ホップの近縁種で厄介な雑草の「カナムグラ」を食べてみた

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秋も盛りでございますな。

秋になるとコンビニに並ぶもの、それはズバリ
「ホップが売りのビール」
であります。

さっそくCMでもホップの収穫シーンなんてやっちゃったり、缶を緑色にデザインしてみたりして、ホップ感を全面に出す酒販各社。
かくいう自分もホッピーなビールが大好きで(ホッピーも好き)、爽やかでライトなホップ香の強いタイプのものから、IPAのような強烈なものまでよく飲んでいる。

そんな僕が気になって仕方ないもの、それが「ホップの天ぷら」だ。

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食用としてのホップ

ホップは和名をセイヨウカラハナソウといい、松ぼっくりのような形状をした雌花「毬花」をビール作りに利用する。

ホップ google画像検索結果

もともとは殺菌作用を期待され、保存料として使用されていたホップだが、やがてその爽快な香りとさわやかな苦みがビールに与える深みが好まれるようになり、ハーブとしての価値が定着した。


そんなホップであるが、毬花をカリッと揚げて食べるとなかなか乙な味なのだという。
苦味や鮮烈な香りが楽しめ、大好物だという人もいる。

とはいえ基本的にはビール会社との契約栽培で生産されているホップ。
クラフトビール用に市販されているものは価格が高く、また乾燥品のみで食用には向いていなさそうだ。
時々居酒屋などで看板メニューになっていることがあるけど、あれはどこから仕入れているのだろう。


店で手に入らないのなら採りに行くしかないが、セイヨウカラハナソウはその名の通り日本では北海道の一部を除き自生していない。
近縁種のカラハナソウは全国の山野に自生しているらしいのだが、残念ながらまだ見かけたことはない。

しかし、実はもうひとつ、たいへん身近な近縁種がある。

カナムグラはホップの代わりになるか

都心の公園や河川敷などで、雑草が生い茂ったような場所に、一見クサイチゴのような見た目をしたつる植物が絡みついているのを見たことが無いだろうか。
GEDC0019
これはカナムグラという植物で、金のように丈夫なつる植物ということでこの名前になったという。
太いつるには細かい棘がたくさん生えており、他の植物にこれで引っ掛かって体を支えている。
これが引っ掛かるとなかなか痛く、ひっかき傷になってしまうので嫌われるほか、風媒花のため秋の花粉症の原因の一つにもなっている。

高原の寒冷地に生えるカラハナソウ・セイヨウカラハナソウと異なり、温暖な場所にも多く、また汚染された環境にも強いようだ。
秋葉原の昭和通り沿いの植え込みに発生しているのも見かける。


この雌花が、ホップによく似た毬花になっているのだ。
カナムグラ,毬花,ホップ
ホップと違って表面に微毛が生えており、かさの数も少なく全体的に小さいが、近縁種であることがよく分かる。
もしかするとこのカナムグラの実がホップの代わりにならないだろうか。


とりあえず、採取して観察してみた。
カナムグラ,毬花,ホップ
さわやかな緑色をしているが、大きいものは縁が紫色になるようだ。
毛は柔らかく、つるのように引っ掛かる棘は生えていない。
KIMG0470
肝心の香りはというとほとんど感じられず、やや青っぽい匂いがある程度だった。

種子が成熟しかけているものとそうでないものがあったので、どちらも確保した。

カナムグラの実の天ぷら

さて、自分にもしビール醸造の心得があれば迷わずホップの代わりにカナムグラを入れてみるのだが、残念なことにそのような設備は持っていない。
というわけで、ホップの天ぷらよろしく、衣をつけてカリッと揚げて食べてみることにした。


粉を水に溶いて、衣をつけ、高温でカリッと揚げる。
カナムグラ,天ぷら,毬花,ホップ
できた。
白い衣から透けるさわやかな黄緑が美しい。

いただきマース

…(・~・)


サクサクして美味しいデスネ。

種子があるやつはプチプチして美味しいデス。
カナムグラ,天ぷら,毬花,ホップ

……
香りを出せぇ!!(憤怒)

味、見た目などは全く悪くないのだが、残念なことに香りが皆無。
またあわせて期待されるべき苦みも全然なくて、ホップを食べたことが無い自分でもこれは明らかに別物だと分かる。

