりました。
きっとこの手の香りは程度が大事なのでしょう。
味:★★★★☆
価格:★★★★☆
塩締め熟成、今回のが正解だったという自信は全くないですが(何せ本物を食べていないので)生の状態とは異なった味わいを楽しめた上におなかも壊さなかったので、間違ってはいなかったのかなという感想です。
銅蟲さんに聞いてみると「ともかく血を完全に抜くことが大事」とのことなので、釣れてすぐに血抜きをしたことがよかったのでしょう。そもそもウツボ、筋肉の中の血は少ない魚ですし。
面白かったのでまたやってみたいと思います。次は何でやろうかな……
コメント
いつも楽しか先生のブログを見ています。
突然ですが来月太地町に行くのですが先生からこれは食べた方がいいぞと言ったクジラの部位はありますか?
キンタマの記事は拝見しました
ありがとうございます!
部位で言えばやはり舌(さえずり)ですね……豚に似ていますが柔らかくてよりムチムチしています。
あとは部位ではないですが、鮮度の良い脂身があればぜひ刺身で食べてみてほしいですね(`・ω・´)
お返事ありがとうございます
さえずりと脂身の刺身ですね、是非食べてみます
今後も先生のブログを楽しみに待ってます
津本さんという方がやってる究極の血抜き って奴も試してみて欲しいですね。
youtubeに動画出されているので、一度見て頂きたいです。
多摩川の鯉などであれやったらどうなるんだろうとか考えてたりします。
究極の血抜きについてレスしようとしたらもう先にされてた…
完璧に血を抜いたら塩漬けしなくても熟成出来るそうです