美味しいけれど激痛なモンステラの実。
完熟すれば痛みも少なく、美味しく食べられるとはいいつつも、人によってはこのピリピリ感はちょっとしんどいと感じるかもしれません。
今後、商業化されていくためには、そのまま食べる以外の活かし方が見いだされておく必要があるのではないかと思います。
モンステラのトロピカルな香りを嗅いでいるうちに、ちょっと思いつくことがあったのでやってみました。
モンステラで肉を柔らかくできないかな
突然ですが、なぜ酢豚にパイナップルが入っているか、その理由をご存じの方はいらっしゃるでしょうか。
あれは別にお子様への嫌がらせで入っているわけではなく、もともとは「パイナップルの酵素で肉を柔らかくする」ために入れられていたそうです。
生のパイナップルには「ブロメライン」というたんぱく質を加水分解する酵素が含まれており、肉とパイナップルを一緒にしておくとその力で肉が柔らかくすることができるのです。
もちろんこれは酵素であり、加熱すると失活するため、缶詰などの加熱済みパイナップルでは効果を期待できません。だから缶詰のパイナップルを酢豚に入れるのは嫌がらせ行為に相当するかもしれません(しません)。
話は変わりますが「パイナップルを食べると舌がピリピリするのは、酵素が舌を分解しようとしているためである。缶詰のパイナップルでピリピリしないのは、加熱されることで酵素が失活するため」という豆知識はご存じでしょうか。
雑学本なんかに良く載っているのですが、これホントなんかな。。。普通に考えたら酵素よりもシュウ酸カルシウムのほうが強い刺激を感じるはず。
シュウ酸カルシウムは緩やかに加熱することで中和され別の物質になるので、加熱したパイナップルがピリピリしないのはシュウ酸カルシウムが失われたため、と考える方がすっきりします。
ここで話を大元まで戻すと、モンステラの実もひょっとして、パイナップルみたいにブロメライン的な酵素を含んでいてお肉を柔らかくする力があったりしないかな、と考えました。また仮にそれがなかったとしても、加熱すればシュウ酸カルシウムは中和され、食べやすくなるのは間違いないこと。
試してみることにしました。
モンステラで肉を調理してみた
モンステラの果肉をほぐします。
ちょっと未熟気味なクリーム色の果肉も使いましょう。
風味の強いトロピカルフルーツと合わせるため、何かジビエ肉を使いたいのですがどうしようかな。
冷凍庫を見るとシカ肉がありました。これでやってみよう。
半分に切って、片方にモンステラの果肉をまぶし、一晩おいてみます。
漬け終わった肉は、心持ちふにゃふにゃしているように見えます。
スライスして、フライパンでソテーします。
比較用に何もしていない肉も焼いてみましょう。
焼けました。味付けは塩コショウのみで、いただきまーす
まずは普通のほうを……
……ふむふむ。しっかりしていますね。シカは焼き過ぎると硬くなるから注意が必要です。
続いてモンステラに漬けたほうを……
……!!(`・〰・´)!
これは、明確に柔らかくなっています! すごい!!
肉は弾力がありながらも歯切れがよく、まるで上質の牛タンのような歯ごたえに。筋も噛み切りやすくなっていますね。
やはりモンステラ、肉を柔らかくする何らかの酵素を持っているようですね。この力はパイナップルにも引けを取らないかもしれません。
またただ肉を柔らかくするだけではなく、肉にトロピカルな香りがついているのもよいですね。これはシカよりもっとジビエ臭の強い肉のほうがより合うんじゃないかと思います。アライグマとかいいかもしれないなぁ。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
漬けた後のモンステラ果肉ですが、ナツメグを少し加えて煮詰め、添え物風にしてみました。
……(´・ω・`)うーん、ちょっと香りが強いなぁ。クセがあるというか……
パパイヤが熟しすぎたときのような、ちょっと腐敗に近い香りになりました。これは単体で食べるにはちょっと難しいようです。カレーの隠し味とかに使ったららいいかも?
コメント
パイナップルのピリピリに関してはタンパク質分解酵素が舌を分解する刺激ではなく
タンパク質分解酵によって舌や口内を守る粘膜が分解されるために酸の刺激をダイレクトに感じるという仕組みです。
加熱パインがピリピリしないのはシュウ酸カルシウムの分解だけでなく酵素の失活も大きいと思います。