フナをシンプルに干して、焼いて食べてみた:筑後川水系のフナを美味しく食べよう②

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「野食のススメ」第9回の記事が公開されました。
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今回のフナは筑後川水系で採れたものだそうだ。

人生は娯楽だ」様より借用


実家が福岡市内に、高校が久留米にあった中高時代の僕にとって、筑後川はある種身近な川であった。
「ある種」というのはこの場合、それがしょっちゅう話題には上るものの、実際に近づいてその水と触れ合うことがなかった、ということを表す。

なぜ話題に上るかというと、筑後川が長雨で水位が上がると、それをまたぎ越すあらゆる交通機関がマヒするからである。(かの川は日本三大暴れ川の一つ「筑紫次郎」である)
僕は寮生活をしていたので、筑後川が多少あふれたとしても生活に影響を受けることはないのだが、生徒の3分の2を占める通学生にとってはそういうわけにはいかない。
学校に来られない生徒が続出すると、自然と学校閉鎖状態になり、やがて寮生にも帰寮の指示が出て休校が確定するのだ。
そのため、とくに定期試験が近い時期になると、生徒は雨乞いをし、教師は好天を祈った。


寮生でも、週末は実家に戻る。
福岡へ向かう西鉄電車の窓から見下ろす筑後川は、いつでもなみなみと水をたたえてあふれんばかりだった。
総延長で言えば利根川や荒川よりも短いが、雄大さはずっと上に感じられた。
雄大すぎたためか近づいて水と触れ合おうという気にはなれなかった。

平静時はまるで南米大陸の大河のようなたたずまいを見せ、そして日本一ユニークなあの有明海に注ぐ筑後川、そこにすむ魚たちに少年だった僕は不思議な憧れを巡らせていた。
だから今回のフナの巨大さは、僕の郷愁そのものであるといってもいいかもしれない。


一方で、本当に身近な川だったのは、当時の実家の近くを流れる室見川だ。

提供:福岡市


スピッツの歌の歌詞にもしばしば出てくる(JASRACが怖いので自分で調べてね♪)河原の道を自転車でひとり走りながら、茸本少年が向かったのは河口堰だった。
そこのテトラの下には、巨大なギンブナがすんでいて、特に冬の間は釣りの相手になってくれた。

持ち帰って父親に怒られたフナはそのギンブナたちで、同じ場所で採れたハゼやモクズガニは美味しいと食べていたのになぜフナはダメなのか……と納得できずにいた。
その後まもなく、そのポイントで近くの学校の児童が溺死してしまう悲しい事件があり、足が遠のいてしまったのだが、ギンブナたちはいまだにいるのだろうか。




……なんだか書いていてよくわからなくなってしまった。
まあつまりあれだ、フナというのは実に郷愁を誘う魚だと、そういうことが言いたいのである。

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フナ、そんなに美味しければ干物で食べてみてごらんよ

さて、フナが美味しいということについて何度も記事にしてきているわけだけど、それでもなお「いや、絶対臭いだろう」と言い張る人はいる。
そういう人に対して「臭くないって! 絶対美味しいから!」といってもしょうがない(美味しさが伝わらないと困るというものでもないし)んだけど、ふと考えると、僕自身、フナを調理するときにはまず臭い消しを意識していたということに気が付いた。

フナ飯フナラーメンでは「ごま油とごぼう」を、フナこくでは「味噌」を使い、さらにしっかりと煮たてていくことで揮発性の高い臭み成分をしっかりと飛ばしながら調理した。
ここまですればまあ、ケミカルでない泥臭さならほぼ問題なく消せるだろう。

でも、そうやって臭いを抹殺しておいて、
「本当にフナ好きだと胸を張って言えるのか!?」

……言えるな。めっちゃ声高に言えると思うわ。
だってフナ好きだし。

「そういうことを言うなよ……なんかもっと、ただ焼くだけとかやってみろよ」

いや、それはさすがに……マスとかでも塩焼きしんどいことがあるのに、フナはヤバいだろ。

「うーん、そうだな、さすがに食材へのリスペクトが足りないか……じゃあ、干物は?」


……(・ω・)……干物、ね……


ググってみると、1件だけヒットした。
これを見るに、やはり臭いはかなり強いようだ。
想像はつく……アレでしょ、野池なんかで死んだフナが打ち上げられてそのまま乾燥してるあれと同じ感じでしょ。

