少し前の話ですが、瀬戸内海でホホジロザメが漁獲されたというニュースがありました。
瀬戸内海にもいた… ホオジロザメ 山口・周防大島付近で捕獲 30年前は騒動も
ホホジロザメはあの「ジョーズ」のモデルとなったことでも知られる恐ろしいサメで、世界中で死亡事故が発生している「人食いザメ」の一種です。好んで人を襲っているわけではない、餌のアザラシと間違えて噛みついているのだという説もありますが、何にしても噛まれれば大怪我です。
なおつい先日、著名な漫画家がシャークアタックと見られる事故でなくなったというニュースが流れましたが、あれは事故の起こった海域に多く生息する「オオメジロザメ」によるものではないかと見られているそうです。
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閑話休題。
そんな危険なホホジロザメがなぜ瀬戸内で漁獲されたのか。実は彼らは魚を追って沿岸近くにも入り込んでくることがあり、瀬戸内海では数は少ないもののしばしば目撃例があるそうです。今回捕獲されたものはサワラの流し網漁の網にかかっていたそうで、産卵のために瀬戸内海に乗っこんでくるサワラを追いかけて入ってきたと見られています。
今回サメが捕獲された海域では、30年前に漁師がシャークアタックでなくなる事故が発生しており、今回のサメ捕獲劇に「また来たのか」と恐れる人も少なくないといいます。
そして、そんな瀬戸内海産ホホジロザメの肉が、今ぼくの手元にあります。
いや急な話だな! というツッコミの声、誠にありがとうございます。
正直自分にとっても大変びっくりというか犬も歩けば棒に当たるというか、とある筋から「よかったらおすそ分けしますよ」というありがたいオファーを頂きまして、間髪を入れず「お願いします!!!」と相成ったわけであります。
ホホジロザメを食べてみた
過去にも様々なサメを食べてきた野食ハンター。
そんなワイからしても、今回のホホジロザメは圧倒的に異質なものを感じます。それはズバリ、身の赤さ。
腐敗防止のために脱水シートにくるんで送っていただいたので、水分が抜けていることを考慮してもなお赤いです。血合いの色も濃いように思います。
スライスすると
なんだか豚肉、あるいはキハダマグロのような色合いですね。お肉もねっとりとしてて美味しそう。
ちょっとこのまま食べてみようかな……
……(≧∀≦)ウンマッ
サメにありがちなアンモニア臭さがないどころか、軟骨魚類によくある塩化アンモニウム系の苦味もなく、ネットリした質感でしっかりとした旨味があります。加えて奥の方にビンナガマグロのような心地よい酸味があり、これが他のサメとの大きな違いだと感じます。正直、かなり美味い。
脱水シートのお陰で水分が抜け、身が適度に熟成されて旨味が出たのでしょう。捕れてすぐを食べたというこちらのレポートでは弾力がありすぎて旨味もないとのことだったので、マグロやブリなどの大型魚よろしく熟成させて旨味を出すのが良いのかもしれません。
あんまり美味しかったので、薄くスライスして
生ハム風に。
本邦初・人食いザメの生ハム盛り合わせ!
いやーこれは美味い。魚なんだけど豚のようでもあり、またササミのようでもあります。オリーブオイルとの相性は抜群。
生で美味いのはわかったので、加熱も試してみましょう。
さっと湯引きして……
酢味噌で頂きます。
……(・ิ~・ิ)うん、これもいいですね。
加熱することで豚肉感は薄れてしまいましたが、鶏肉感は逆に増しましたね。マグロと鶏胸肉の中間みたいな味わいです。相変わらず匂いや味に癖はなく美味しくいただけます。
茹で汁をちょっと舐めると案の定旨味が出ていたので、
ジャガイモとともに塩水と日本酒で煮て
塩煮にしてみました。
これも美味しい! サメの出汁を吸ったジャガイモが果てしなく美味しいです。
やっぱり魚を常食しているサメは、ゴカイとか底生生物を主食とするサメよりも味が良くなるのでしょうか。臭みと苦味がなくて旨味と爽やかな酸味があり、サメ界でも随一の美味しさだと思います。正直この味を知るとドチザメとか食べる気なくなっちゃうよな……
ただホホジロザメも、他の大型ザメと同様駆除や鰭目的の乱獲により数を減らし、絶滅が危惧される生き物となっているようです。今回のような「やむをえぬ漁獲」でない限りは水揚げされることはないでしょうし、口にできることもないでしょう。
今回は本当にラッキーでした。くださった方(諸事情により名前は伏せさせていただきます)本当にありがとうございました!
コメント
土用丑なのにサメ食っちゃうんですか・・・
まあ、僕も夕餉に牛食ってますけど。
最近では近所のスーパーでもサメ売ってるから
食べてみようかなぁ。
何ザメかは 分からないけど。
アンモニアっぽさがないサメもあるんですね…
東京にあるなら食べてみたいなぁ