「野食のススメ」第10回の記事が公開されました!(2017.4.1)
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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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日本には、食材の味を表す際に「ご飯の量で表現する」というユニークな文化がございますね(他国でもそういうのあるとは思うけどさ)。
イカナゴのくぎ煮でどんぶり飯いっぱい余裕、とか、刺身が美味しすぎてお櫃がからっぽ、とか。
またそれとは別に、互助精神の豊かなわが国には、食材がショートするとお隣さんに借りるというほほえましい文化もありますな。
「○○さんごめんちょっと醤油貸してくださる~?」
で、これらが合体するとどうなるかというと「食べ物が美味しすぎてご飯を食べつくしちゃって、しょうがないからお隣さんに借りる」というPPAPが起こるわけですね。
そう、岡山名物ママカリのことです。
サッパの酢漬けであるところのママカリは、まさに「飯借り」であって、この名前だけでどれだけ美味しいものか想像がつくという素晴らしさがあります。
しかし世の中にはご飯を借りるどころじゃなく「釜ごと」借りたくなるという魚もいるんだなぁ……
「めいご」ことクログチは「釜借り」!?
先日、静岡・清水「河岸の市」のどんぶり屋さんで5色丼は延べ4回食べたのだが、そのすべてに入れてもらったのが、
アブラボウズと「めいご」。
めいごのちょっとピンクかかった白身は、ムチッとサクッとプリッの三権分立にモンテスキューもビックリといった感じの食感で、そこにたっぷりとした脂が馴染んで得も言われぬ美味しさがある。
一昨年、焼津の「お魚センター」の寿司屋さんで初めて食べたのだが、すぐに虜になってしまった。
そのあと、魚市場に戻ってうろうろしていると、運のいいことにちょうど丸のままのめいごが入荷していた。
朝獲れたばかりということで鮮度もぴちぴち、当然ながら購入を即決した。
めいご、というのは地方名で、この魚の正式和名は「クログチ」という。
御明察の通りシログチと同じニベ科の魚、つまり「イシモチ」の一種といっていい。
白~銀色のものが多いイシモチ類の中では例外的に体色が黒がかっている。
大きさはニベ科の中では中間的で、今回購入したものは55㎝2㎏弱といったサイズのものだった。
キロ単価でいうと1500円程度、安価ではないが購入しやすい魚だと言っていいだろう。
生息域はやや深めで、今回のものはキンメダイと混獲されたものらしい。
つまり、-300m位から揚がってきたものだ。
一方でマダイ釣りの外道で掛かってくることも多いらしいので、深海魚とは言い切れない。
ニベ科の魚は基本的に足が早く、東京湾でもまとまって採れるシログチを除けば、首都圏ではイシモチ類がスーパーの店頭に並ぶ機会は少ない。
しかし、基本的にどれも味がよいので、産地では珍重されているという例は少なくない。
このクログチもそうで、中深海漁が盛んな駿河湾沿岸では認知度もあり、よく食べられているようだ。
他にも外洋の深海に面した地域ではけっこうたべられているみたいなのだが、特に大分県臼杵市では、街を挙げてPRするほど人気があるらしい。
ここでは昔から「カマガリ」と呼ばれているが、その意味は上記のとおり「隣から米を釜ごと借りるほど美味い」ということ。
そこまで偏愛するようになった歴史を詳しく知りたいものだが、まあ美味しい魚なのは間違いない。
クログチを捌いて食べてみた
大きい魚だが、ニベ科らしく鱗は取りやすく、体型や骨も素直なので捌くのは難しくない。
クログチの耳石です pic.twitter.com/p65E1NC5IB
— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンターの七転八倒日記」好評発売中! (@tetsuto_w) March 21, 2017
頭を割ると、「イシモチ」の由来となったニベ科特有の大きな耳石が出てくる。
いろいろ調理していきましょう。
刺身が美味しいのは散々食べて分かっているので、焼き霜造りにしてみようと思ったのだが、皮が柔らかいうえにたっぷりの皮下脂肪がとろけて、美味く皮付きのままのそぎ切りにできなかった。
しかし皮のゼラチン質と香ばしさは凶悪なほど蠱惑的で、普通の刺身よりもさらに数段上の味わいに。
大型のイシモチは焼くと繊維がほぐれて、まるでホタテの貝柱みたいになるのが面白い。
塩焼きは皮目に強めに塩を振ると、カリカリになってとても美味。
一夜干しにして焼くのもおすすめ。
潮汁はゼラチン質が大量に溶け出すので白濁してしまう。
まずいわけがありませんなぁ……
ともかくゼラチン質が多い魚なので、アクアパッツァにしても美味しい。
味:★★★★★
価格:★★★☆☆
副産物として
これが採れましたので、取り急ぎ干して保存。
中国四大珍味のアレですな。
コメント
仏さんも跳じゃう汁になるのか、接着剤の強度実験に使われるのか…。w
あっ、後は、昔のコンド○ムの再現実験…!?w
コ○ドームではない、ということだけ予めお伝えしておきますww
そこはコン○ームでないとファンは納得しませんよw
このサイズでも中々の浮き袋だからオオニベとかどんな浮き袋してんだろ
((((;゜Д゜)))
魚体との比較でいうと、他魚と比べてとりわけ大きいというわけではないように思います。ただオオニベは巨大ですからね、浮き袋も相応に大きいでしょう