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野食会の前日、ななしカフェさんのTwitterを見て衝撃が走りました。
明日用の差し入れ。同定通ったらいいなぁ。結構採れたなぁ。 pic.twitter.com/4sQXtyFD9x
— ななしカフェ(閉店) (@nanacicafeyaizu) October 27, 2017
これ……ショウロやんけ!?
ワワワワワイも採りに行きたいっす!! 連れてって!
ぜひ。ヘッポコ案内させて頂きます。
— ななしカフェ(閉店) (@nanacicafeyaizu) October 27, 2017
ショウロと松露饅頭
ぼくが育った北部九州ではいくつかの銘菓が売られていますが、そのひとつに松露饅頭というものがあります。
ポジション的には「やや高級」、ひ○こや千○饅頭、通り○んよりもややレア感があり、鶏卵素麺や小城羊羹ほどお高級路線ではない感じか(あくまで個人の感想です)。
作られているのは福岡のお隣SAGA県の唐津市というところ。
ここには「虹ノ松原」という日本三大松原のひとつがあり、そこにかつてたくさん産出したというショウロをモチーフにしたのだそうです。
ショウロはキノコの一種で、ヌメリイグチやハナイグチの仲間(担子菌門イグチ目ショウロ科)が、進化の過程で子実体を地中に発生させるようになったものだとされています。
トリュフの和名は「セイヨウショウロ」だけど、こちらはアミガサタケに近い仲間(子嚢菌門チャワンタケ目セイヨウショウロ科)が同様に子実体を地中に発生させるようになったもの。
担子菌門と子嚢菌門はいずれもキノコと呼ばれますが、言ってしまえばウニと人間くらい異なる種類でして、これら2つの種は見た目こそ近いものの、それは「収斂進化」の結果によるものだと言えるわけですね。
理系少年の心を育てるよい記事です(自画自賛)
なんでわざわざ子実体(きのこ)を地中に作るようになったかというと、地上に出てかさを開いて胞子を成熟させて……ってやっていると、未熟なまま動物たちに食べられてしまって胞子の拡散に至らないリスクがあるからではないかと思います。
地中で子実体を成長させれば、キノコの“天敵”であるところのナメクジに食べられることもないし、成熟に伴って地表に顔を出せば胞子の放散は可能です。
ショウロもトリュフも、地下のごく浅いところに子実体を作り、やがて地表に顔を出すと虫やナメクジのような小動物に齧られ、胞子を放散しながら朽ちていくのです。
自然ってすごい面白いよね。
話を少し戻して、なんでそのショウロがお菓子のモチーフになったのかというと、それはやはりショウロが「お高級」だったからだと思うのです。
我らがウィキピーディア先生には
“安全かつ美味な食用菌の一つで、古くから珍重されたが、発見が容易でないため希少価値が高い。” -ショウロ-
“餡をカステラ生地で丸く包んだ形が、唐津の名所虹の松原に生える高級食用キノコである松露に似ていることから、この名がつけられた。” -松露饅頭-
とあります。
さわやかなキノコ香があり、和食に合う食材として江戸時代からよく知られたキノコだったようです。
ただ、名産地と知られた虹ノ松原でも、今では激減し絶滅危惧状態。
ぼくも昔から「ショウロは高級キノコやけん素人には採れんよ」と言われて育ち、高校時代は福岡各所の松原をまわって探してみましたが見つけることはできませんでした。
ショウロ、初心者でも簡単に採れるってマ?
そんなショウロが、そんな簡単に採れるわけない!
そう思っていたのですが……
Nなしさん(自称キノコ素人)「そこらじゅうにコロコロしてますよ」
Tぼーさん(キノコ採取歴2か月半)「すぐ見つかるよ。オレはそんな好きじゃないし、見つけても拾わないけど」
はぁーあ!?(怒)
なにナメたこと抜かしてるんだろうねこのトーシロどもは。そんなわきゃねーだろ!
ということで半信半疑のまま、野食会の翌早朝にななしカフェに集合し、車でぶいーんと発生地に向かいました。
おりしも台風が最接近しているタイミング、カッパに長靴を着込みながら松林に入っていく人々はどう見ても事案でしたが、謎のテンションのまま行軍は進みます。
そして
あったwwwwwwwwwwwwwwww
簡単にありすぎワロタwwwwwwwwwwww
クロマツの根元に、1~10個程度の単生~群生している、白~赤紫色をしたショウロがたくさん転がっていました。
まさか、こんなところに……という散林の中です。
半分埋もれているものや、松葉の下に埋もれているものも多々ありましたが、多くは地表に顔を出しています。
直径は大きくても3㎝位までのものが多く、雨でややわかりにくいですが、ショウロの特徴であるワインレッドの表皮がはっきりと分かります。
これは感動もの。
ときどきミミックが仕掛けてあるのもダンジョン攻略っぽくて楽しいです。
初心者混じり10人弱のパーティーで捜索したのですが、全員が大なり小なり本命をキャッチし、ホクホク顔でななしカフェに戻ったのでした。
今回、初めてショウロが発生しているところを見ましたが、いろいろとわかりを得ることができました。
あまり詳しく書くと佐賀県民が春秋航空機で大量に押し寄せそうなのでほどほどにしますが、ショウロの発生は土壌の質に大きく左右されるんじゃないかなという気がしています。
虹ノ松原や元寇防塁など、北部九州の松原みたいなふかふかの砂壌土よりも、礫混じりの浅く硬い土地のほうが出そうな感じを受けます。
そうなると「もともと虹ノ松原ではそんなに多産しないのでは……?」という推測が成り立つわけですが、まああれだけ広い松原なら発生適地もたくさんあるでしょう。
保護活動も盛んにおこなわれているそうで、“本場”唐津のショウロ料理が復活する日も近いかもしれませんね。
採ってきたショウロはみんなでいろいろな料理にして食べたのですが、長くなっちゃったのでそれはまた別記事にします。
コメント
すごいです!
…が、ワタクシまだイボセイヨウショウロすら見つけておりませんので、ショウロまでたどり着きませぬ。
根雪になる前に見つけたいのに!!
どうしてイボセイヨウショウロは見つからないのか謎です。