「野食のススメ」第11回の記事が公開されました!!
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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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これまで何度となく静岡の水産業界や観光業界をディスり倒し、業界関係者から白眼視されている(被害妄想)野食ハンマープライス管理人の茸本です。
いちおう実家は静岡(伊豆)にあるので全く余所者ってわけじゃないと思うんだけどなぁ。年間50回くらい行くし。
なぜディスっているのかというと、静岡県の持つ深海ポテンシャルの相当な高さの割に、深海魚が全く顧みられていないという、深海魚好きにとっては非常に寂しい状況が続いているから。
これまで散々静岡の市場や、深海魚の資源活用へのやる気のなさにがっかりさせられてきてはいるんだけど、それでも何度か「これは!」ってものを見つけてブログネタにしてきました。
②バラムツとアブラソコムツで人生を台無しにしかけました:野食ハンマープライス的 自然毒のリスクプロファイル②
⑤全身大トロ、なのに不当に安い「カゴカマス」は見かけたら即買いで!
⑥飯どころじゃねぇ、釜ごと貸せ! ローカル美味魚「クログチ(めいご)」を丸ごと買ってみた
全体への印象として
「現場の漁師さんや大学・研究所等アカデミックなところは、深海魚(未利用魚)の資源としての可能性に期待しているが、市場やお上はその辺の価値をいまいち分かってない」
というものがあります。
この辺が非常にもったいなさを醸し出しているわけで。
あとこれは何度も言ってることだけど、静岡の消費者の皆様も深海魚にはあんまり興味ないみたいですねぇ。
地元の市場とかね、釣りの帰りに朝市覗いてったりするんだけど、鮮魚が全くなかったり、あっても生シラスとか……
まあこのあたりについては、神奈川県民が駄々をこねてもしょうがない部分なんで割愛しますけども。。
神奈川や富山、あと愛知や和歌山あたりなんかも、深海について非常にコミットして産業活用してるのに、一番有利なはずの静岡がボケーっとしてるのはなんだか見てて歯がゆい。
もうちょっと頑張っていただいても、良いと思うんですけど……いかがでしょうかねぇ。
静岡の深海基地・沼津で深海関連グルメを探してみた
で、先日カコボラを採った帰り、あまりの貧果にまっすぐ帰宅する気になれず、沼津に寄って深海魚でも食べていくか! ということになった。
沼津はおそらく日本最大規模の深海魚市場が形成されており、市場を見学すると他地域ではまったく見られないようなカラフルで面妖な深海の面々が並べられている。
ただここも「地産地消」を謳っておきながら、鮮魚を購入できるコーナーなどは併設されていない。
ここだけでなく、沼津には深海魚を鮮魚で購入できるところが全然ない!!!
干物とか、加工品はあるんだけどね……
面白いことに、沼津で購入できない鮮魚の深海魚は、なんと山を越えた富士吉田のスーパーマーケットで購入可能だったりする。
キノコ狩りの帰りに深海魚を買っていくことができるのだ。
静岡人が分かっていない深海魚の魅力を、内陸県の山梨県民が理解しているのだとしたら非常にユニークな皮肉だと思う。(山梨県民は県民一人あたりの刺身の消費量が全国屈指だったはず)
話をもどそう。
そんな沼津だけども、最近観光業との絡みでオープンした商業施設「港八十三番地」で深海魚を食べることができたり、関連商品を購入できるようになったので、遅ればせながら行ってみることにした。
鮮魚がダメでも、沼津ならではの美味しいものが食べられたら素晴らしいことだ。
入ったのはいちばん表側に面した「活けいけ丸」。
深海魚の寿司が食べられることでいろいろなメディアにも取り上げられていたが、今日の入荷状況はどうだろう。
うむ、いくつかありそう。
頼んでみましょう。
ハシキンメ。
キンメダイほどの脂ではないが、筋肉に織り込まれた上質の脂が口の中でほどけるのはさすが。
キンメダイよりプリプリ感が強く、こっちの方が好きな人もいるかも。。
メヒカリ。
完璧。小さいうえに身が柔らかく非常に捌きづらい魚だが、手際よく捌かれているため肉の弾力が保たれており、皮目の脂も全く剥がれていない。
口中に広がる脂の甘み、とろけるような柔らかさと歯ごたえのバランス、サイコーだね!
サメ軟骨。
おそらく深海ザメだと思うんだけど……
梅肉和えになっており、コリコリ感と酸味で非常に清涼感のある仕上がりに。
トウジン(中央)
歯ごたえが強く、脂も感じさせる。トウジンか、あるいはオニヒゲの可能性もワンチャンあるカンジ?
