先日、ブログのコンタクトフォームに「アカマンボウいかがですか?」というオファーをいただきました。
ご連絡くださったAさんによると、キハダマグロ釣りの外道にアカマンボウが釣れたためおすそ分けしてくださるとのこと。
アカマンボウ自体食べたことはあったのですが、スーパーのフライ用切り身だったため味がイマイチわからず不完全燃焼のままでした。もちろんありがたく頂戴することにします。
しかしこのアカマンボウ、マグロ釣るためのルアーにふつうに掛かってきたそうで、サイズも28kgとマグロに引けを取りません。
(撮影はいずれもAさん)
このど迫力よ……ふつうに普段から生きた魚追っかけ回して食べてんだろうな。
アカマンボウとマグロ比べてみた
アカマンボウは名前こそマンボウとついていますが、マンボウとは何もかもが異なる魚。全身が真っ赤で、普通の魚のような尾ビレがあります。
実はリュウグウノツカイなんかと比較的近い存在らしいです。
アカマンボウは白身魚なのですが身が赤く、いい感じに筋が入り、切り身にするとまるでマグロに見えることから、かつてはマグロの代用魚として用いられてきたそうです(普通に考えたらアカマンボウのほうがレアだし、マグロのほうがはるかに手に入りやすいと思うのですが……)。
というわけでクイズ! 下の3つのうち、アカマンボウの肉はどれでしょうか!?
正解は全部です!
ひっくり返すとこの通り。
トロっぽい部分が白身魚(アカマンボウ)だというのはわからなくもないですが、真っ赤な身もまたアカマンボウというのは驚きですよね。
アカマンボウは深海魚の一種で、水温の低い深海でも十分な運動能力を得るため、血液を循環させて高温に保つための器官が発達しているのだそうです。それがこの赤身のように見える部分。
この器官があるため、アカマンボウは魚で唯一の恒温動物であるとも言われています。
うんちくはこの程度にして捌いていきましょう。
皮をはぐと、まるでマグロのトロさながらのパーツが顔を出します。脂の方はというと、正直見た目ほどは乗っていませんが、一応皮下脂肪もありテカテカして見えるので大変美味しそうです。
赤身の方は、マグロともカツオとも違う、ちょっとパサパサした質感で、むりやり例えると「魚肉で作った人工ローストビーフ」みたいな感じです。
これとは別に、ビンナガの赤身くらいの肉もありました。これはどのあたりのパーツなんだろう。
断面もビンナガっぽいな。
切り出して、そのまま食べてみました。
……(;*・〜・)うーん、あーなるほど……
身質はよいですね! 食感やジューシーさがわりと良い、というかマグロっぽい。
ただ残念ながら、そこからの上乗せがないです。旨味が強いとは言えず、マグロを特徴づける爽やかな酸味、またトロッとした脂もありません。
赤身の方は見た目よりだいぶパサパサしていて、風味も穏やかなため見た目とのギャップから肩透かし感が出てしまいます。謎の深海魚αとしてなら十分合格点なんだけど、マグロと比べられてしまうとちょっと気の毒だなぁ。
というわけで調理はちょっと変化球で。
それぞれのパーツをやや大きめにきって、ごま油、みりん、醤油、スライスニンニク、わさび、大葉と和えます。
アカマンボウのポキ、完成!
調味料で油と旨味を補ってあげることで、アカマンボウの魅力である食感のよさが引き立ちます。ちょっと柔らかめの白身と、サクサクした赤身のコントラストがおもしろいですね。
他の部位はオイル煮に。
油で低温調理すると完全にツナですね。これが一番マグロに近くなった! マヨネーズと塩コショウで和えると優勝します。
マグロの外道で釣れる上、マグロと似た身をしているということで生まれながらにマグロの代用として認識されてきたアカマンボウですが、正直誰も幸せにならないなぁと思いました。
そんなことよりもこのクセのない素直さ、そして一匹から大量に取れる利便性なんかに着目してあげたほうがいいんじゃないかなぁと思いました。魚苦手な人でも美味しく食べられそうだよ、これ。
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