飛鳥時代のチーズ「蘇」。
実は今回仕込んでいたのは、蘇マンベールチーズだけではありませんでした。
チーズの熟成術としては、白カビに並んでポピュラーな方法である「青カビ」による熟成。
ゴルゴンゾーラやロックフォールなどは、日本でも「ブルーチーズ」としてよく知られていますよね。
ややしょっぱめの記事にツンとくる香り、ピリリと刺激的な味で苦手だという人も多いですが、赤ワインのお供としてはこれ以上ないほどの存在。
買うとなかなかいい値段がすることもあり、これを家で再現できればたいへんハッピーになれそうです。
やってみました。
青カビはなかなか気難しい
と、その前に。
チーズの白カビと青カビは、実はいずれもペニシリウムという「アオカビ」グループに属しています。しかしその習性は大きく異なっており、それを理解していないと自作をすることができません。
まず、白カビは基本、酸素が好き。空気と湿度が潤沢にあるなかでチーズの外側に繁茂し、外皮をつくります。
一方、青カビはそこまで酸素が好きではないようで、ある程度空気の通りの悪い多湿な空間を保たないと生えてきません。ときに「青カビはチーズの内側から生える」とも言われますが(実際はそんなことはないけど)チーズに開けられた小さな穴や、内部にできた空洞などに繁茂します。
これを踏まえ、蘇マンベールチーズのときとは作り方を少し変えました。
まずは蘇を作り、4%の塩を練り込んで
そこに更に青カビチーズを練り込みます。
そして内部に空洞ができるようにざっくりと固め、ラップにくるんで室温で放置。
そのまま1週間、2週間と待ちます……
おっ
生えてきましたね!
……でも、なかなか白カビみたいに、全体にびっしりとはいかないな。全体的に表面にねばつきがでて、刺激的な香りがあるところなどはしっかり青カビチーズっぽいのですが……
よく見ると、ポツリポツリと青カビのコロニー的なものがあるのがわかります。ペニシリウムは周囲の雑菌を殺す力を持ち(いわゆる抗生物質ペニシリン)、コロニーの周囲に他の菌がいることは考えにくいので、たぶんカビつけには成功しているのでしょう。
うまく繁茂してくれないのはもしかすると、高温で煮詰めたことによる牛乳たんぱく質の変性なんかも関係しているかもしれません。あるいは単純にもっと長期間熟成しないといけないとか?
つまようじで穴を開け、中にも菌が入り込むようにします。
一月経過したので、とりあえず、カビがついたところを食べてみようかな。
切り出して……
いただきまーす
……(`・~・´)
うん、これは……ブルーチーズ!
青カビがチーズの脂肪を分解し、旨味とともにアンモニアを発生させるので、とても強いツンとした臭いになります。でもそれがいい。
強い塩気と臭気が合わさることで、逆説的にコクのある旨味が立ち上がる感じ。悪くなく、ポテンシャルを感じます。
味:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆
しかし、やはりもっとしっかりカビがついて、熟成させた方がいい感じもありますね。内部までしっかりと熟成が進んで、全体がポロポロとするくらいまで熟成が進んだら、どんな味がするんだろう。
おそらく数ヶ月単位の時間が必要になると思います。コロナが落ち着くのと蘇ルゴルゴーラチーズが美味しくなるの、果たしてどちらが先になるのか……
コメント
既知かもしれませんが、酸欠にする方法の一つとして密封できるタッパーに使い捨てカイロと一緒に保存する方法があります。
保湿用の水と一緒に入れれば多湿低酸素空間ができるかもしれません
ありがとうございます! 参考にしてみます。