先日、都下某所に「野食のススメ 第7回」の取材に行ってきたのだが、その際にまたもマテバシイのドングリを大量に拾ってしまった。
今回はこの記事のスピンオフです↓
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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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大気汚染や強い潮風に対して耐性があるマテバシイは、都心各地の公園や海岸の街路樹として用いられており、その気になればいくらでも拾うことができる。
先日の取材でその利用性の高さを実感しており、今後のなにかに役立つかも……と思うとつい手が伸びてしまった。
まあここで会ったのも何かの縁、せっかくなので記事内ではできなかったことを試してみよう。
かつてドングリとは餅や豆腐にするものだった?
縄文時代最も栄えていた集落のひとつと考えられている、青森県・三内丸山遺跡。
ここでは主食の1つとしてドングリが食べられていたといい、アク抜きや煮炊きのための土器が出土している。
もっともドングリ食は三内丸山の専売特許ではなく、全国各地で行われていたと考えられている。
それと関連があるのかないのかよくわからないが、現在でも各地でドングリを原料にした加工料理が生産されており、ローカル食文化として伝わっている。
とくに北日本と四国・九州に多いようだが、前者は米が取れにくい寒冷な気候だったこと、後者はシイやイチイガシ、マテバシイのような渋の少ない暖帯ブナ科樹林が存在したことによるのではないか、と思っている。
これらドングリ食文化の中で一番ポピュラーなものの1つが、アク抜きをして粉末状にしたドングリを加熱・加水しながら練り、冷やして固めたものである。
カシ豆腐やドングリ餅と呼ばれるこの料理は、くず餅(川崎大師で売られているような)と同様にデンプンをアルファ化させて固める料理の類であり、豆腐と呼ばれているものも、餅と呼ばれているものも、根本的には同じものだ。
韓国でもトトリムクと呼ばれる同様の食材があり、最近では健康食品として見直されてきているのだという。
これらのものを作る際は、それぞれの産地で採れるドングリが利用されているが、コナラやクヌギのような渋(含有タンニン量)の多いもので作る際には、荒砕きにしたものを何日か流水に晒したり、もしくは灰汁と一緒に煮たりして渋を抜く必要がありとても面倒だ。
トチの実などのアク抜きにトライされたことのある方ならわかってくれると思うが、都心部においてこういった堅果のアク抜きをするのは非常に難しく、かなりの確率で失敗してしまう。(無尽蔵に使える流水もなければ、天然の灰汁も手に入らないので)
このため、現代の日本ではドングリ豆腐や、そもそもドングリそのものが食用にされていない。
しかし、そもそも灰汁が少ないドングリで作れば、アク抜きの手間が省け、失敗することもないんではなかろうか。
たとえばそう、マテバシイとか。
マテバシイでドングリ餅(あるいはドングリ豆腐、トトリムク)を作ってみた
まず、マテバシイを1つずつ金槌で割り、中身(子葉)を取りだす。
マテバシイは大きくて割りやすく、渋皮まで簡単に剥けてくれるので極めて楽だ。
これを砕いていくのだが、その前にちょっと味見。
……(・益・;)若干渋い。
スダジイやクリは生でも食べられるくらい渋が少ないが、マテバシイレベルだとさすがに多少の渋はあるようだ。
これは炒めたりすることでなくなってしまう程度のものだが、一応念を入れて渋抜きをしておく。
と言っても、フードプロセッサーで粉にしたものに
水をドバーッと入れて30分ほど置き、
上澄み液を捨てるだけ。
渋の強い種ならこれを10回程度繰り返すが、マテバシイならたぶん1回でも大丈夫だろう。
これに水を加えて、フライパンで加熱しながら練る。
甘くしたければここで砂糖などを入れる。
すぐに粘り気が出て餅状になるので、適当な容器に入れて冷やしたら完成。
いただきマース
……(`・~・´)
うん、とくに味はないけど、ドングリらしい香りや野性味があってこれはなかなか。
甘くしてもしょっぱくしても美味しくなりそうだ。
軽く焼くと香ばしさが出てよりGoodね!
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
フードプロセッサーレベルの粒サイズでも、滑らかさこそないものの十分に固まってくれた。
これなら炒め物や汁物に入れても、固形を保ってくれるかな……?
次回の「野食のススメ」取材時にちょっとトライしてみたいことがあったので、とりあえずここまで上手くいってくれたのは良かった。
残りのドングリも粉にしておいとこうかな、汎用性高そうだし!
コメント
マテバシイ、見つけるの大変でしたけど収穫してみました!
クッキーにしてみましたが、ほんとにクセないですね^q^
これが個人的なドングリのデフォルトになると他のを食べる時にアク抜き作業とかが超絶めんどくさくなってしまいそう…
この癖の無さは食材としての可能性を感じますね!とてもいい食材と言えると思います!
市民公園で初めて故に他人の目を気にしてハラハラしながら収穫したことで精神的に疲労したことを除けば…。
正直なところ僕も、マテバシイやスダジイが拾えるならもう他のドングリに手は出さなくてイイかなぁと思っています。アク抜きを全くしないで、渋皮をちょっと入れるようにしたら野性味の強い料理も作れますしね。
「子どもが拾って来いってうるさくて……」みたいなオーラを出しながらやると良いですよ! それか駄菓子握らせてその辺の子どもに拾ってもらうとか、ドングリを拾って遊んでる子供をスカウトするとか
お巡りさんこっちです!!