ウミヘビを釣った、というと
「えっ、毒大丈夫なの?」
という反応と
「小骨ヤバいよね?」
という反応のどちらかが返ってくる。
前者は爬虫類のウミヘビを想像してのリアクションである。
そちらも是非一度捕まえて食べてみたいが、沖縄にダイビングに行ったのならいざ知らず、近所で出会うことはまずないだろう。
後者は、硬骨魚類のウナギ目ウミヘビ科を想定しての返答だ。
ありがたいことに僕の周囲にはそういう人がたくさんいるので、会話がとてもスムーズだ。
魚のほうのウミヘビは意外なほどに身近な存在で、ちょっとでも潮の効いた外海に面した場所ならだいたい何かしらの種が住んでいる。
そのうえ悪食で、動物性のエサなら何でも食ってくるので、釣り人にとっては厄介者の外道である。
先日の夜投げ釣りで、沖アミエサのブッコミ仕掛けに食ってきたのは僕にとっては初顔の
ホタテウミヘビ。
80㎝ほどで大きくも小さくもないが、河口での釣りだったので一瞬「ウナギかっ!?」とぬか喜びしてしまった。
シルエットこそ似てはいるが、ライトで照らすと背鰭がキラキラと光るのですぐにウミヘビとわかる。
そのままにしているとのた打ち回り、所かまわず噛みついて穴だらけにするので、すぐに締めてクーラーボックス行きとなった。
ホタテウミヘビを捌いて焼いてみた
ウミヘビ科の魚はあまり食用にされていないが、ウナギやアナゴと同じウナギ目の魚であり、アナゴの代用魚として使われているものもある。(ゴイシウミヘビ属のマルアナゴなど)
既知の通りウナギやマアナゴは現在急激に数を減らしており、代用魚の開拓は喫緊の課題だ。
このブログではかつて何度も「ウツボ」をウナギの代用として楽しむことを啓蒙してきたが、ついに今回ウミヘビが、そのラインナップに、加わる!…のか?
試してみないといけない。
ぎょろ目が怖く、豚鼻がコケティッシュなホタテウミヘビ。
まず、ボウルに入れた少量の酢に全身をまんべんなく浸し、表面のヌメリを凝固させる。
白く固まったヌメリを包丁でこそぎ落とす。
これをさぼると開きが生臭くてしょうがなくなる。酢は最も安価な穀物酢で構わない。
目打ちを打ち、ウナギ同様背開きにする。
尾の先で穴を掘って砂に潜るためか、先端の先端まで筋肉がしっかりとついており、開くのに少し難儀する。
開いた身。
…なんか、予想外にキレイ。。
捌いていて思ったのは、脂の乗りがハンパでないこと。
銀毛の下りウナギにも匹敵するかもしれない。
かつてせつなさんがダイナンウミヘビを食べて「脂が強くて脂当たりする」と書いていたがまさにその通りだ。
次いで骨切り…をしようと思ったのだが、せつなさんや友人Hさんなど、かつてホタテウミヘビを食べてきた先達たちが口をそろえて「骨切りしたって無駄無駄ァ!」と言っているので、敢えて骨切り無しで食べてみることにした。
適当な長さに切り、フライパンでじっくりと焼く。
焼けば焼くほど体色がウナギ寄りになってきて、やがて脂が爆ぜて香ばしいにおいが漂ってきた。
見た目は完全にウナギだが、海産魚なので川臭さが無いところは評価できそう。
白焼き、完成。
これが美味ならばそのままかば焼きにしてやろうと考えていた。
焼きウミヘビは長物界の救世主になれるか
いただきマース…
…(・~・;)
ゴリッパキッメキャッ
…味はとてもいい。
はっきり言ってウナギそのものだ。
酢でヌメリをとったからか生臭みもなく、香ばしくて脂が美味い。
しかしまぁ…わかってたけど、この骨はヤバい。如何ともしがたい。
骨切りしてどうこう成る太さでもなければ、焼いたり蒸したりして抜けるような量でもない。
そもそも柳刃じゃこの骨、切れないぞ…
でも味は良いんです、本当に。
連れはちまちまと骨を出しながらも食べ続けていたのでかなり気に入っていたようなのだが、その後で骨を喉に刺してしまった。
危険すぎて人に食べさせられない。
これはやはり、干すしかないだろう。
カリッカリになるまで干して、骨ごとゴリゴリと刻み、カリッと揚げてしまえば美味しく食べられるだろう。
そう、南紀名物ウツボの揚げ煮の応用である。
また、以前作ったようなウミヘビスープを作ってみるのもいいかもしれない。
次釣れたらやってみようかな。
コメント
ざざむしのせつな氏が、ダイナンウミヘビの圧力鍋煮において提言していた「青でも赤にでも染めればよかろう」というのにチャレンジですね。分かります。
自分もちょっと気になったんですけど、ダイナンと比べてもはるかに骨が太いので、圧力鍋ではどうにもできないと思います。ウツボほどではないですが
あれらに限らないけど、圧力鍋が通常時間では効かない種が時々出てきますね。
そういう類は大抵2時間以上圧力かける必要が出てくるので、そうなると脂が流れ出てしまって身のバランスが別物になってしまうのが難しいところです。
せっかく旨かった身質がボソボソになっては本末転倒で、3時間も圧力かける意味あんのかとなります。
ホタテはダイナンより旨味強いと思ったけど骨も一回り強いので、大型限定ならウツボみたいな方法もアリかと思うのですがm超えはなかなか釣れません。
スープはありかと思うのですが、脂が多いと干した時点で腐敗しそうで想像の時点で小バエが敵です。
干物も寿命は短そうですよね。
確かに、あれだけ脂乗ってるとカリカリの干物にするのは難しそうだなぁ…
あとはナワキリみたいに骨の上側を漉き取るとか、スプーンでこそげ取るとか(身質的に難しそうだけど)ですかねぇ。
美味しいんで、何とかして食べたいんですよねぇ
初めまして。
すり鉢で擦ってみては如何ですか??
ニンジャチョッパー先生や、マジックブレッド兄貴には出来ないレベルで骨を感じさせなくなるかと思います。
時間と手間と体力がかかりますが、、、
コメントありがとうございます!
すり鉢は…ちょっと厳しいと思います。。あの骨を砕くにはバイタミックスクラスのパワーが必要です。
ただ、すり鉢でよく摺ってから、骨を1本ずつ抜いていくのならアリかもしれません!
そういえば、小骨の多いクロアナゴもすり身にして長崎の離島では惣菜になってるらしいですね。