サックサクに揚がって、種子の食感が面白いのは評価できるけど、「山菜」としての個性はないと言わざるを得ない。


でもこれもしすごい体にいい成分とか入ってたら、カリッと揚げて塩振ればそれこそビールのあてにいいカンジだからいくらでも食べられるけどね。
体にいいかわからん段階でバクバク食う気にはなりません。

味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆

やっぱりカラハナソウを採りに行こう

実はよくいく居酒屋さんにホップの天ぷらがあったことがあるのだが、入荷が少ないようでタイミングが合わずじまいだった。
お店で食べられないとなれば、やはりカラハナソウを採りに行くしかあるまい。
こちらはホップよりは小さいもののよりそっくりな見た目をしており、やや弱いながら香りや苦みの成分も持ち合わせているそうだ。

関東地方の高原地の林縁によく出ているということなので、注意して歩くようにしようかな。
目撃情報も随時お待ちしております。

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コメント

  1. シンコロ より:

    ホップですが、苗を買って育てていましたが、ちゃんと出来ましたよ。
    ※北関東在住
    今年は虫がついてやられてしまい、収穫できませんでしたが…
    ちなみに、ホップの天ぷらを去年作ってみましたが、僕の舌には「強烈な苦味」としか認識できず1個でギブアップでした。
    香りもあったのかもしれませんが、苦味の印象しか残ってません…

    • wacky より:

      なんと!暖かくてもちゃんと育つんですね!
      でも苦すぎるのか…ホップも種類があるみたいなので、もしかしたら美味しい苦みのものもあるのかな?それともみんなやせ我慢してるとか…
      いずれにしても有益な情報ありがとうございます。なんとしても本物を食べてみなくては。。

  2. ぱんたー より:

    初めまして、毎度楽しく読ませてもらってます。

    カラハナソウですが昔群馬の山でよく見かけました。
    山奥ではなくて、里山と畑との境目あたりによく生えてました。
    場所的には松井田とか安中のあたりです。
    他でもあちこちで見た気がするので、探せば見つかると思います。

    これからも面白い記事期待してます。

    • wacky より:

      コメントありがとうございます!

      たいへん有益な情報、多謝であります。
      群馬か…再来週に行くから探してみようかな。。
      場所も山奥じゃないのですね。了解しました!
      食べたらまた記事にさせていただきますね。

  3. ミッチー より:

    初めてコメントさせていただきます、いつも楽しく拝読しております。
    カラハナソウですが、奥多摩でも生えてい
    ましたよ、昔学生の頃興味半分で食べた事があります。味はそんなに強烈ではなく程々の苦味と爽やかな感じだったように思います。確かに天麩羅なら美味しそうですね。
    某大学演習林の林道の脇で陽当たりの良い草むらに生えていました。まとまって生えている感じでなかったので、量を期待するなら北上した方が手っ取り早いかもですね。
    私が見たのは標高700mくらいの所ですので、キノコ狩りの行き帰りなどに探せば、多分そこかしこに生えているのではないかと思います。
    色々食べ比べてみての感想楽しみにしております。

    • wacky より:

      コメントありがとうございます!

      奥多摩にもありましたか!了解です!ありがとうございます!
      今年はもう奥多摩は行かないかなぁと思っていましたが、まだまだ見るべきものはありそうですね。
      今週末、また行ってこようと思います。

  4. ニノン より:

    見間違いでなければ福島県福島市、飯坂のダムの山に這えています。ホップ視たいと調べたらその名前があったので

  5. 鷲田 より:

    カラハナソウですが長野県木祖村に生えていました。
    もう15年ほど前ですが散歩していると両親がホップだよ。これでビールを作るんだよと教えてくれました。当時はよくとりにいってはビール好きの家族にあげてましたね(笑)

    最近は自生地にブタクサ、オオブタクサが繁茂していますが探せばまだ生えていると思います

  6. 東北在住 より:

    いつも楽しく拝見しています。
    今年、センテニアルホップで天ぷらを作ってみました。鬼のように苦かったです。体感でフキノトウの天ぷらの5倍は苦かったです。
    もし今後ホップの天ぷら食べる機会があったら、苦味の強い品種にだけは是非ともご注意下さい。
    香りは最高なんですけどね…

    • 茸本 朗 より:

      そうか、ホップにも苦みの強いものと弱いものがあるんですもんね(;´∀`)ホップ自体なかなか手に入るものではないですが、注意したいと思います!

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