冬は野食に向いている季節だと言える。
その理由は以下の通りだ。
①寒くなり採れるものの種類こそ減るが、臭みが減ったり脂が乗ることで食味が良くなる
②浅場の魚が採れにくくなる一方で、深場の魚がやや浅い場所に移動してくる
③貯蔵性の植物性食材が採れる
④微生物や酵素の動きをコントロールしやすくなる
とくに③と④は家の中で野食活動ができる理由ともなり、寒さにたいへん弱い僕は、この冬はこちら方面の化学実験を積極的に取り入れていこうと考えている。
野食×酵素
そんなある日、僕のもとに新しいおもちゃが届いた。
製薬各社から「胸焼け、消化不良の薬」として販売されている消化酵素剤。
今回はその中で代表格と言える、第一三共ヘルスケアの「新タカヂア錠」を購入した。
この剤は麹菌から抽出した酵素を原料に造られており、簡単に言うとこの剤を食材に用いることで、麹で醸したときと似たような効果を得ることができる。
主要成分はタカジアスターゼN1という酵素群で、デンプンを分解・糖化する酵素アミラーゼを主体に、タンパク質を分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼが含まれているという。
いろいろな野食材に応用すれば、これまで誰も出会っていない面白い結果を見出すことができるのではないだろうか。
ドングリを醸してみよう
ということで、まずは先日からハマっているマテバシイのドングリで試してみることにした。
保存しておいたマテバシイ餅(むしろポレンタかな)を
熱湯を入れた鍋でぐしぐしつぶして
こねて、40℃くらいまで冷ましておく。
その間に新タカヂア錠を粉にし(グラスのボトムで砕くとpillows感が出て良い)少量の水で溶いておく。
これを、先ほどの練りドングリに投入。
良く混ぜて、電子レンジの発酵モード(40℃)で90分温め、取りだすと
多少はサラサラになってるようだ。
マテバシイデンプンの糖化が行われたのかな?
舐めてみるが……
……(´・~・`)
ちっとも甘くない。
生成していないデンプンだし、糖化が完了するまできっと一晩くらいかかるんだろうな……。
まあいいや、次のフェーズに進もう。
取りだしたるは
イースト。
これをバサバサと入れて混ぜ、
再び保温レンジに。
90分ほど待つと
おお! めっちゃ発酵しとる!
並行複発酵(デンプンの糖化と糖のアルコール発酵を同時に行う手法、日本酒などで用いられる)は、一般的な手法と比べて発酵が活発に行われるというが、デンプンの割合が穀物と比べ低いドングリでもそうなるのだろうか。
通常、酛を作るときはイースト菌を砂糖水に入れるのだが、今回はよりドングリの度合いを高くしたかったので、ドングリそのものを糖化して作ってみたかったのだ。
意外とうまく行ったので嬉しい。
いずれにしてもこれで酛立てはOK。
あまり活動させすぎても、アのつく生成物が増えすぎて税務署マターになってしまうので、適度なところでストップさせる。
これでさらにあるものを醸していくのだが、続きはまた次回。
コメント
消化剤で醸す!
つづきがとても楽しみです。
どんどんやっていきますよー!