先日、友人の誘いでイイダコを釣りにいったのだが、釣り始めてすぐに降り出した雨が強まる中、心が折れて途中で戦線離脱してしまった。
このままではお土産のノルマを達成することができないため、帰りに神奈川県佐島の直売所によって鮮魚を購入していくことにしたのだが、そこの生け簀でユニークなものに出会った。
体長は15㎝ほど、明るい黄色に鱗一枚一枚が黒く縁どられ、非常に防御力の高そうな見た目だ。
古代魚さながらのガチガチ感がある。
水族館ではよく見るけどこれ、何て魚だっけ…… うーん……
あ、マツカサウオだ!!
魚屋で見かけることはまずないため、僕みたいな市場erよりもシュノーケラーやダイバーの方が早く同定できそうな気がする。
元気に泳いでるけどこれ、もしかしてお店のペットかしら。
「すみませーん、この子、売り物ですか?」
「そうよー、500円! どうすr「ください!!!」(食い気味に)
マツカサウオ、予想以上に甲冑
発泡スチロールのクーラーを穴だらけにしながら川崎まで持って帰ってきたのだが、魚があばれる度に、トゲが「ドスッドスッ」と発泡スチロールに刺さる音がして笑った。
観察をしましょう。
可動部は頭部、胸鰭、尾鰭程度で、あとは鎧のような鱗におおわれており動かすことはできないようだ。
体側前半部の鱗は一体化してハコフグのそれのようになっている。
頭上部から吻にかけてはスケルトンで、ヘルメット状になっておりここも極めて固い。
目から下あごにかけては黒がちで、迷彩色にも見えてくる。
この黒い部分に発光器が存在するらしいが、光るところは確認できなかった。
背鰭と腹鰭の条は魚体サイズからは不釣り合いなほど硬く伸びる。
背鰭の条は互生に、腹鰭の条は対生になっているが、生きているときはすべてが真上・真下を向いており、威嚇のために取ったポーズのまま死後硬直するとこのようになるらしい。
ギマと同様に“自力で”立つことができる。
肛門は可動部と非可動部の境目にあるが、一瞬わかりにくい。
全体としてハコフグがより攻撃的なデザインになった様な印象を受ける。
さらには匂いもハコフグに似た独特の生臭みがある。
見た目からもなんとなくわかるとおり、マツカサウオはキンメダイとやや近い仲間の魚で、フグ目のハコフグとはかなり遠い存在だ。
収斂進化というやつなのだろうけど、こんなファンキーな姿で収斂するなんてきっと神様でも想像がつかなかったに違いない。
マツカサウオを捌いて食べてみた
ひとしきり観察ののち、さっそく捌いてみようとしたのだが……
出刃は全く立たず、キッチンバサミでも相当力を入れないと切ることができない。
鰭の条や鱗の棘が刺さり、手が生傷だらけになる。
それでも何とか肛門のところにハサミを入れ、そのまま半身の輪郭に沿って鱗を切り進んでいく。
1周ぐるりと切って、剥がすと
べろりと剥けた!
2枚おろしにし、
刺身に造ってみる。
いただきマース
……(≧~≦)!!11!
すごい! なんでこんなに脂乗ってるの??
あ、そうか、キンメダイに近いからか……
でも、どちらかというとトロリと柔らかいキンメダイに比べると、マツカサウオはまるでカワハギかと思うくらい身が締まっている。
味そのものは正直、キンメダイより上かもしれない。
ただ、あまりにも歩留まりが悪く、身が小さすぎる。
もったいない…… 実にもったいない……
味:★★★★★
価格:★★★☆☆
もう半身はオーブンで丸焼きにしてみた。
バキッと割ると、中からホクホクの白身が現れる。
……(・~・*)
うん、身は締まりながらもホクホクで、脂も感じられて美味しい。
構造上、勝手に蒸し焼きになってくれるんだろうね~。
腹部のアーマーの中に詰まった筋肉は気持ちよくスポッと取れる。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
いやー、世の中にはまだまだ予想をはるかに上回って美味しい魚が存在するんだなぁ。。
コメント
なんと綺麗な銀…うっとり
これは見た目だけでもう旨いの確定な色つやしてますわ(ゲス顔
そう言えば、魚市で買ったキンメをおススメに従って刺身にしてみたけど脂が乗ってる感じがしないというか、、そもそもあまり旨味を感じなかったんですよねぇ…
あれ?この値段でこの味??と、狐に摘ままれた気分で食べ終えてしまった記憶があります。
旬じゃなかったのかしら…
あーー、カワハギ食いたくなってきてしまった…
このカワハギ表現はズルイ!w
あったら買いますよねー
ということで違うのを探そう。
野食万歳。
この魚は以前初島に行った時に何件かのお店の水槽で泳いでました。
変わった魚だなーと思ってみてました。
食えるとは。しかも、金目に近い味?
私は魚の中では金目の刺身が一番だと思ってるので一度食ってみたいですね。
ウピスコさん
金目は脂がのってるものは極上ですが、のってない物はたいしてうまくないですね。
見分ける方法はよくわからないのですが、南伊豆の旅館で食べたのと、釣ってきたのを食べた物は最高に美味かったです。
でも、東伊豆の道沿いの金目屋さんや、下○の道の駅で食べた金目は高い割に全く脂がのっていなく・・・。
あのあたりのキンメは漁場によって質が全く違うらしいんですよ。
見た目でわからないので詐称し放題でしょうし、単に観光地価格との混同もあって更にわかりにくいですが食べると特に刺身での差は歴然ですね。
おそらく新島周りが最強、初島周りのも小さくてもわりと脂乗ってますが、手前は何故かサッパリ。
自分で釣ってくると漁場の誤魔化しが効かないのでよくわかると思います。
なるほどぉ…色々な意味で金目は敷居が高いお魚なのですね…
金目というより、そもそも船釣りはほとんどしたことが無くそれも自分にとって敷居が高いのですが、釣りを嗜む以上いつかは自分で釣った金目を食べてみたいものです。
僕も食べた事がありますが、なかなか調理に苦戦しましたが旨かったと記憶しています。
その後どこで聞いたか忘れましたが、どこかの漁師はそのまま焚き火にマツカサウオを投げ込み、硬い鱗で蒸し焼きになった身を、黒焦げの鱗を剥がしながら食べると聞きました。
漁を終えて暖をとるときのおやつ感覚なんでしょうかね?
以来マツカサウオを入手していないので試していませんが、最も“理に叶った”利用方法だと思えませんか?
機会あれば是非
なるほど、やはりハコフグと同じような調理法が存在するというわけですね……
今回半身ながら焼いてみた結果、おっしゃる通り蒸し焼きになりましたので調理法としては手軽かつ最適かと思います。でも、やっぱり刺身の美味しさが出色なので、次手に入っても、また手を血だらけにして刺身にしちゃうと思います(^_^;)