「責任持って食べます」という言い回しが大嫌いだ。
「つまんねーモノ採れちゃったけど、殺しちゃったししゃーねーべ?」という卑怯な上から目線が透けて見えるのだ。
違う、そうじゃない。
「美味しくいただきます」と。
「全力で美味しくいただくための努力をします」と。
「喰ってもいいのは喰われる覚悟ができている奴だけだ」と。最後のはなんか違うか
まあともかく、あらゆる野食材を美味しく食べて、我が国の食物自給率向上を目指す志の高いサイト「野食ハンマープライズ」へようこそ。管理人の茸本(キノコ検定2級取得)です。
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なんでこんなにだらだら前書きを書いているのかというと、しばらくほったらかしにしていたからというのもあるのだけれど、それ以上にこれから対峙する食材との戦いの苦戦が推測されているから、心を奮い立たせているのである。
最近はやりの深海魚「サケガシラ」である。
尊敬する友人にして、売れっ子アウトドアライターのHさんより押し頂いた。
最近ちょくちょくニュースなどで取り上げられるようになっているので、種の詳しい解説はそちらにお願いすることにする。
ネット上でも様々な人がトライしているが、大まかに言えば以下の3点の意見に集約されるだろう。
・臭くてまずい、トライする価値なし
・干せばまあなんとか…
・ムニエルは結構おいしいよ
一つ目はもう論外。こういう精神的に向上心のないやつはばかだ(by先生)。
そんなこと言ってる間にクジラも食えなくなっていくんやぞ!もっと開拓者精神とかフロンティアスピリッツを持たんかい!
二つ目、三つ目については今回大いに参考にさせていただきつつ、「サケガシラと言えばコレ!」というレシピを探したいものである。
あるんかなそんなもん…
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さて、さっそく捌いていくことにしましょう。
未知の魚の内臓を見るのは楽しい。どんなものを食べて、どんな生活をしているのかを知ることは好奇心の格好の餌となる。
サケガシラの内臓は細長く、胃のようなものは見られず、ほとんど1本の管となった腸と、体の割に大きめの肝臓が出てきた。
カクバラユメザメの内臓に少し似ている気もする。フィッシュイーターだと思うのだが、消化に時間をかけられそうなつくりではない。
肝は放置すると真っ赤なラー油の様な脂が溶け出してくる。食べられるかな…
図体の割にあまりにもかわいらしい胸鰭の下に包丁を入れて頭を落とす。
噂通り骨はとても柔らかく、ほとんど力をかけずに切り落とすことができる。
口のところが自動小銃のスライドのようになっている。
への字型に結んだ口が予想以上に長く伸びるところはマトウダイに似ている。
ヒレを支える骨が柔らかいために3枚に下ろすのはなかなか難儀する。
ヒラメのエンガワのようにも見えて美味しそうだが、脂がのっているというわけでもなさそうだ。脂肪は基本的に肝臓にため込むのかもしれない。
開いた身を放置しておくと、すぐに水分がしみだしてくる。この水分と表面の銀の色素が生臭く、これらをうまく処理しないことには美味しく食べることはできそうにない。
そのため調理前の処理として
干物
のそれぞれで下処理をすることにした。
あと台所にたまたま絞りたての鶏油があったので、ブチ込んでレンジでぐつぐつ煮てみた。
途中でつまみ食いしたところ、身質はタラを柔らかくしたようで、アンコウにも少し似ていた。
意外と鍋なんかも美味しいかもしれない。
以下、調理編に続く
コメント
[…] サケガシラの記事、下拵えを終えたところで終わっていてその後のレポートをすっかり失念していた。申し訳ありません。 […]