マスタケというキノコを今年採取した。自分で見つけて採ったのは初めてのことだ。
マスタケは樹上に発生するサルノコシカケ類のキノコで、半円状のかさが何枚も重なり合った形状をしている。
この子実体は雨に当たったせいか、名称の由来となったサーモンピンクは褪せてしまっているが、耳たぶのような柔らかさは失われていない。
子実体が成長し、堅くなってしまうと食べられなくなってしまうのだが、ギリギリ大丈夫のようだ。
近縁のアイカワタケというキノコとよく似ているため、もしかするとそちらかもしれないが、いずれにせよ食べられる種だというので試食してみた。
●マスタケを調理する
茹でてみると、色味が戻っておいしそうになってきた。
しかし…
冷ましてから手で裂いて、口に入れると酸っぱい。カンゾウタケの苦戦が思い出される味だ。
この酸味を消すのは骨が折れそうなので、どうにかして料理に活かす方法を考えなくてはならない。
対して食感はというと、かさの周縁部はコリコリとしているが、中心に近づくにつれて徐々にぱさつきが増し、やがて失敗した角煮のようになってしまった。
むむむむ…
●マスタケの酸味と戦う調理法
結局、中心部は酸味、ぱさつきともに強いため諦め、周縁部だけを調理することにした。
ニンニクだれに漬け込んで水気を切り、油で揚げてみると
色合いもよく食欲をそそる唐揚げができた。
まさに鮭そのもののようだ。
一口かじると、中から酸味のある肉汁がじゅわっと溢れてきたが、ニンニクと胡椒の風味に合わさって清涼感のある味わいに。
食感は鶏の胸肉から、上等な部分はもも肉のようなぷりっとした繊維の束感があり、笑ってしまうほど鳥の唐揚げだった。
レモンをかけなくても良い酸味は評価が分かれるかもしれないが…
よりぱさつきの強そうな部位に関してはもう一工夫し、
鶏皮にくるんで揚げてみた。
こうすることでジューシーさが増し、鶏油の風味によって旨味も加わったが、やはり強い酸味が気になる。
アイデアは悪くないと思うのだが…
そのほか、数枚のかさは茹でて味噌漬けにしてみたが、酸味は消えたがしょっぱくなりすぎてしまった。スポンジ状の構造をしているようで、良くも悪くも周りの影響を強く受けすぎてしまうキノコだ。
●マスタケ調理まとめ
結論としては、やはりかさの周縁部のみを食べるか、極々若い個体を採取するのが良いように思う。
ただ、食べるのにベストタイミングな子実体の味わいはほかにないもので、珍味としての価値はとても高いと思う。麓のキノコ屋でも一塊6000円とかで売ってるし。
味:★★★☆☆
価格:★★★★☆
生えそうなところはわかったので、来年は重点的に巡ってベストな子実体を手に入れてみたい。春から秋の長い期間にわたって発生するのでじきに出会えるだろう…
コメント
はじめまして。このマスタケは写真で拝見する限り流れ気味かもしれませんね。丁度今頃から富士山で新しいものが採れると思います。ごく幼いものを天ぷらやフライにして一度冷ますと香りが立ちますのでお試しを。
素晴らしいサイトで読み物も面白くこれからも楽しみにしております。お体に触らぬ程度に頑張って下さい
コメントありがとうございます!
もう出るんですか!
昨年は6月頃に日光で成長したものを観ましたが、高山はなかなか早いんですね。狙ってみようと思います。
なるほど、一度冷ますと良いんですね…試してみないと。。