先日、沢を登りながらキノコを採っていたときのこと。
今にも崩壊しそうな山道の脇の立枯に、まさに芽生えたてのマスタケが生えていた。
サルノコシカケと同じ仲間であるマスタケは通常、立枯や切り株から地面に水平に傘を広げるが、
今回は木の根の水平な部分から発生していたため、らしからぬ形(ちょっと蓮コラ系)になっていた。
我ながらよく気づいたものだ。
ぼく「あっ、マスタケあったー!」
友達「えっマツタケー!!?(゜∀゜)」
ぼく「違うマスタケー!」
友達「マジで!マツタケー!(≧∀≦)」
やめて!これ以上マスタケさんを辱めないで!!!(;ω;)
松には生えない「鱒茸」
深山のキノコ探しでしばしば出会えるマスタケだが、実は近年2種類に再分類されていたらしい。
広葉樹に生え、裏面(下面)がクリーム色なのが狭義のマスタケ、
針葉樹に生え、全面が明るいオレンジ~鮮黄色なのがミヤママスタケ、とのこと。
食べ比べをしている人は少ないようだが、一部ではミヤマ…の方が酸味が強く繊維質が強い、という意見もある。
この倒木は以前クリタケが発生しており、周辺の環境からもおそらくブナないしはミズナラの木であると思われる。
形が形なので裏面を見ることはできないが、おそらくノーマルマスタケの方でよいだろう。
なお上記の条件から、「マスタケ」がマツから発生することはありえないと分かる。
マスタケは「鱒茸」、その色味からネーミングされたものであってマツタケとは全く別物なのだ。
かわいそうだからあまり聞きまちがえないであげてくださいね。
若くてむちぷり
このマスタケは「若いうちだけ」食用になることで広く知られている。
前回の記事でアップしたものは今回の個体と比べると相当成長していて、基部の方は固くて食べられなかった。
対して今回のものは
全体が耳たぶ程度の柔らかさで、山の冷気で冷たくなっていることを除けば非常に触り心地の良い、柔肌のような食感である。
これは食用としてかなり期待できるのではないだろうか。
いざカットしてみると、周囲の成長点はマシュマロのように柔らかく、また基部もファンデーションのパフのように弾力があった。
念のためマシュマロ部とパフ部に切り分け、
マシュマロ部はそのまま軽くソテーし、
パフ部は素揚げしてみた。
この時点で味見してみると、マシュマロ部とパフ部がどちらもぷりぷりになり、キノコらしいコリコリ感と合わさってフシギ食感に。
懸念の酸味はというと、淡いとはいえやはり多少は感じられる。
このまま炒め物にしたり、薄味で煮ると多少気になりそうだ。
さてどう調理しよう…
このぷりこり食感、酸味、キノコ臭…どこかで経験が…
あ、フクロタケだ!
タイカレーや炒め物で使われる、幼菌のフクロタケの水煮にとても似ている。
この酸味も、香辛料たっぷりのカレーととても良く合いそうだ。
というわけで、急遽晩御飯をグリーンカレー&タイカレー鍋にして、
どちらにもマスタケを大量にブチ込んでみた。
…(・~・*)
イイじゃないですかぁー。
辛くて味が濃いスープの中にさわやかな酸味がよく調和している。
食感もよく、ルーとよく絡んでエスニックな風味にぴったり。
多少酸味が強い部分もあったので、もし気になる場合は、トムヤムスープに入れちゃったらなお良いかも。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
マスタケって図鑑に載ってるのはだいたい成熟して傘が開ききった姿で、食べごろの幼菌の写真が掲載されてるものって少ないんだよね。
だからか、山に行くと結構採られないで残ってる。
味がそんなにいいわけじゃないし料理も選ぶけど、見つけたらそれなりの量になるし、食感が良くて面白いから一度試してみるのをお勧めします。
あ、でも火の通りが不十分だと中毒するらしいので、お気をつけて!
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