鎌倉のきれいな砂浜を歩いていると、波が引いた後にさっと砂浜にもぐる生き物を見かけた。
慌てて近寄ったのだが、なんの変哲もない砂浜が広がっていた。
不思議に思いじっと観察していると、ふたたび波が来た時に何者かが這い出し、波に乗って沖合に行くのが見えた。
波が引いた後、周辺の砂をタモ網ですくってふるってみると、変わったカニが出てきた。
一見ワタリガニのようだが、殻長は6㎝ほどとやや小さく、丸みが強い。
輪郭が丸いだけでなく、横から見たときの形も何となく丸っこい。
細かいまだら模様で、殻の中心にくぼみがあるところはヒラツメガニにも似ている。
しかし、ひっくり返してみるとワタリガニとは全く違う。
ワタリガニの仲間は、8本の歩脚のうち一番下の1対だけがヘラ状になっており遊泳することができるが、このカニはなんと8本すべての歩脚がヘラ状になっているのだ。
道理で砂に潜るのが異様に速いと思った。逆に歩くのは不得意そうだ…
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このカニ、調べてみると、キンセンガニという種類のようである。
ワタリガニとはそこまで近縁ではなく、さいきん水族館でよく話題となるカラッパの仲間に近いらしい。
色々な文献を見てみたが、どうやら毒は無さそうで、食用にする地方がある、という記述も見つけた。
でも食べている人を探していると、どうもワタリガニやヒラツメガニと混同しているような印象を受ける。
これは自分で食べて確かめてみるしかない。
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小さいカニなので、味噌汁と唐揚げに…と思い出刃包丁で二つ割りにしようとしたのだが殻が異様に堅い。
大型のワタリガニでさえ易々と割れるはずの出刃の刃がちっとも入っていかない。さらにはちいさくて丸いので滑って危険である。
それではと殻をはずそうとするも、かなり強固にくっついていてなかなか外れてくれない。もたもたしていると大きなはさみで挟まれてしまい少し血が出た。イシガニレベルの危険度だ。
仕方がないのでひっくり返し、腹側から包丁を入れることにした。
二つ割にし、から揚げ、味噌汁で賞味してみる。
味は…カニとしては平凡かなぁ。
ワタリガニの様なコクがあるわけでもなく、またヒラツメガニの様な個性があるわけでもないが、しっかりとカニの香りがする美味しい汁ができ上がりました。
から揚げは…硬すぎて×。
殻もはさみもイシガニと同じくらい硬く、そのままでは食べられない。
身の味は決して悪くないんだが…
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小さいし、動きがコミカルなので飼育展示には向いているでしょうが、食べるために採るほどのものではないかなぁ…というのが結論。
味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
がん汁みたいにして食べるのがいいのだろうか?でもたくさん集めないといけないし、現実的ではないなぁ…
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