60㎝超えのクロソイはアコウダイにも匹敵する!

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皆さん、クロソイ、好きですか?


たぶん多くの人は「どっちでもない」と答えるんじゃないかと思います。全国的に生息はしてるけど、でも関西以西じゃ沖釣りじゃないと顔見せない(おかっぱりで釣れるのは大体ムラソイ)。魚屋でなじみのものというほどでもない。
仮に売られていても鮮度は微妙で総菜用、かといって値段は高くも安くもなく、煮つけにすると美味しいけど煮つけ以外で使い道が分からない。
総合すると「カサゴのパチモン」という感じ? そもそも区別せずに売られてたりするし……


そもそも「ソイってなんやねんカサゴとちゃうんか」とお怒りの人も多かろうですよね。漢字で書くと「磯魚」、つまり広義としてはカサゴとかメバルも含まれちゃうわけで……
しかも見た目は「赤くないカサゴ」、生息域もカサゴとダダ被りなのに種としてはメバルに近い、となれば……もう意味わからんちんです。

そしてそのソイの中で、クロソイの味の評価は「中の下」くらいに位置付けられています。不味い魚じゃないけど、真ゾイ(キツネメバル)と比べちゃあねぇ……ぐらいのもの。まあそもそも西日本にいるソイはクロソイとムラソイくらいなもんですが。


味も見た目も中の上、カサゴでもメバルでもない、ふわっとした食用魚で好きでも嫌いでもない……というのが、関東以西民にとっての、クロソイに対する何となくの総意ではないかと存じます。

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クロソイ、デカくなる

そんなクロソイですが、これだけはほかのソイやカサゴ、メバルをしのぐぞ! というポイントがあります。それは大きさ。
多くの種が40㎝前後までしか成長しないカサゴ、ソイ、沿岸のメバル類の中で、クロソイはときに60㎝程にまで成長することがあります。


深海性のメバル類を含めても、60㎝に達するのは↑のアコウダイやオオサガなどごく一部。このサイズになると迫力ハンパなく、存在感が違ってきます。
あのクロソイがこんなごついシルエットになるとは到底信じられず、半信半疑のまま人生を送ってきたのですが、この度ひょんなことからそれを手にする機会に恵まれました。
それがこちら。



はいデカーい!! 君デカいね! 


60㎝3.5kgというモンスターサイズのこの子が吉池の鮮魚コーナーに並んでいたのを見たときは、マジで何かの間違いなんじゃないかと思いました。

そしてまたね、値段がね、安いのよ。¥800/kgですって。どういうことなのこれ。活〆ですよ?
いかにソイ類では一番安いクロソイといっても、その安さはちょっとあんまりじゃないですかね。あれかな、コロナのあおりってやつかな。
まあいいや、買う方としてはありがたいですからね。迷わず購入し、氷でキンキンにして持ち帰ってきたというわけです。

デカクロソイ、至上の味

さて、安さにつられて購入したはいいものの、持ち帰りながらぼくは「どうしたもんか……」と考え込んでしまっていました。
というのもクロソイ、旬は完全に冬とされています。春先から初夏にかけて産卵するので、、普通に考えたら今は産卵後でがりっがりに痩せている時期。まあこの価格ですから、仮に痩せて水っぽくても文句は言いませんが、料理は大変になるでしょう。みりん干しとかにすれば食べられるかな……


そんなことを思いながら持ち帰り、包丁を入れてみると……

(←少年マガジン風)
なんか君、内臓脂肪すごない……?

慌てて三枚におろすと

脂乗りすんげー!!! なんじゃこれ大当たりじゃねぇか。
腹身の方なんか、皮引いたら


まるでホッケみたいな皮下脂肪テラテラですよ。カサゴ目とはとても思えない脂の乗りっぷり! まるでアコウダイのそれだなぁ。


サクにとっても、身が分厚いので一つのブロックがめちゃくちゃデカい。
霜降りづくりにしようとして炙ると

脂がバチバチはじけてめちゃくちゃ美味そうです。


やっていきましょう。
いただきまーす

……(≧〰≦)キ・ター‼‼‼‼‼‼ 代打逆転サヨナラ!
これはマジで美味い! 磯の魚らしいゼラチンたっぷりの分厚い皮の下で、半分液体になったコクのある皮下脂肪がとろけと甘みをもたらします。
身はアコウダイに近く、弾力よりも柔らかさがあって強い旨味がはじけます。ブリブリとした食感は無いので、厚めに切って噛みしめる作戦が功を奏しました。これは強い!

味:★★★★★
価格:★★★☆☆


これは掘り出しもんでしたわ。。クロソイといえどカサゴ目、デカければデカいほど脂も乗り、味もよくなるのはまあ当然っちゃ当然か。でもここまでのレベルになるとは意外です。
クロソイは鮮度落ちがめちゃめちゃ早く、そのため小さければ鮮魚のまま都心に運ぶ価値はないんだけど、大きかったから活〆までしてもらえたのかなと思います。そして都心まで運んだところで、ちょうどよい熟成感になってくれたんでしょう。

とても一度で食べきれる量じゃなかったので、もう半身は梅雨が明けたら一夜干しに、アラと内臓はみそ仕立ての鍋にして美味しくいただこうと思います。ツボダイの悔しさをクロソイが晴らしてくれるなんて思ってもいなかったなぁ。。

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魚介その1(魚系)
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野食ハンマープライス

コメント

  1. Watarut より:

    自身はビビりなので野食は全然ダメなのですが、怖いもの見たさでいつも楽しく拝見しております。
    魚関連で今回ふと思い出したのですが、以前西表島に行った際に初枝というお寿司屋さんに伺いました。
    西表島で地物の魚を使って握りや料理を提供されています。
    南国の魚は寿司ネタとしての馴染みもノウハウもなく、時にはシガテラ毒もあるなど我々にはなかなかハードルが高いと思うのですが、とても美味しかった思い出があります。
    いわゆる野食とは少々趣向が違うかもしれませんが、ぜひ一度訪れていただいて新境地を開拓してほしいと思います。
    既にご存知でしたらすみません。
    ついでに西表名物イノシシ刺しも食べられますし、ジャングルの中には未知の食材がたくさんありそうです(勝手な想像です)

    • 茸本 朗 より:

      西表島行ってみたいですね……実は沖縄自体まだ行ったことがないんですよ。
      シガテラやパリトキシンみたいな最近報告されるようになったばかりの毒について、南西諸島の人々はどう対処しているんでしょうかね。気になります。

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