食用タケリタケ? ロブスター茸? ヒポミケスキンに侵されたアカモミタケを食べてみた

スポンサーリンク

先日、ちょっと標高の高いところにキノコ狩りに行ってきた。

シモフリシメジ

シモフリシメジ


シモコシ

シモコシ


遅れぎみの季節に惑わされず、落ち葉の敷き詰められた地上にはシモフリシメジやシモコシといった晩秋のキノコが生えていた。

そんな晩秋キノコのなかでも、僕が好きなものの1つアカモミタケを採ろうと、モミの植林地を歩いていると、同行の友人が「これ、なに?」と声をかけてきた。

視線の先には明るいオレンジ色のキノコらしきもの。
やった、アカモミタケだ! 


……と思ったのだが、様子がおかしい。

!?

!?


チチタケやハツタケと同じベニタケ科のキノコであるアカモミタケは、ゴルフのマーカーやワイングラスのようにT字~Y字型に傘を広げる。

しかしこのキノコのかさはぐにゃぐにゃと波打ち、びらびらしていて規律性がない。
しかもかさの裏にあるはずのひだがなく、白くざらざらとしている。

kimg3300
別種のキノコかとも思ったが、切るとオレンジの汁を出すところはまさにアカモミタケだ。

どうやら、これは奇形のアカモミタケのようだ。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
 

タケリタケというよりも……

キノコの奇形といえば、あまりにも有名すぎるのがタケリタケ。

タケリタケ google画像検索結果

ヒポミケスキンという菌に寄生されたキノコのうち、かさがうまく開かなかったものは形状がおっきした男性器そっくりになるため、このような名前で呼ばれている。
テングタケ科の菌に多い。

同じ菌がベニタケ科のキノコに寄生すると、かさが縮れてひだが無くなりこのような形状になるようだ。

ひだの様子

ひだの様子


kimg3297
こちらはむしろ……その、女性器に似てる気がする。
僕はこういう形状、好きですよ?


さて、このような奇形化を引き起こすヒポミケスキンだが、それ自体に毒性はないとされている。
そのため宿主が無毒ならば食べても問題はないようだ。

難しいのは、奇形化すると元の子実体の形質が失われてしまうため、同定が困難になってしまうという点である。
今回はすぐ横に正常なアカモミタケがあったために自信を持って同定ができたが、自信がないなら手を出すのはやめた方が良さそうだ。

ヒポミケスキンに寄生されたアカモミタケを食べてみた

kimg3297
今回、この奇形アカモミタケを食べるために持ち帰ってきた。
というのも、アメリカと日本でそれぞれ、この類いのキノコを食べる文化があるのだ。


アメリカでは、アカモミタケとほぼ近縁のオレンジ色のベニタケ科のキノコ(もしかすると同種かも)にヒポミケスキンがついて奇形化したものを「ロブスターマッシュルーム」と呼び、好んで食用にしているという。

一方日本では、東北地方の一部で、ヒポミケスキンに寄生されてひだが無くなったベニタケ科のキノコを「シモハツタケ」と呼んで、やはり食用にしてきたそうだ。

これは食べてみたいと思うのが当たり前だ。

今回は量があまりないこと、そして正常な
アカモミタケはバターとの相性が抜群に良いことなどから、シンプルなバター炒めにして味の差を確かめてみることにした。


左が奇形

左が奇形

kimg3294
それぞれ、やや大きめにスライスして、多目のバターでじっくり炒める。

kimg3303
まずは普通のアカモミタケから

いただきマース
……(`・~・´)
うん、ハツタケと比べると香りがやや弱いが、旨味があって味が濃くて美味しい!

続いて奇形アカモミタケ。
kimg3304
……(´・~・`)
歯ごたえが強くて旨味もあるけど、なんだか苦いぞ……
しかも口のなかでだんだん強くなってくる。
爽やかな苦味ではなく、頭痛薬のような不快な苦味が舌の付け根に残り続ける。

炒めすぎて焦げたかな? と思い、さっと炒めたものを食べてみると
kimg3305
Σ(;~;)
ダメだっ! これ、生の時がいちばん苦いやつだ。。

と言うことは、ずーっと加熱し続けたり、あるいは揚げたりすると苦味が消えて食べやすくなるのかな?
でもあの苦味はちょっと苦手なタイプだからなぁ。。

歯ごたえは元のアカモミタケより強靭で弾力もあり、それこそ茹でたロブスターみたいな魅力がある。
味さえ元のままだったらかなり上位を狙えるんだけど……。
マコモタケみたいにね。

味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆



いろいろともったいないキノコだった。
この苦味はヒポミケスキン由来のものだろうか。
ロブスターマッシュルームはいいとして、シモハツタケもこんな苦味がでるのか。
他のものも試してみたいものだ……タマゴタケのタケリタケとかないのかな?

スポンサーリンク
 
スポンサーリンク
キノコ
スポンサーリンク
茸本 朗をフォローする
野食ハンマープライス

コメント

  1. ウピスコ より:

    個体によっての変異が激しい&激似のキノコに猛毒種がある
    だけでもかなり敷居が高いというに、こんな現象もあるんでございますね…
    どう見ても同じキノコに見えない上に味も違ってくるとか難易度タカス…
    せめて間違えても腹壊すくらいだったらいいんですけどね…上から数えた方が早そうなトラウマな死に方とかリスク高杉ィ!

    ともあれ、普通の方は綺麗な色のキノコですね。奇形の方は…僕は誰かが捨てたミカンの皮かな?とか思いそうで怖い。

    • wacky より:

      キノコは発生地の環境や生育時の気候なんかでも恐ろしいほど形質が変わってしまいますからねぇ……結局、自信を持って同定できるものしか食べてはいけないんですよ。

      アカモミタケは確かにきれいなキノコですが、食べると翌日の尿がこれまたきれいな色になりまして……w 初めて食べたときはクッソびびりました。。

タイトルとURLをコピーしました