カヤとの比較用に採取してきたイヌガヤ。
カヤとは属が異なり、実のようすも結構異なる。
カヤは堅果の印象があり、イヌガヤは明らかに液果だ。(果肉でなく仮種皮なので、液果と呼んでいいのかわからないけど)
植物でイヌ○○と名付けられる場合、本家と似ているけど役に立たないもの、という意味があることが多い。
一体どのように役立たずなのだろうか。
イヌガヤの核はクッソ苦い
イヌガヤの実の仮種皮を剥くと、ヌルヌルした液に包まれた種子が現れた。
これを丁寧に洗い、フライパンで煎って
カヤと異なり、表面のシワがなくてツルッとしている。
小さい銀杏のようだ。
食べてみよう。
……Σ(*×*)
にげぇぇええぇ
ダメだこりゃ。。
心地よい、食欲をそそる苦味ではなく、口にした瞬間に脳内に「毒」ランプが灯るような危険な苦さ。
これはやはりイヌですわ……
味:☆☆☆☆☆
価格:☆☆☆☆☆
お酒に漬けてみたらどうだろう
とはいえ、イヌガヤが全く役立たずなのかというと、そういうわけではない部分もある。
仮種皮の部分は、熟するとみずみずしく、甘くなる。
口に含むとジューシーで結構美味しい。
ただカヤの仲間だけあってシンナー臭のようなヤニ臭さもあり、まるで建設現場でブドウを食べているような気持ちになるので苦手な人には厳しいだろう。
これをお酒に漬けてみたらどうなるのか、とふと思ったので試してみることにした。
その驚異的な抽出能力で、3日もすればいいカンジにエキスが出る。
ちょっと飲んでみよう。
……(*益*)
強烈!!!
有機溶媒に、苦みのある青臭さが加わったような、思わずのけぞりそうになる香り。
これ飲むのはキツイな……
ヤニの成分も間違いなく溶け出てるし、アルコール度も80%以上はあるだろうから、このまま燃料にでもしてやろうか……
と思ったが、さすがにそれも忍びないので、なにかで割ってみたら多少は飲みやすくなるのではと思い炭酸水を入れてみた。
すると
白濁した!
これあれだ、アブサンとかパスティスと同じパターンだわ。
高濃度アルコールに溶けていた成分が、水で薄められることによって非溶解状態になり析出してくるアレ。
そう考えればアブサンもこんな強烈な香りするよなぁ……
じゃあ、飲み方を倣ってみよう。
ということでグラスの上に角砂糖……がないので三温糖を盛ったスプーンを置き、
……(・~・)
うん、これなら飲める!
風味は相変わらず強烈だけど、個性としては許せる範囲だ。
砂糖をもっとドバドバ入れて、しょっぱいつまみと一緒に飲んだら美味しく飲めそう。
あとはカクテルの知識が必要だな……
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
アブサンの原料であるニガヨモギには幻覚性の毒が微量含まれていて、それにより強烈な依存性をもち、ゴッホをはじめとした愛飲家を苦しめたと言われている。
イヌガヤにそんな力があるとは思えないけど、この強烈な香りは慣れると蠱惑的に感じるのかもしれないなぁとも思った。
いずれにしても、飲み過ぎには気をつけます。
コメント
そんなに強烈なお酒だと、やはり強烈な風味のあてが合うのでしょうか。
ロックフォールとか?和の食材だとあんまり浮かんでこないn…あ、それこそアイゴのぜんまいとか!?w
僕がフランスで初めてパスティス(模造アブサン)を飲んだとき、一番合うおつまみだと勧められたのが
プリングルス(サワークリームオニオン味)
でした。
甘くして飲むお酒なので、しょっぱいものなら何でもイケますよ。
針葉樹のお酒というとジンが思い浮かびますが、アブサンとどっちが近いのでしょうか。感想を見る限りアニス酒系統にも近い風味のような…
ジンやアブサンのような強烈な風味のお酒ですと、飲みやすさを求めるのであればトニックウォーター割りをおすすめします。酒2トニック8ぐらいで試して、あとは好みで調節してみてください。
三ツ矢サイダーのグリーンレモンで割っても、クセが穏やかになりさっぱりといただけますのでお試しください。
そう! 野食会でカヤの実酒が出たとき、バーの方がトニックウォーターで割って出してくれました。かんきつ系の風味もあっていましたね。
「建設現場でブドウを食べているような気持ち」は素晴らしく適切な表現ですね。おかげでイヌガヤの実と特定できました。