先日「ブログ更新1000回達成したよ(≧ω≦)ほめてほめてー」ってブログに書いたら、めちゃめちゃプレゼントいただいてビビってる茸本さんです。
ブログ1000回記念と誕生日プレゼントということで、いつもお世話になってる皆様や読者の皆様から次々とプレゼントが届いていて、本当におしっこちびるくらいうれしいです。お名前解る方には直接お礼をお伝えしているんだけど、そうでない方にはどうしたらいいんだろう……(;´Д`)
— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンターの七転八倒日記」好評発売中! (@tetsuto_w) July 19, 2020
本当にありがとうございます。とりあえず、今後もできるだけたくさん更新していくことしか恩返しできることがないので、やっていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。あといただいたものは全力で使い倒させていただきます(`・ω・´)
さてそれはそれとして、今年はうちの近所はベニタケ類の発生が大変多いです。
ベニタケ類、という言葉はほとんどの人にはなじみのないものでしょうが、我々キノコ好きの間では良くも悪くも当たり前の存在。
初夏に多く発生し、ほかのキノコがない時でも当たり前に大量に出ているのでキノコ観察者にとってはありがたいですが、一方で美味しいものはごく一部で、ほとんどが大して美味くない(猛毒とかじゃないところがまたしょぼい)ので採取派はしょんぼりさせられるのです。
また採取派でも「どんなに美味しくともベニタケは採らん」というひとも結構います。それは彼らが一様にして食感が悪く「ぼそぼそ」しているから。キノコにあのしゃきしゃきぽりぽりといった食感を期待する人たちにとって、ベニタケ類の「歯ごたえの弱い高野豆腐」を噛むような質感はまさに悪夢でしょう。
というわけでベニタケ類のキノコは基本的に放置されることが多く、キノコ狩り人口密度が高い場所でもライバルが少ないのです。
ベニタケ大好き
ただぼくは個人的にベニタケ類のキノコが大好き。近所にもいっぱい出るし、その中には美味しいものがたくさんあります。過去にも何度かこのブログで取り上げてきました。
ベニタケ類の食菌は往々にして
・都市部にも出る
・素晴らしい香りがある
・超絶いい出汁が出る
という特長を持っており、食感に重きを置かなければ極めて優秀な野生キノコといえます。加えて前記の通りライバルもいない。最高じゃん?
中でも好きなものが「ハツタケ(初茸)」と「アカモミタケ(赤樅茸)」、そして「チチタケ(乳茸)」。
ハツタケは日本では江戸時代から愛されてきたキノコで、かつてマツタケが当たり前に採れた時代には、もっとも珍重されたキノコはこのハツタケだったといわれています。昔話にもよく出るそう。マツタケにも共通するさわやかで食欲のわく香りがあり、コクのある出汁が出て、お吸い物にすると一番美味しいキノコです。
アカモミタケは香りはそこまででもないですが旨味がめちゃくちゃ強い。強いオレンジ色でいかにもという感じですが、卵やバターとの相性は抜群です。
↑これは野食界隈で「茸本がやべー調味料作った」と話題になったもの。市販のアジシオの10倍界王拳ver.みたいな感じです。ちなみにドラゴンボールネタをすぐ使う人はオッサンということらしいです。EXITかねちーが言ってた。
そしてチチタケ。
これは上記の二つとはだいぶ様相が違います。まず香りですが、煮干しです。食感もぼりぼりしつつぎゅっと締まっており、どことなく煮干しっぽさを感じます。
そして味は……煮干し!! と、キノコがミックスされたような。そしてこれらの要素がいずれもキノコ中MAXレベルで強いです。
そのせいかどうかは不明ですが、このチチタケは内陸県である栃木で死ぬほど愛されており、彼らは茨城や福島にまで越境しこのチチタケのポイントを荒らすことで恐れられているそうです。とくに福島とは戦争の様を呈することもあったそうな。おいおいヤンデレか。
というわけでこれらのキノコがあったらぼくは必ず採取するのですが、先日、頭一つ突出した存在に出会いました。
スーパーなチチタケがいた
近所のポイントを散策していた時のこと。アウトドア友達のトミーさんから「いいチチタケポイントを見つけました」ということで連絡をいただき、向かってみると
確かに素晴らしいチチタケが生えていました。
カサの色が極めて濃く、表面は上質なビロードのような手触り。
柄は太く、根も深く、ベニタケ類とは思えないほど質感もしっかりし、乳液も大量に噴出されます。
チチタケは変異の多いキノコですが、個人的な感覚として「大きく色が濃いほうが味が濃くて美味い」と思っています。なのでこのポイントのチチタケはかなり期待できるはず。
トミーさんに全力でお礼を言い、ワクワクルンルンで持ち帰ってきました。
チチタケは基本的には「干して保存し、そばの出汁にする」ことが多いです。前期の通り食感が悪いので出汁取り要員となってくれればよく、また干したほうが香りも強くなるからです。
しかし今回のものは
あまりにぎゅっと締まっており、持ち重りもします。ここまで締まってたらワンチャン歯ごたえもいいのでは。
そうおもい、普段はあまりやらない素焼き(塩焼き)でトライしてみることにしました。さかさまにしてグリルで焼き、塩をぱらぱらとかけて
いただきまーす
……(≧〰≦)オイシスギテナンダコレ!!(←ローマ生まれの匠ベリッシモさん)
超・濃厚!!出汁濃すぎワロタww
なんだろう、やっぱり煮干し系というか、海産物のコクですよねこれは。シイタケに煮干し粉かけて食べたらこんな感じになるかもしれない。味が濃すぎて、これひとつでパーフェクトなラーメン出汁が取れるような気がします。
食感もやはり悪くなく、ぼそぼそさはなく「ぼりっぼりっ」という歯ごたえです。マイタケやコウタケにも似てるな。
これは、天ぷらにしたら相当ヤバいんじゃ……
……(;∀;*)優勝だー!!
