先日、テトラポットで「磯物」の採集にいそしんでいると、採取したカイメンの中から見たことないタイプのカニが現れた。
ワイはこいつを見たことがある……
せや! ジョジョ第3部のアイツや!!
カイメンの穴からハサミだけを出してデトリタス(小さな有機物)などを食べているのだろうか。
スタンドの車の中から腕だけを出して「第三部完!!」と叫ぶズィー・ズィーと似た生息形態といえよう。
これだけ立派なハサミを持ちながら攻撃的ということもなく、むしろ逃げ足が早くてあっという間に物陰に隠れてしまう。
やっぱりズィー・ズィーに似て(ry
すごく小さいうえに1匹しか採れず、持って帰ろうか躊躇したものの、まあせっかくなのでと食べてみることにした。
あれ……こいつ、カニの味しないぞ
殻幅1㎝に満たない小さな甲殻類なので、できるだけシンプルに食べないと味が分からなくなってしまう。
ということで、お玉に満たした少量の水でさっと煮たて、
塩だけで味付けをして食べてみた。
……(・~・)
……こいつ、アナジャコ!?
甲やハサミの殻は見た目通りに硬いものの、そもそも小さいので簡単に噛み砕くことができる。
そしてその瞬間に舌に広がる風味はホヤのそれ。
このパターン、アナジャコと一緒じゃんか……!
カニみそとは明らかに違った、しかも予想以上に強い風味に戸惑いが隠し切れない。
アナジャコの味ってそれとわかって食べるから美味に感じるのであって、カニとかエビとかを想定して食べると一瞬本気でビビるのだ。
このサイズでその衝撃を味わうとは思っていなかったけど。。
味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
磯の「カニだまし」
ここで改めて生きていた時の写真を見る。
不釣り合いなほど長いハサミにまず目が行くが、白水玉模様が美しい甲羅はよく見るとやや縦に長い。
ふんどしの部分はかんたんに剥がれてしまう。
そして……
お気づきだろうか。
そう、ハサミを抜いた脚が3対しかない。
つまりこの甲殻類、カニじゃなくてヤドカリの仲間なのだ。
ぼんやりして騙されてしまっていた。
道理でなかなか名前が判らなかったわけだ……
あらためてヤドカリの図鑑を引っ張り出してみると、イソカニダマシという名前の種であることが判明した。
一般的なヤドカリのように住処を背負って歩くことは無く、自由に行動しながら餌を摂るのだが、脚をはじめいくつかの特徴にしっかりとヤドカリらしさを残している。。
そう考えるとあの味も納得がいく。
ヤドカリ類は特にミソ(中腸腺)に独特の風味があり、カニのように万人受けする味わいではないものが多い。
身近なものではタラバガニやアブラガニなど、完全に「カニ」として流通はしているものの、先入観を排して食べ比べてみるとカニとは味わいの差があることがわかる。
アナジャコもそうだが、食べることで違いを痛感する甲殻類というのは結構いる。
カニあるいはエビによく似たヤドカリの仲間は、タラバガニやオオコシオリエビを含めかなりたくさんいるが、その多くはやや深いところにすむ。
そのため、磯遊びなどでよく出会う当種は、ヤドカリ類の勉強をするための教材としてはかなり有用と言えるだろう。
今後、もし一度にたくさん手に入るようなことがあれば、例の「水を飲むと甘くなるか」みたいな実験をしてみたい。
コメント
>食べることで違いを痛感する甲殻類
患者「カニアレルギーがあるんですがカニ食べたら蕁麻疹が出ました」
わい「カニアレルギーがあるならカニ食べちゃダメですよ?」
患者「この前タラバガニ食べた時は大丈夫だったんですが…」
わい「タラバはヤドカリですから」
後日エライ先生にお尋ねしたところ、カニにはあるけどエビやヤドカリにはないタンパク質だかアミノ酸だかがあるそうでそれがアレルゲンでは?との事でした。
甲殻類アレルギーというのは良く聞きますが、カニ限定のアレルギーというのもあるものなんですね!
そしてやっぱりタラバは大丈夫なのか……人体ってふしぎ。
カサゴの胃の中からやたらにこいつが出てくるときがありますが、いい餌になるかもしれませんね。
確かに、よく動くし、殻も柔らかく食べやすそうですね!
捕まえるの面倒ですけどw