「野食のススメ」第9回の記事が公開されました。
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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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そのモツにまで上質な脂をため込んでいる「おしつけ」ことアブラボウズ。
体脂肪率40%を超えるという驚異のダイナマイトボディは、僕や小田原市民のようなぽっちゃり好きの心をかどわかし続けているが、不思議なことに小田原周辺以外ではあまり利用されない。(銚子でも食べられることはあるけど)
それゆえに認知度も低い。
最近では、中毒事故も相次いだ食用不適のワックス魚「アブラソコムツ」の方が高い知名度を誇っているかも知れない。
名前が似ていることや、同じ深海性の巨大魚ということもあり時に混同すらされる。
アブラソコムツのことを「あぶらぼう」と呼ぶ地域があることが、混乱に拍車をかけているようだ。
実際のところは、カサゴ目に属し、食用で人気のギンダラと同じグループに属するアブラボウズと、クロタチカマス科という独特なグループに属するアブラソコムツでは、生態も組成も全くと言っていいほど異なる。
なにより
脂が
ケツから
出ない
アブラボウズの脂はワックスではなくグリセリドであり消化が可能なのだ。
が、あまりに脂が多いため人によっては食後に胃腸の不具合が出ることがある。
おしつけという地方名も「押し付けられる(毒味を)」という意味から来ているそうだが、そんな呼び方をしながらも珍重されて来たということを鑑みても、まったく魚の脂というのは罪深いものである。
アブラボウズの卵を食べてみた
さて、そんなアブラボウズの卵を、小田原が誇る魚屋「魚國」で購入してきた。
こわた(モツ)と比べるとやや値が貼るが、魚卵というのはえてして高価なものだ。
先ほど言及したアブラソコムツは、ワックスのせいで日本では食用での流通が禁止されているが、お隣台湾ではこの魚の卵を使った「からすみ」が人気となっているそうだ。
オーソドックスなからすみはボラの卵で作られるが、そのねっとりとした歯触りと脂はなんとワックスに由来するものらしい。
浮遊性の卵のため脂質を多く含むそうで、ボラ自体の筋肉にはワックスはほとんど含まれていないようだ。
そんなからすみをアブラソコムツで作った日には……いったいどうなってしまうのだろう。
僕は食べないほうがいいのかもしれない。
で、アブラボウズは前述のとおりアブラソコムツとは全く別の魚で、ワックス成分も含んでいないのだが、その卵はいったいどうなのだろうか。
やっぱり脂がのっていて、味が濃いのだろうか。
購入するときにおすすめの食べ方を聞いたのだが、オーソドックスに煮るのが一番美味しいそうだ。
でも、1つだけ注文があった。
「白滝を入れて!」
へー白滝(`・ω・´)面白いね。
この地域のルールなのか、それともお店のおばちゃんお姉さんの好みなのかはわからないが、言いつけを守ることにした。
先日よりマイフェイバリット大根の地位に昇格した宮崎の地場産野菜「米良大根」も入れてみることに。
巨大な卵なので、適当なサイズに切り分けて、
白い具材ばっかりだから薄口しょうゆ、白だし、酒、みりんで煮つゆを作り、
卵と白滝、米良大根を入れてことことと煮る。
でーきた(≧∀≦)
いただきマース
……(`・~・´)
うん、美味しいね。
粒のサイズや食感はマダラの卵にとても近いけれど、やっぱりちょっとだけ脂が強いような気がするなぁ。
あと、うまみも強い。
いい出汁が出て、それがしみ込んだ大根が本当に美味しい。
そして、煮汁にこぼれてしまった卵が、白滝と絡んでくるのがたまらなく美味しい!
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
もう1つのほうはとりあえず塩漬けにして、
からすみを作ってみようと思います!
コメント
ウチの田舎の秋田県沿岸地方では、鱈子に刻んだ白滝を絡め炒め煮にしたものを時々食べていましたが、あれが郷土の味だったのかは謎です。
白滝に味が染みてご飯の友としても美味しかったんですが、あの舌にざらつく食感は好みが分かれるようでした。
今は昔、30年前の懐かしい思い出ですね
なるほど、割とよくある食べ方なのでしょうかね。舌にざらつくのは魚卵なんだからしょうがないような……(^_^;)いずれにせよ、僕は多分それ好きです。食べてみたいなあ
北海道にもありますよ、
タラコと糸こんにゃくでしたが
魚卵とこんにゃくは定番なんですかねえ
どうも定番のようですねぇ……まあ考えてみたら、煮汁にこぼれた魚卵を無駄なく食べるには、煮汁ごとご飯にぶっかけるか、白滝で捕獲するかのどちらかしかなさそうですもんね