うーん、でも、真に美味しい魚はきっと干物で非常に美味しくなるはず。
必要以上の臭みは、漬け汁を工夫することでカバーできるだろう。
これは、やってみなくては。

フナの干物を作って食べてみた


ということで、中くらいのフナの鱗を取り、


背開きにして、


内臓を取り、よく洗う。

背骨のある半身を残し、日本酒と



塩麹液を混ぜた漬け汁に30分漬けて

そのまま一晩、野外で干す。

……黒い。
パッと見はメジナの干物のように見えるが、鰓ぶたの文様がアマゾンチックですぐに違うとわかる。
臭いは……結構臭い。
泥臭いというか、強い生臭みでアンモニア的な要素も混ざっている。
これは、強敵かもしれない。


換気を全開にして、グリルで焼く。
弱火でじっくり、あぶるように火を通す。

焼きだしてすぐはくさやを薄めたようなやや不快寄りのにおいがしていたが、じきに収まった。


両面じっくり焼いて、完成!

いただきマース……
……(≧~≦*)

う、うまーい!!
繊維質でやや強靭な身にはしっとりとした脂がのっていて、皮の強靭なゼラチンがねっとりとしていてとても食べごたえがある。


川臭さは好ましいレベルにまで落ち着いており、ちょっとした個性といっていいだろう。

これは……旬のイシダイ、イシガキダイの干物に似てるぞ!
あれも身の味が濃くて皮がねっとりとして、磯の香りが個性的なのだ。


特に腹身の部分の美味さは天下一品。

でも、小骨が多いのはじみーに減点ポイント。
良く噛まないとのどに刺さって難儀しそうだね……

味:★★★★☆
価格:★★★★☆



フナの魅力、これまではそのゼラチンと強い旨味にあるもんだと思っていたけど、単純に身質もすごい良いなぁ。
ミンチにすると骨は気にならなくなるけど、この身質が味わえなくなってしまうのはちょっと残念に思える。

なんにしても今後、大きなフナが手に入ったらまず干物にしてみようかな。
この皮のうまさ、クセになるぜ!

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魚介その1(魚系)
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コメント

  1. たいめん より:

    茸本さんって、もしかして○設ですか?もしそうなら、寮でヘビ(ヤマカガシ)飼育して寮中をパニックに陥れた伝説の先輩は私です。

    • wacky より:

      オッまさかの先輩wwwそういえば寮監の先生が「昔ヘビ持ち込んだやつがいる」みたいな話してきたような……

      僕が中1~2の時に高校寮が建て替えられたので、住んでた場所は違うと思うんですけどね。廃墟となった高校寮はマムシくらい住んでそうなおどろおどろしい雰囲気が出ていました

  2. ウピスコ より:

    これやばそう…。テロ具合的に旨い干物を知ってれば知ってるだけあかんやつやこれ…。
    焼くと匂いが落ち着いたのは行幸でございましたな(´∀`)

    • wacky より:

      正直、くさや的なものを覚悟していましたw まあでも、魚臭さってじっくり焼いたり煮たり揚げたりすることで飛ばせるものですからね。

  3. 鮒っ死ー より:
  4. オヤニラミ より:

    茸本さんが○設だとしたら、先輩ということになるので急に親近感が沸いてきますね。

    • wacky より:

      おいおい附○生多すぎだろどういうことだよwww

      「昔、昼休みに正源寺のキノコを採ってきて、ロッカーで腐らせたやつがいる」って先生が言い出したらそれは僕です。あと夜中に寮を抜け出して花火をやって停寮処分くらったのも僕です。後輩の皆さんすみません。

      • たいめん より:

        >どういうことだよwww

        …分かってるクセにw

        >「昔、昼休みに正源寺のキノコを採ってきて、ロッカーで腐らせたやつがいる」って先生が言い出したらそれは僕です。あと夜中に寮を抜け出して花火をやって停寮処分くらったのも僕です。

        僕なんか寮でフナバラして喰ってたしへーきへーきw。あとトイレの天井踏み抜いた事もあったなw

        *当時古文で平家物語やってたもんで、「殿上の闇討ち」http://koten.kaisetsuvoice.com/kiyomori22.htmlをもじって「天井の○内(私の名前)」と、卒業まで言われ続けましたw

        しかし、フリーダム過ぎる校風が災いして有名大学進学率がダダ下がりだしたもんで、ちょっとテコ入れしようとしたら生徒に反発されて抗議集会開かれたw、とか色々仄聞してはおりましたが、花火くらいで停寮処分とはわが母校もキビしくなりましたねえ…。私の頃はフナはおろか、寮でのヘビ飼育でさえちょっと諭されただけでしたよ?「フナ喰うな」とか、「ヘビ飼うな」なんて寮則も校則もありませんでしたからねえ。

        *先生苦り切ってたケドw

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