先日の超深海釣りで釣れたアイザメ科のサメ。
き み か ww pic.twitter.com/kJ7JQ5S9IV
— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンターの七転八倒日記」好評発売中! (@tetsuto_w) April 30, 2016
基準種のアイザメでよろしいかと思うのだが、なにぶん似た仲間が多いもので確信は持てない。
やや短めの吻や背鰭の棘、体色などは種の特徴にあっている。
そしてメーターオーバーのサメを釣るのは初めての経験だったのだが、そのデカさと、水深1000mから引き上げてきても頭を振り回し咬みつこうとする根性に少しヒヨってしまったのは僕と船長だけのヒミツ。。
以前、東京湾海底谷で平坂さんが釣ったヘラツノザメをもらったことはあったが、あれよりもずっとデカいうえ、巻き上げの最中もやる気にあふれていた。
おお、でかそう pic.twitter.com/8Rt9YOAJxJ
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アイザメを捌く
すべてを持ち帰ることはキャパ的にできないので、前半身は某所に奉納し、後半身だけを持ち帰ってきた。
…いや、実はそれだけではなく
肝臓もいただいてきたのだ。
深海ザメの肝臓は、スクワランをはじめとした「肝油」の原料となることで知られている。
一般的には化粧品原料としての需要が大きいのだが、肝油ドロップをはじめとしたサプリメントにも古くから活用されてきた。
まあ、要は体に良いということです。
となれば食べてみるしかないでしょう。
うん、とくにいうことは無いです。
フツーに3枚に下ろせる。
味を見てみよう。
…(・~・)
ああ、深海ザメっぽいねぇ。。
脂は全く感じられず、クニュクニュとした歯ごたえはあるがやや水っぽい。
そしてアンモニア臭さは無い。
ともかく素直で、クセが無く、味もあんまりない。
深海ザメ漁の第一人者、焼津・長兼丸の長谷川さんは、「深海ザメはカルパッチョが美味い!」とおっしゃっているが、確かに薄くそぎ切りにして薬味と油を合わせればそれなりの逸品にはなるだろう。
肝臓はどうかな。
…(・~・;)
うん、舌にとろけるようで、油ギッシュながらもさらりとしてそこまでクドくは無い。
でもオジサンには一口で十分ですわ。
やっぱり脂は脂だよ。
アイザメフライを作る
さて、素材の味が分かったところで調理を考えるが、やはりこの類の身質には油分を加えてやらねばいけないだろう。
…揚げ物だな、やっぱり。
じゃあ、せっかくいい油持ってるんだし、出してもらいましょうか。
というわけで肝臓を鍋に入れて弱火にかけ、じわじわと加熱して肝油を炒り出す。
冷蔵庫から出したばかりの肝臓なので、油が出るまでにやや時間がかかるかと思いきや…
あっという間ににじみ出てきた!
どす黒い肝臓の色からは想像できない、透明に透き通ったきれいな油だ。
そういえば釣り上げて船上で捌いているときも、肝臓に触れるだけで大量の油が染みだしてきた。
よっぽど融点が低いんだろう。
すぐにある程度の肝油が出てきたので、いったん器に取り分ける。
一番搾り油、ワイン醸造でいうところのフリーランジュース的なものになるか。
引き続き炒りつづけると…
…めっちゃ出るなこれ(汗)
肝臓の何%が油なんだろうか。。
最終的には元のサイズの1割未満にまでしぼんでしまった。
この間に、身の方を適当なサイズに切って
衣をつけておく。
油を別鍋で加熱し
投入。
…なんかすんごい泡出てるけど、大丈夫かしら?
湯気もちょっとした理科実験くらい出てる。
油の中に水分や不純物が大量に含まれているのだろう。
不安になりながら見ていたが、無事にいいカンジのキツネ色に揚がった。
早速食べてみよう。
…(`・~・´)
おお、美味しい!
ちゃんとサクサクに揚がっていて、衣の油切れもよくさっぱりしている。
身はしっとりとしながらゼラチン質由来のむちむち感も感じられ、ジューシーで白身魚のフライとしてはかなり上質だ。
しかし…
揚げて1分ほど経つと、急に衣がしおしおになってしまった。
これはどうやら、揚げる油の温度が低すぎたことによるようだ。
あまりに泡と湯気が出たのでヒヨってしまったが、もっとちゃんと加熱しないとカリッとは仕上がらない。
…(≧~≦)
これだこれ!この味!
サクッジュワッと仕上がり大満足だ。
まあ、身の水分も多いので、時間がたつとやっぱりシオってしまうんだけどね。。
揚げたてが断然オススメ。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
2番絞り油はちょっと色味が悪く焦げ臭もしたので調理には使えなかったが、こちらは石鹸やろうそくなどに加工すると良いかもしれない。
参考リンク
コメント
ビタミンA過剰とか大丈夫なんじゃろか?
実はそれもありまして、直接食材として使用するのはやめて揚げ油として試用してみました。。そのままバクバク食べるとやっぱり良くないんではないかと。カロリーも高いでしょうしね…
肝油抽出ってこんな感じなんですね、なんか良いもの見ちゃった感ありました。
良い色に揚がって美味しそうに見えますね。風味とか、独特でもないのでしょうか。
ウィキペディアに「明治当時、肝油精製は完全な精製でなく肝油独特の臭気が
残り・・・」みたいに書いてあったので、少し心配しておりましたが。
フライそのものに変な風味などは全くありませんでしたが、肝油そのものはやはり肝臓の臭いがします。ただ新鮮な深海ザメの肝臓って不思議なほど臭わないので、肝油も不快だなってほどには臭いませんね。
おもしろ~~~いヾ(≧∇≦)ノシ!
このチャレンジ精神に敬礼です!
肝油でフライなんてもう最高~!
きっと来るはずこのチャンス!
参考になりましたm(_ _)m