現役高校生にして研究者顔負けの知識量を誇り、最近はテレビでもご活躍の魚博士・餐場さん(@Sorari90458326)から、再び連絡をいただきました。彼からは先日、貴重な深海ザメであるオンデンザメの肉をいただき、このブログでもネタにさせていただいたばかりです。
一体今度はどんなものが手に入ったのだろうか……
「3mのカグラザメの頭が手に入ったんですけど、食べられますか?」
カグラザメ!! キタコレ!!! 食べまぁぁぁす!!
深海の生きた化石・カグラザメ
先日のオンデンザメもそうですが、水深1000m以深に棲息する深海性のサメはいずれも生体観察が困難で、深海魚の漁で年に数件混獲される程度なので標本も少なく、わかっていないことが多いです。
なかでもこのカグラザメは最も研究が進んでいないものの一つで、謎に包まれています。ただこのサメが含まれる「カグラザメ目」はいずれも、原始的なサメの形質を残していると考えられており、いわゆる「生きている化石」のひとつとされています。カグラザメはその中の最大種で6mにもおよび、深海生態系の頂点に立つ存在です。
ちなみに、カグラザメ目には現時点で7種のサメが含まれており、その中には先日釣り上げて食べた「エドアブラザメ」も含まれています。
確かにコイツなんかほかのサメと違うなと思ったわ。生きた化石だったのですね。こういう子に当たり前に出会える「深海釣り」が大好きです。
カグラザメを食べてみた
今回餐場さんの手元に届いたカグラザメはもともと3mほどあったそう。なので頭だけでも
このサイズ。やべーですなこれは。
今回ぼくがいただいたのは、その頭の肉。一般的な魚でいう「脳天」の部分になるのかなと思います。一番美味しい部位ですね。
こちらがその肉です。
これまで食べたことのあるどんなサメよりも白い、まさに雪のような白さの肉。質感はエドアブラザメやアブラツノザメと似ており、匂いはほとんど感じません。
ひとまず素材の味を知ろうと思い、一切れだけ刺身で食べてみました。(カグラザメ目は肉に弱毒を含む種もあるので生で多食はおススメしない)
……(・〰・)うーん……
……とっても、素直、ですね。良くも悪くも特筆すべきものがない。
軟骨魚類特有の塩化アンモニウム的な風味や生臭みは全くなく、誰でも食べられる味だと思います。一方でエドアブラザメのような脂が乗っている感じもなく、さっぱりとして淡白です。生食で美味しいタイプではないな。
ということで、ちょっと強めに味をつけて唐揚げにしてみました。
やや水っぽい肉質に感じるので、水分を抜くようにやや長めにじっくりと揚げてみます。
いただきまーす。
……(`・〰・´)うーむ、上品!
さっぱりしていて、噛むと口の中でクセのないジューシーな肉汁が溢れます。清廉かつ淡白な味わいで、これを嫌いになる人はまずいないでしょう。厚めの衣をつけてフライにしたら、のり弁の具にぴったりのはず。タルタルソースをたっぷりつけて食べたいですが、マヨネーズでもいいですね。
カグラザメ、淡白ながら旨味があり、じっくり煮込むとよい出汁が出そうな気がします。
なので、最近軟骨魚類が手に入ったら必ず作っている、あの料理をやってみることにしました。
新ジャガイモの芽をとって一口サイズに切ります。
海水程度の塩水を作り
カグラザメとジャガイモを入れて、ぐつぐつ煮立てます。
汁気が半分くらいになったら完成。
以前、野食会で仙人太郎さんと筋肉さんが作ってくれた「塩煮」です(正式名称はなんていうんだろう?)。
いただきまーす
……(`・〰・´)悪くない
カグラザメから出た出汁がじゃがいもに染み込み、とても美味しくなっています。汁はしょっぱいですがサメの出汁とジャガイモの旨味が染み出し、非常に上品なうま味です。皮が入っていないのでややゼラチン質にかけ、さっぱりしていますが、これはこれであり。
味:★★★☆☆
価格:★★★★☆
いやーしかし、単純にレア生物としていつか触れてみたいとおもっていたカグラザメを、まさか口にすることができるとは……感動ですね。餐場さん本当にありがとうございます! またどうぞよろしくお願いいたします!
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コメント
塩煮は沖縄料理のマース汁マース煮でしょうかね?こっちには泡盛も入れるみたいですけど
青森のほうでも似たような調理法があるそうなんです。