謎野菜兼謎果物
お店のお姉さんに聞いてみると「フルーツ。そのまま、美味しい。」とのことだったので買ってみたが、¥2,000/kgとそこそこ高くてちょっとびっくりした。
そのまま食べろということなのでちょっとかじってみたところ…
……(・~・;)
……梨!?
いや、この味の薄さとみずみずしさ、レンブっぽいな!!
でも見た目が全然違うもんな……
なんか塊茎っぽいんだよな、クワイみたいに芽が出そうだし。
なんだろ、うーん……
黒っぽい……クワイ……
クログワイか!?
いや、クログワイはカヤツリグサ科だからオモダカ科のクワイとは全然違うし……
ん? そういえばカヤツリグサ科に「ショクヨウガヤツリ」ってやつあったな。
調べてみよう。
うーん……これっぽいけど……
よく分からなかったのでツイッターに上げてみると
これはやはりショクヨウガヤツリの塊茎ってことで良いのだろうか
サトウキビとレンブの合の子みたいな味 pic.twitter.com/rF3qCildeS
— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンターの七転八倒日記」好評発売中! (@tetsuto_w) May 16, 2016
シログワイ(水栗、ウォーターチェスナット)っぽいですね
— 尻子玉キュポーン (@IZMNGBZ) May 22, 2016
これだぁぁぁ!! ありがとうございます!
やはりネットの力は強大だわ……今後も積極的にこのパワーに甘えていくことにするぜ……!
意外と便利? カヤツリグサ科の植物
このシログワイやクログワイ、そしてショクヨウガヤツリが含まれるカヤツリグサ科は、我々の身の回りにも実にありふれている植物群、さらにいうと雑草たちである。
イネ科の植物にそっくりだが、茎の断面が三角形だったり葉の数が3枚だったりと「3」絡みのものが多いので慣れるとすぐわかる。
三角形の茎を両側からゆっくりと割いていき「相性占い」をやったことがある方は僕より上の世代では結構いらっしゃるのではないだろうか。
そのおかげか「カヤツリグサ」という名前だけはそれなりに知名度があるのではないかと思う。
しかし、日本でカヤツリグサ科というと、どちらかと言えば悪いイメージが強い。
実はこの科に属するカヤツリグサ、ミズカヤツリ、クログワイは水田における非常に厄介な雑草で、江戸時代の農業指南書にも掲載されているほどのものだったりする。
彼らは稲と同様の時期に、地面に埋もれた塊茎から発生するため除草剤が効きづらく、耐性が付きやすい。
また構造的に丈夫で様々な環境に適応し、旺盛に繁殖する。
さらには水分の多い土壌を好むため水田に大発生して、稲の収穫量を大きく減損させるのだ。
一方で
・丈夫
・水分を好む
・塊茎を作る
という性質から、日本以外では様々に利用されてきた。
カヤツリグサ科で最も大型になるものにパピルス(和名カミガヤツリ)があるが、ご存じのとおり古代エジプトでは紙の材料になった。
薄く切った茎を縦横に並べて圧着させると、決して破れない丈夫な紙になる。
チチカカ湖沿岸では、原住民が草でできた浮島の上で生活しているところがあるが、その材料はフトイとよばれる植物である。
このフトイの島の上で農業も営まれ、また若い茎は野菜代わりにもなるという。
(ちなみにパピルスも食用にされたらしい)
そして塊茎はシログワイやショクヨウガヤツリのように食用となるわけだ。
シログワイを食べてみた
中国でビーチ、英語圏ではウォーターチェスナットと呼ばれるこの作物は、生でも美味しかったが通常は炒め物の材料になるらしい。
ひき肉とナス
そして皮を剥いたシログワイを投入。
高温でさっと炒めて
……(`・~・´)
お、加熱するとちょっとだけデンプン感が。
シャリっとした歯ざわりはそのままにホクホク感が加わり、本家クワイに似た食感になった。
みずみずしさは少し失われたが、僕はクワイが好きなのでこれでも全然好きだ。
そして口の中に残る繊維質が、カヤツリグサの茎の芯を食べたときとそっくりだ!!
……実は先日カメを釣っていた時、河川敷に大型のカヤツリグサ科植物「シュロガヤツリ」が繁茂していたのだが、カメが釣れなくてひまだったときにぺりぺりと剥いて食べてみたのだ。
サトウキビから甘さを取った様な食感で、調理で味を補ってあげればそれなりに食べられるものになるのではないかという結論だった。
シログワイの炒め物はそこにさらに甘みとデンプン質が加わる感覚で、これはなかなか美味しい。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
中華料理でときどき入っている「サトイモみたいな見た目だけどレンコンっぽい食感」の具はたぶんこれだな。
普通は水煮の缶詰を利用するみたいだけど、生の方がよりシャキッとしていて好きだ。
季節の味わいだと思うので、アメ横に行く機会がある方はぜひ試してみてほしい。
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