連れは一番のお気に入りだったそうな。。
どれも看板メニューなだけあって非常に鮮度よく、美味しく食べることができた。
ただ……ちょっと高すぎんよ~。。
メヒカリとか、都心の回転寿司屋なら大トロ頼めちゃうじゃん……
深海魚ってどうしても「これまで捨てられていた未利用魚」というイメージが強いので、いかに観光地とはいえこの価格は強気設定過ぎる気が。。
これだとよほどの深海魚マニア以外は一期一会になっちゃって、リピーターにならない気がするよ。
メヒカリ、トウジンなんかは2貫で380円くらい、ハシキンメは480円、アブラボウズ(今日なかったけど)580円くらいが適正に思えますけどね、どうでしょうかね。
お店を出ると、隣のバーガーショップ「沼津バーガー」の大きなポスターが目を引いた。
サメバーガー!!
日本でもトップクラスに深海ザメを食べている身としてこれは食べんとアカンでしょう!
いただきマース
……(≧~≦)
おいしー!!
深海ザメはフライにするとだいたいは美味しいものだけど、これに使われているサメ(エドアブラザメ)は他の深海ザメよりさらに美味しいものだ。
ゼラチンが強く、脂っ気があって、臭みやクセがほとんどない。
このオーロラソースも合っているね!
値段もまあこんなもんじゃないでしょうか。
ラブライブとコラボしてるらしいけど、こっちのコラボのほうが個人的にはうれしいぞ。
最後にお土産屋さんをひやかしてみる。
おお! 長兼丸さんこんなの開発してたのね……
オオグソクムシ煎餅か……説明書きが親切かつ突き放した感じでよいww
いただきマース
……(`・~・´)
うん、サラダ煎餅を香ばしく、もっと歯ごたえを強くして、甲殻類の風味をかなり強めに入れた感じかな?
説明通り、ときどき堅い殻入ってるけど、オオグソクムシらしさがあってよいと思います。
やつらの特徴ってクッソ堅い殻と独特なクセのあるミソだと思うんだよね。
こんなのもあったぞ。
ハダカイワシ入り黒はんぺん。
……(≧~≦)
これも美味しい!
ハダカイワシの脂は黒はんぺんにしてもそれなりに感じるのな。
味も普通の黒はんぺんよりコクがある。安いのもいいね!
今回は閉店後だったので行けなかったんだけど、沼津港に隣接した「沼津みなと新鮮館」でも深海魚を食べたり加工品を購入したりできるようだ。
ここのレポートについては次回に回します。
というわけで、さすが沼津というだけあって、深海魚関連料理や加工食品に出会うことができた。
でもあえて余計なことを言わせてもらうと、やっぱり深海魚を丸のまま購入できる場所は絶対にあったほうがいいと思う。
それを求めて沼津に来る人は今でも少なからずいると思うのだ。
沼津にはあの戸田も含まれるわけで、深海魚のメッカと言っても過言ではない存在になれると思う。
いちファンとしてもっともっと頑張ってほしいし、そうなった暁には通い詰めることになるのは間違いない。
コメント
私も先週末に沼津~田子の浦~由比~清水~用宗と、駿河湾の漁港をぐるっと回ってきましたが、同じ感想を持ちました。どこに行ってもシラス、桜エビ、マグロ一辺倒なんですよねえ。まあ美味しいけどね、そのへんは今や東京でも、ちょっといい魚屋に行けば普通に買えるわけで。
田子の浦漁港直売所では刺身パックも置いているんですが、売ってるのがハモとかで、「地元産はひとつもないよ!ガハハ!」と笑う売店のおっちゃんにこちらも苦笑い。
清水「河岸の市」でも、アブラボウズを出す丼兵衛は空いているのに、「マグロ盛り邦題」「マグロづくし」「マグロ兜焼き」とかやってる某店は行列してました。君たちはそんなにマグロが好きなのか?(笑)。
まあ鮮魚店はもとより、買う側の地元のお客さんにも見る目がないんでしょうね。一度土地を離れてみないと、駿河湾の凄さ・特殊性に気付かないのかも知れません。
今月末に新婚旅行ということで静岡に行く予定なので参考にさせてもらいます!
