土曜日は標高800m前後の低山帯を攻めて夏のキノコをゲットしたので、翌日曜日は1,500mラインの亜高山帯を攻めるべくレンタカーを用意した。
連日のバイアスロンも考えたのだが、連れがやる気を出していたので車で行くことにしたのだ。
僕の連れはキノコについては全くの素人だが、非常に「良いもの」を見つけるタカの目を持っている。
みんなで行こうよキノコ狩り
そもそも、キノコを探しに行くときは、「素人」がひとりはいないといけない。
これは別にえらそうな顔をして講釈を垂れたいとか、キノコの探し方を教えて悦に浸りたいというのではない。
普段からキノコ図鑑を読んだり、実物を見慣れている人間は、「そのポイントで見つけたいキノコ」を意識しすぎて確証バイアスが掛かってしまうのだ。
よくいわれる“キノコ目”というのはキノコとそうでないものを見分ける「視覚のフィルター」なので、バイアスがかかった状態では誤作動を引き起こす。
キノコ好きのあなた、そういう経験、ありませんか?
例えば僕の“キノコ目”は落ち葉の下のクロカワやハツタケ、コウタケはほぼ見落としなく捉えるのに、タマゴタケやハナイグチは見落としを連発する。
こういった「誰もが見つけられる」キノコをしっかりと拾ってくれるのが、キノコ目に曇りのない素人なのだ。
さらには、逆のベクトルのバイアスである「こんなん有る訳ない」と思っているものをどんどん見つけるのも、大概素人である。
初夏のキノコが晩秋に出てきた、といったようなときに、下手に経験値のあるキノコ目はちっとも役に立たない。
だから僕は、行き慣れたキノコポイントを巡るときはできるだけ人を誘って、2~3人で徒党を組んでいくことが多い。
多すぎるとキノコポイント(専門用語でシロという)が他人にバレてしまうので難しいところだが…
亜高山帯もまだまだ夏の様相
目的の山に到着。
まずは1000mラインから探索してみることにした。
アカマツと広葉樹にカラマツがちらほら雑じるポイントで、ハナイグチの発生を期待していたのだが…
ショウゲンジの幼菌を3つ見つけたほかは、アミタケ、オウギタケ、それにハツタケと夏のキノコばかりであった。
早々にこのポイントを見切り、標高を一気に1500mラインまで上げてみる。
まだまだはしりではあるが、いつものシロにホンシメジが出始めていた。
亜高山帯の針葉樹林にでるホンシメジは傘の色が淡く、軽石そっくりで慣れないと見つけにくい。
こうしたものにはやはり“ベテランキノコ目”が活躍する。
しかし、初めてホンシメジのシロを見つけたときはそりゃあもう興奮したものだが、その後毎年のように見つけるようになって、今では「金曜日にジャンプを売る店を知ってる」程度の希少感しか感じなくなった。
全く贅沢なものである。
同じく石にそっくりで、しかも半分埋もれたように発生するのが…
クロカワ。
亜高山帯のウラジロモミ林に発生するものなので、いわゆる「ミヤマクロカワ」かもしれない。
ミズゴケの中に発生するものは柄が長く太くなり、見つけたときの満足感も高い。
でもここのはちょっと苦みが強いんだよなぁ…
とりあえず、柄を握ってみてパンパンに怒張詰まっているもののみを持ち帰ることにした。
他には、ミズゴケの下のアイシメジ。
我ながら良く見つけたものだ。
こういうものは、キノコそのものが目に入るというよりも、発生しやすい場所(岩陰とか、木の洞とか)が脳内にパターナイズされてインプットされており、目に入った景色を自動的にスキャンしているような感じがする。
もちろん、これも立派な“キノコ目”である。
アイシメジも少し苦いものの、旨味がありシャキシャキして美味しい。
サクラシメジやウラベニホテイシメジ、そしてクロカワのような「苦みキノコ」は純米酒とのマリアージュが抜群に良いのがすばらしい。
さて、このあたりのキノコはいくらでも見つけられるのに
といったキノコは足元にあっても目に入らないので不思議なものだ。
すべて連れが見つけてくれた。
ミズゴケの中から発生する赤いキノコ、見つけられない方がおかしいと思うのだが…
ちなみにこの日は多くのベニテングタケが打ち捨てられ、麓のキノコ鑑定所にも持ち込まれていた。
週末までの雨で、傘の表面の白い粒がきれいに洗い流されてしまったのだ。
そうなると、一見するとタマゴタケに見えてしまう。
柄やひだの色が真っ白(タマゴタケは黄色)なので知っていれば一発なのだが。
2000mラインもまだ晩夏
ここまで、たくさんのキノコが見つかったように書いているが、実際は不作もいいところだった。
肝心の秋のキノコがちっとも出ていないのだ。
しょうがないのでさらに高度を上げ、2000mラインをチェックしてみることに。
気温は一気に下がり、ヒートテックの長袖下着を着ても寒いほど。
これは期待が持てるか…と思ったのだが。
主役はヤマイグチにキハツダケと、やはりまだ夏キノコであった。
一株だけ、実に立派なオニナラタケが出ていたのでありがたく頂戴した。
今後気温が下がると一気に秋のキノコが出てくるような気配はあるが…まあ、もうちょっとの辛抱ですな。
露払いは終わった、さあみんなで行こう!
というわけで週末の威力偵察は1勝1敗に終わった。
毎年シーズンは読みづらいものだが、8月末の長雨パターンはまだデータも少ないのでより難しく感じる。
こんな時はやはり、みんなで一緒に行くのが吉だと思うのだがどうだろう。
もし「キノコ狩りしてみたいけど、トーシロすぎて泣ける」という人がいれば、勇気を出して周りのキノコ好きに声をかけてみたり、ネットにあふれるキノコブログにコメントしてみたりすると、快く誘ってもらえたりするかもしれないよ?
もちろん「秘密のシロ」は教えてくれないとは思うけど…
僕もこの時期、週末は山にいることが多いので、興味があれば右のフォームからご連絡ください!
とりあえず今週末はせつなさんが来てくれるので、本気でマツタケを狙ってみたいと思う。
今年はやるぞ…!
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