豊栄水産の敏腕仲買人である翔さんは、まるでひとが何を欲しがっているのか見透かしたように、その都度こちらの欲しいものを送ってくれる。
今回はこれ。
…しましまで、最後端にはきれいな黄色のワンポイント。
シマウシノシタさんのご登場である。
…別にあれだ、当人(魚)の自由ではあるけれども、なんていうか、なんでそんなカレイ目らしからぬカラーリングになってしまったんだい?
だって君、そんな平べったい体してるんだから、海底に潜んで獲物狙ったり敵から身を守ったりするんでしょ?
お友達のシタビラメたちはもっと地味な格好してるよ?(おぎやはぎ風に)
まあ、何らかの事情があって(祖先がめっちゃロックだったとか)こういう見た目になっているわけだし、彼らを責めるつもりなど全くないんですけど。
ふしぎでヘンなシマウシノシタ
このシマウシノシタを含むいくつかのウシノシタは、いわゆるシタビラメ(クロウシノシタ、アカシタビラメなど)とは科を異にしており、ササウシノシタ科に所属している。
一覧写真で見てみると、こちらの科の方がより普通のカレイらしいというか、尾鰭が他の鰭から独立して存在していたり、目と口が中央付近からやや左寄りになっており、なるほど科が違うのだなあとすぐに納得することができる。
このシマウシノシタも、よく見ると尾鰭がやや独立しているし、なによりシタビラメ類と比べて
あきらかに分厚い。
これは食べ出がありそうだ。
それからこの魚、地方名が面白い。
ぼうずコンニャクさんところによれば、「オシテニゲヨウ」と呼んでいる地域があるとのこと。
…「押して逃げよう」かな?
それから「サザンガバアバア」。
…? ………???!??
そして、送ってくれた翔さんによれば、岡山では「葬式ゲタ」と呼ばれることもあるらしい。
…あーね、この白黒の陰影が立ったカラーリング、遺影を彷彿とさせますな。(ゲタはシタビラメ類の総称的地方名)
もしかしてこの辺の不吉さが「押して逃げよう」と関係があるのかな??
…分からないけどw
シマウシノシタを食べてみた
とりあえず、分厚いシタビラメってことで捌いてみよう。
頭部先端に爪を差し込んで、皮が剥がれたら、あとは一気に…
…
…カタいなおい。
これを5枚におろし、サクにとる。
クロウシノシタだとこの時点で相当薄っぺらくなってしまったが、シマウシノシタはサクでもそぎ切りできそうなほどの厚みがある。
できるだけ薄めに造ってみた。
いただきマース
…(・~・)
うん、まあまあかな。
カレイって刺身がめちゃくちゃ美味しいものが多いので、相対的にみるとそうでもないけれど、単体で考えればまあまあ美味しい白身の刺身。
カレイの仲間に特徴的な日向臭さというか、嫌みのない個性が感じられる。
脂はそこまで乗っておらず、期待したほどはエンガワも大きくないけど、甘みがあって悪くない。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
続いて加熱料理…
やっぱり、ムニエルは外せないだろう。
…(≧~≦)
美味しー!
なんだか刺身ではそこまででもなかったのに、急に輝き出したぞ。。
生ではやや水っぽさを感じる身質だったが、加熱されるとしっとりとしてジューシーになり、繊維質で淡雪のようにほぐれる上品さが生まれた。
バターが加わることで脂の無さが補われて、かなり上質な料理に。
そして何よりも、普通のシタビラメと比べてずっと厚くて、いっぱい食べられるのが嬉しい!
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
残りは皮を剥いて冷凍しているので、煮物なんかにしてみようかな?
絶対美味しいはず。
コメント
結構、美味いですよねー(^o^)
美味いですねぇ。。何より食べ出があるっていうのは大事なことです。
ウシノシタ科のものは、投げ釣り時代に平塚、伊東で何回も捕獲して食べてますが、味に関しては個体差が大きくて、なかなか評価が難しいと思ってました。約20年前に伊東で獲った超巨大なクロウシノシタ(約50㎝)は、脂の乗りが半端でなくて、ムニエルで今までのカレイ目の最高峰でした。ボクの中ではエベレストのようなものです。あれを超えるカレイ目の個体には死ぬまで出会えないだろうと思ってます。
クロウシノシタで50㎝というのは相当大きいですね。脂の乗りも良かったとのことですが、もしかしたら別種かもしれないなとちょっと思いました。でもそしたらなんだろう、オオシタビラメとか……?