観葉植物モンステラの実はかなり美味しい、でもミスるとかなり痛い(物理的に)

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さる4月、Twitterで仲良くさせていただいているいもとあずき(@s8s3x)さんとマッド菜園ティストHI-D(@seinaruossan)さんが「茸本の野郎にやべーもん食わして悶絶させたろうぜ」という楽しげな話をしているのを目にしました。

話によると「過去に痛い目にあったことがある」茸本じゃないとその評価ができないとのこと。ふーむ、気になりまくりですね。
ウェブ上ではどMとしてふるまっている不肖茸本、ネットヲチの鉄則に背き会話に乱入、そのブツを手配していただくようお願いしました。

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謎のトロピカルフルーツ

そして4か月が経過し、我が家に届いたのがこちら。

モンステラの実です。
モンステラ、と聞いてすぐにピンとくる人はガーデニングが趣味の方くらいかと思いますが、実は非常にポピュラーな観葉植物の一つです。デパートやショッピングモール、水族館や動物園の熱帯コーナーでよく見かけます。花屋さんなら大体どこにも置いてあり、家庭で育てている人も多いですね。


このモンステラはサトイモ科の植物なのですが、このうちもっともメジャーな種である「モンステラ・デリシオサ」の実は熟すると甘く、トロピカルフルーツのひとつとして扱われることがあるそうなのです。
ただ、本土で観葉植物として育てられているモンステラが実をつけることはほぼなく、今回送っていただいたものは沖縄で実を採るために栽培されたものです。


この実を手配してくださったのは、いもとさんのご紹介でご連絡いただいた「沖縄珈琲仙人」こと金城さん。
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沖縄県今帰仁村でコーヒー豆やトロピカルフルーツの栽培をしながら、コーヒーの摘み取り・焙煎などができる体験農園を運営されています。

写真を見ると誰もが「なるほど仙人だ……!」となるような風貌ですが、科学的なバックグラウンドをもとにいろいろな作物の栽培にトライし、ブログ等で情報を公開されています。どう考えても超面白そうな御仁です。一度お会いしたい。。


モンステラは一般的な食用果樹とは違い、身が成熟するのに3か月、花が咲いてからだと1年ほどもかかる非常に気の長い作物だそう。そのため果実として商用栽培されることはほぼないらしいのですが、今回ご縁により食べることができるのは大変ありがたいです。
気合いを入れてかかりましょう( ̄ー ̄)

モンステラを食べてみた

金城さんやいもとさんから伺ったところによると、このモンステラを食べる上で最も大切なことは「絶対に完熟させてから食べる」ということらしいです。
ちょっとでも成熟度が足りない部分を口にすると舌がゲジゲジするのだそう……未熟なパイナップルを口にしたときみたいなあれですかね。


完熟したかどうかを見分けるのは容易で「皮が自然に剥けた部分は完熟している」とのこと。

なるほど。。この六角形の鱗みたいなやつが、根元寄りからぺろぺろはがれてきていますね。そして内側からとろっとした果肉が見えてる。
果肉の断面は小さな粒が集まったような形状になっており、完熟すると果肉は半透明になって芯から自然に離れるようです。

結果としてこのように

まとまってとれます。

その完熟果肉ですが、香りが強烈! バナナとパパイヤ、パイナップルにマンゴー、さらにチェリモヤも加えたような、ともかくあらゆるトロピカルフルーツをミックスしたような濃厚すぎる香りがあります。


食べてみましょう。いただきまーす

……(≧Д≦*)強烈!
口中にこの香りがぶわっと広がると同時に、とろけるような甘さを感じます。
味は完全にチェリモヤですね。これは美味しい!

ただチェリモヤと違うのは、後味に若干のピリッとした刺激が残ること。パイナップル食べた後に舌がゲジゲジするやつのもうちょい強い版みたいな……
これはパイナップルと同様、シュウ酸カルシウムによる刺激だそうで、感受性は人によって変わるみたいです。気になる人は気になるみたいだけど、自分は全然大丈夫!
美味しいしどんどん食べちゃえ~♪

モンステラ、果肉以外は痛い

そんな感じで幸せに食べ続けていたのですが、しかしそこに突然悲劇が訪れました。
食べてる途中、違和感を感じて齧ったものを吐き出すと、緑色の果皮が。

あ、ひょっとしてこれヤバ……と思った次の瞬間、来ましたよあの痛みが……!

シュウ酸カルシウムの結晶はミクロサイズの剣のような形状をしており、これが物理的に口の中の粘膜を攻撃しまくるので刺激を感じます。パイナップル程度の刺激ならよいのですが、強いものになってくると上唇と舌に剣山を突き刺されるような激烈な痛みが襲います。
同じサトイモ科のマムシグサやテンナンショウ、ムサシアブミなどは全草に大量のシュウ酸カルシウムを含み、不用意に食べると死にそうになる(というか死者も出てる)のですが、モンステラの皮もなかなかのものです。

マムシグサが食えるんだからムサシアブミも食えるだろの精神(なお、食えるとは言っていない)
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皮を齧ってしまったことに気づいてすぐに吐き出したのですが、それでも待ち針で唇を貫いてしまったような痛みを感じました。まともに齧ってしまったらしばらく物が食べられない状態になりそう。


また、皮ほどではないですが、未熟な果肉の刺激感もなかなかのものです。

未熟な果実と芯の断面

芯から自然に剥がれ落ちない、クリーム色の状態の果肉は食べないほうが良いかもしれません。芯にも若干残るようで、芯ごと齧るのも危険な感じがします。

未熟な部分はラップして追熟

モンステラの実は根元から先端に向けて熟していくようで、根元は十分に食べられる状態でも先端はまだまだ未熟という状態が続きます。たぶん先端まで完熟するころには根元は腐敗しちゃってるんだろうと思うので、熟した部位から少しずつ食べ進めていくしかないようです。
これ、ひとつの果実じゃなくて集合果みたいなものなのかな。つーか種子どこ?

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆



モンステラ、味についてはぼくは文句なく大好きなのですが、このシュウ酸カルシウムの存在はなかなかに厄介です。
「皮が自然に剥がれ落ちる」だけでなく、「果肉が芯からきれいにはがれる状態になった」ことを確認し、その部分だけを食べる、というようにするのがいいかなと思いました。また食べるときは果皮の破片が含まれていないよう細心の注意を払う必要があります。

こりゃ市販するのは難しいな、どんなに注意して売ってもクレームが頻発しそう。完熟した果実だけを集めて冷凍し、量がたまったらパッキングして販売するとかなら大丈夫かな。味はいいだけに、内地でもコンスタントに食べられるようになれば嬉しいのですが。


生だけじゃなく、調理に使えそうな気がします。ちょっとやってみよう。

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コメント

  1. kaiou より:

    ということは、皮は茹でて里芋系のホクホクになるのだろうか・・・?<シュウ酸特有の~

  2. 実験希望者 より:

    シュウ酸ならオキシドールとかで酸化分解できるかな? 元からシュウ酸カルシウムになってるなら希塩酸で洗うといけるかも?

  3. きのこはんたー(かつどうていしちゅう) より:

    2008年8月に父島で、フルーツモンステラという名前で売ってました。値段忘れてしまったけど、1個1000円くらいだったような。とても美味でした。その後内地でも売り出すかと期待してましたが、全く出回らないですね。この記事を読んで納得。生産量増やしにくいし、高確率でヤラレル人が出るなら売りにくいですね。

  4. より:

    シュウ酸カルシウム…ウラシマソウ…ざざむし。…ウッアタマガ

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