思うに外野が言うのは易いけど、まず深海魚を漁獲している漁船と漁獲量がどれだけあるのかという話ですね。あの深い海で漁船や網ひとつ変えるだけでいくらするのか考えたらそう簡単な話でもなく。釣りものなのだとしたら高級魚相手にするのでもなければ遊漁者を相手にしていたほうが割に合いそうな気もしますし。あと鮮魚販売に関しては釣りものと選別されて販売されているものを見慣れていると、底引き漁獲された身質の柔らかい魚の傷物の存在を忘れがちな気もします。
どこぞみたいに殆ど捨てられてる訳でなく出荷されているというのであれば、すぐに流れを変えるには地元のほうが首都圏の店より高く買うことでしょうけど、逆に言えば首都圏にもってかれちゃうから地元に残らないってのがあるのかもしれない。長兼さんの販売ルート見てるとまさにそんな消費が見込めてリスクの少ないところに乗ってる感じはします。なんやかんや言っても結局は首都圏は分母が大きいから恵まれてる。
地方では消費者の感覚が変わらないとリスクばっかり大きくて変化はしにくいんじゃないかなぁ。
沼津港の市場は・・・・地元の人間はいかないっすね。
だって高いんだもん。
伊豆は全体的に観光地化してるせいか似たような感じですね。
誰でも行けて割とお勧めなのが三島の村の駅ですね。
機会があれば一度行ってみて下さい。
沼津でしたら「魚健」がおすすめですよ。今はトロール船が禁漁なので少ないとは思いますが、
10月~4月は大量の深海魚と雑魚が出迎えてくれます。マアジやマサバなど大衆魚もありますが
フサカサゴ類、ヒウチダイ類、深海性甲殻類、カゴカキダイ、アブラボウズ、クロムツ、ギンザメ、イガグリガニ、
オオエンコウガニ(!)まで入荷する珍魚好きにはたまらないお店です。
時に凄い動物が置いてあるので毎回楽しみです。
魚がたいして好きじゃない人はマグロくらいしか食わないものなんでしょうね。
北海道でもカニやウニをほとんど食わない奴が多いですよ。
市場で地元の物が無いって、めちゃくちゃがっかりしますよね。
富士市の魚磯と言う回転寿司ではかなり深海魚を置いてますよ。なにしろ駐車場ののぼりに堂々と深海魚と書いてアピールしてるくらいです。ランチは一皿100円ぐらいで食べられるのですが、季節毎に深海魚のラインナップも違うのでこちらにお越しの際はぜひ。富士インターから10分かからない位の所にあります。
静岡に住む釣り好き・魚好きとしても寂しい。と、ふと思いました。
ガキの頃から両親、婆ちゃんがマグロ好きで、散散食べてきたせいもあって、個人的には中学生くらいの段階でマグロ以外の魚の方が好きになってたりしてますし、県外の友達に変わった魚食える店連れてくと喜ばれるので、ニーズがないわけじゃないと思うんですけどね…。
メヒカリは静岡県西部ではメジャーな魚で、鮮魚に力を入れていないスーパーでも二ギスと並んで揚げ物用として売っています。しかし、刺身は初めて聞きました。
保守的な人が多い土地柄ですが、私の愛するスーパーフィールの鮮魚コーナーが大変流行っているところをみると、需要が無い訳ではなさそうです。
先日の謎のメモはまだ貼ってありました。
いつも楽しい記事を有難うございます。
この手の傾向って日本中津々浦々。
村おこし、町おこしでも紋切り型に毛が生えたようなものばかり、
農産物にしても然り。例えば、ブルームレスのきゅうりが流行れば
うわっとそっちへ動き、トマトは糖度と言えばそっちへ殺到。
特産品とか地域の特色と口では言いつつ、横目で周囲を見て
「皆と同じ」に揃えてしまう。全国コンビニ化甚だしいですね。
噂ですが、混獲ものは安定しない地元価格で安く地元に卸すよりも
深海モノをだいぶ良い値段で買ってくれるところがあるのでそちらに行くとか……(あくまで噂です)
せつなさんの仰られているとおり、魅力の高いものは安定した需要のある場所に行くのでしょう。
商売としてはそれが賢いですしね。正直申し上げて、各地が特色を活かした観光地を整備しろなんて、それを主としてやっている方の生活を殺すようなものですよ。
地元民の意識も田舎であればあるほど大型量販店の安定した食材の供給を求めていますしね。
私は地元の観光関係の仕事をしていますが、これを大々的に成功させるにはそれこそアニメの聖地巡礼のように、大量のお金が入ってくる機会によって、地元の消費を支えている人たちがその魅力に気づく事が第一歩だと思います。
特に過疎が進む地方では安定したしゅうにゅを求めますから誰かの気づきややる気程度じゃ変わらないです。