衣に包まれたチチタケを一口噛むと、上記の要素が一度にあふれ出て口の中が幸せいっぱいになります。油を介させたことでより食感が良くなりました。栃木県でこれ食べたら1本1000円くらいとられそうだな、でも払う価値あるぞ……!
味:★★★★★
価格:★★★★☆
さて、この美味しすぎるチチタケについて先日Twitterに上げてみたところ、えむっちさんから「ビロードチチタケ」と呼ばれているものじゃないか、というツッコミがありました。
なるほどたしかに、すべての特徴を満たしています。
さらに調べてみると、このビロードチチタケは栃木県では「赤ちたけ」と呼ばれてもっとも珍重されているものだそう。チチタケを偏愛する栃木ではこのビロードチチタケは乱獲の憂き目にあっており、レッドデータブックにも「採取圧が脅威となる」旨記載があります。
そんな貴重なものが身近にあり、またライバルも全然いないという状況に心から感謝です。横浜のみんな、栃木県民にはくれぐれも秘密にしてくれよな?
コメント
先日はありがとうございました!ブログネタに使っていただけるとは光栄です。あ、私としてはアウトドア友達というより(心の)師匠と思ってますw
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
わたしもきのこは好きです、でも大丈夫とおもえるものしかとっていませんので
知らないきのこなどとても興味深くたのしく拝見させていただいています。
>海産物のコクですよねこれは
山の幸なのに海産物風味とはおもしろいですね。山くらげとかと山菜そばなど合うのでしょうか。
前に拝見したぬたうなぎがイカ風味?をする記事も思い出しまして、ぬたうなぎとちちたけの料理など好奇心がわきます。
わたしにはお好み焼きにするくらいしかアイデアがうかびませんが
日光のほうに行くと、ちたけだしに山菜を入れて温かいそばにしていたりしますね。
チチタケとヌタウナギを合わせてお好み焼きかぁ……全く誰も思いつかなさそうな組み合わせですね! 機会があったらやってみようかなぁ
栃木県民です。
週末の4連休、県内のちたけ(栃木での呼び名です)クラスターが大挙して横浜詣でするかもしれませんね。
ところで、煮干し風味が強いから内陸県の栃木で愛されるというのは説得力がありそうですが、同じ内陸県の群馬や長野ではそういう話を聞きません。以前チチタケの時期に軽井沢に行ったら、栃木県民なら狂喜乱舞するほどチチタケが生えていました。(もちろん他所様の敷地なので眺めるだけに止めましたが)
栃木県民には、ちたけ欲求遺伝子が組み込まれているんでしょうかね。
そうなんですよねぇ、長野はマツタケが多いからまだわかるとしても、群馬の人がチチタケにほとんど興味なさそうなのが結構不思議なんですよね。その代わりにウラベニホテイシメジは大好きだと聞きますけども。食感重視なんでしょうかね?
こちら、私も似たような物をよく見つけます。本命のものよりはるかに大型で色が濃く乳も大量に分泌されます。そして本名チチタケよりも色々な場所で、たくさん発生します。チリメンチチタケだと私は思っているのですが、どうでしょうか?
私の場所ですと、ミズナラやコナラ樹下以外に、シラカバやダケカンバ林にもよく発生します。
私はどちらかというと本命の方が好きです。
チリメンチチタケでは? というご意見は結構いただきました(`・ω・´)確かに特徴はすごく近いです。肝心の「ちりめん模様(縮れ)」は全くありませんが。。
カバ林にも出るんですね!