「世界で最大の生き物」ってなんでしょうか。
皆さん子供の頃に一度は考えたことがあると思います。
生物の授業で教わる答えは「クジラ(シロナガスクジラ)」ですね。
それはもちろん正しいです。現代の生き物で、ひとつの個体で一番大きくなるのはクジラで間違いない。
でも「ひとつの個体」というくくりを廃して考え直してみると…意外な生き物が最大だったりします。
世界最大の生き物はキノコ
先日、キノコクラスタの収穫報告にあてられて、ややフライング気味に山を見に行ったのですが、さすがにちょっと早すぎたようでまだめぼしいものはなく……
フラフラとさ迷いながら標高をあげていくと、1,400mラインのモミ林の切り株に、いかにもキノコらしい生え方をしている株がありました。
これはもしや……
やった! ワタゲナラタケ!
本来はもう少し遅いシーズンのキノコなのですが、こちらもフライング気味に発生してくれていました。
ひとつの株は小さいですか、ひとつ見つけると隣の木、またその隣の木……といくつも見つかり、アルテイドまとまった量になります。
ワタゲナラタケや、近縁のオニナラタケはこういった感じの採れ方をするので楽しい。
そして何を隠そう、このワタゲナラタケこそが世界で最大の生き物とされています。
この切り株から発生しているキノコと、隣の木から発生しているキノコは実は「菌糸」と呼ばれる地中に延びる糸で繋がっています。
そしてこの菌糸が、キノコという生き物の本体。どこかで細胞が死に、また新たに生まれてを繰り返しつつ、同じ遺伝子をもった一塊の生命体として成長を続けていきます。
キノコのなかにはこの菌糸がとてつもなく大きくなるものがあり、ときに山の斜面びっしりに子実体(キノコのこと)を発生させることがあります。
しかしこのワタゲナラタケはさらにすごく、山ひとつがこの菌糸で覆われてしまうこともあるそうです。
そのサイズ、そして体積はいずれもクジラを遥かに凌駕しており、「世界最大の生き物」という呼び名もさもありなんという話。
とはいえ、ぼくらの目に見えるのはただの小さなキノコ。地中に広がる菌糸に思いを馳せつつ、晩のおかずとして子実体をちょっと頂いて帰りましょう。
ワタゲナラタケは美味しいけど食べ過ぎ禁物
採ってきたキノコはさっと洗い、石突きを取ります。
ナラタケの仲間は柄の中にみっちりと綿がつまったようになっているのが大きな特徴のひとつ。
柄を折ると発泡スチロールのようなボフッという音がするので「ボリボリ」という地方名でも呼ばれます。
いい出汁が出るキノコなので、さっと油で炒めてから水でじっくり煮ると汁がうまくなります。
今回は醤油とみりんで味付けし、鶏肉、水菜と栽培なめこを入れて鍋にしました。
……(≧ω≦)ウマー
小さいながらも歯切れがよく、ポリポリとしゃきしゃきの間の子のような食感はナラタケならでは。
ちょっと甘味のある出汁はキノコのなかでもかなり上位に来るもので、熱狂的ファンが多いのもわかります。
これが世界最大の味……!
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
ところでナラタケ類は、生きた木を枯らしてしまう「ならたけ病」の原因になる農業害菌としても知られています。
世界最大の有害動物とも言えるわけで、無邪気にすごいすごいと言ってる場合じゃないのかもしれない。言うけど。
コメント
オニナラタケが最大だと思ってた……
ワタゲナラタケのほうがデカイんです?単に観測の問題なのかもですけど