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オリンピック、やってますね!
競技場外ではオリンピック開催賛成派と反対派がそれぞれスクラム組んで対決していて「人々といふものはしょせん党派性でしか生きられない弱い生き物……」と思うのですが、しかし賛成・反対を問わず「それはやめとけよ」とみんなが思っていたものも、今回のオリンピックでは見受けられますよね。
その最たるものが「東京湾奥での水泳競技」ではないかと思います。
台場の水はなんで汚いの?
オリンピック開催前より、世界中のメディアで「東京でオリンピックを開催するに当たり考えうる懸念」について報道がされてきましたが、中でもたくさん取り上げられたのが、トライアスロン競技場の水質。
今回フィールドに選ばれたのは、オリンピックの中心会場の一つであるお台場海浜公園。しかしここの水質はどう考えても遊泳に向いておらず、実際に遊泳禁止となっており、そんな中でオリンピック競技を開催してもいいのかという非難が出まくったわけです。
なぜ台場の水が汚いかというと、あそこは言ってしまえば隅田川の河口なんですね。桜の名所として知られる隅田川ですが、上流部の荒川ともに住宅街の中を流れており、流域の都市化率は日本屈指です。
そして隅田川が還流する東京の下町は、古くから都市化が行われたために下水が雨水と混流する「合流式下水」というものになっており、台風やゲリラ豪雨で降水量が増えると下水も多くなってしまい、ただでさえ稼働率ギリギリの下水処理場がパンクしてしまいます。そうなると下水の一部は未処理状態のまま隅田川に流れ込み、やがて台場の水を汚してしまうのです。先の台風で「武蔵うん小くさ杉」と揶揄された川崎市の武蔵小杉で起こったことと一緒であり、「台場の水はトイレの下水で臭い」という風評が世界中に広がってしまいました。
で、これに対して実行委員会は、汚物流入を防止するネットを張り、またきれいな海砂とその中に暮らすアサリを大量に台場の海に投入して浄化する作戦に出ました。
このおかげでなんとかギリギリ開催できるレベルまで持っていったわけですが、しかし直前まで「海水がトイレ臭い」という苦情は消えずに残りました。多くの人が「お台場の海ってうんこくさいのかよ……」とショックを覚えたのではないかと思います。
そんなわけで世界的な話題となっている台場の海ですが、最近すっかりどこに出しても恥ずかしいYouTuberに成り果てた茸本としてはこれを聞いて「えっ、じゃあ今台場で魚釣って食レポしたらバズんじゃねぇの?」と思ったのです。
下世話な話題にスッポンみたいに食いついていくのがネットで食っていく秘訣……
というわけで、やってみました。
台場の魚を釣って食べてみた
向かったのは、ゆりかもめ青海駅を降りてすぐの場所にある「水の広場公園」。
護岸には柵があり、誰でも安全に釣りを楽しむことができます。
また堤防自体は単調ですが、途中に簡易船着き場などの障害物があり、沖もなだらかに深くなっていていろいろな魚が釣れるそうです。
トライアスロン会場は同じ島の真裏となる場所ですが、隅田川の河口部に位置するという意味では全く一緒。1kmも離れておらず、またこちら側には砂もアサリも入れられていないので、会場よりもっと臭いという可能性もあります。
釣り自体はシンプルに、胴付き仕掛けに青イソメを1本がけして障害物の際にぶっこんでおきました。これで何かしら釣れるはず……
ややあって、釣れてきたのは
スズキのこども「セイゴ」です。うん、まあ、ここで釣れるのはまず君だろうね。
スズキは東京湾にはめちゃくちゃたくさんいる魚で、おそらく世界一生息してるんじゃないでしょうか。湾奥でも一番釣りやすい魚で、よほど海況が悪くなければ顔を見せてくれるだろうと思っていましたが、実際に釣れると嬉しい。
東京湾のスズキには、外海から餌の小魚の群れを追いかけて入ってくる銀色の「回遊型」と、障害物について餌を待ち伏せする茶色みがかった「居着き型」の2種類があるとされていますが、今回釣れたものは明らかに後者。とろっとしたぬめりに覆われており、いかにも臭そうです。
エラを取って活け締めし、氷で冷やして持ち帰りました。
持ち帰り、お腹を開いてみると、まだ30cm強のこどもにも関わらず内臓脂肪がしっかり詰まっています。スズキは夏が旬である上に、東京湾奥は餌となる小動物が豊富なのでしっかり食べて太っているのでしょう。
一晩寝かせてから3枚におろし、皮を引くと
皮下脂肪がテラテラとしています。こりゃあ美味そう!!
お刺身にしてみました。もしうんこ臭かったら、とても食べられないはず。
気合を入れて、いただきま~す……
……
……うーん。。
脂の乗った身はもちもちしていて旨味が強く、スズキ特有の香りもありとても上質です。ただ、噛んでいると徐々に口の中に独特の「湾奥臭」とでも呼びたくなる匂いが滲み出してきました。
これはしかし「トイレ臭」「うんこくさい」といったたぐいの臭いではなく、もっとなんというか「油臭い」「工場の臭い」みたいな感じです。ちょっとゲオスミンも混ざってるな。隅田川で生成されたゲオスミンがアユなどの小魚にたまり、それを食べたスズキの中で生物濃縮が起こったんじゃないかと想像します。
加熱したらどうなるだろうと思い、香草焼きにしてもみましたが
これは刺身よりもしんどい。食べられないって人もいるかも知れない。東京湾奥の水質の悪さを思い知らされます。
でも、香りの成分はやっぱり油臭とゲオスミンです。うんことか腐敗臭ではないんだよなぁ。
台場の魚は「下水で臭くなった」わけではない
実はこの香り、過去にも経験があります。それは同じく東京湾奥、若洲海浜公園で釣れたサバを食べた時です。
回遊魚であるサバが臭いというのはかなりショックでしたが、あれもおそらく普段から湾奥に滞留しているカタクチイワシを飽食していたので、生物濃縮で臭くなったのでしょう。少なくとも水の臭いが移ったという感じではありませんでした。
実は先日、東京湾奥で潮干狩りを行ったのですが、件の「トイレ臭さ」はバッチリ体感しました。浅場で水が淀んでいるようなところに手を付けたら、その手から強い腐敗臭がしたのです。
しかしそこは江戸川放水路の河口で、生活排水が直に流れ込むような場所ではありません。なので「ウンコが流れていたから臭い」というわけではないのです。
これはお台場も同じことです。お台場の海は浅くて日光が差し込み、隅田川から注ぐ水には栄養塩が多く含まれ、それを餌にするプランクトンやバクテリアが大量に生息しています。その中には「オナラ」や「腐敗した生ゴミ」のニオイのもとである硫化水素を発生させるものがあり、それが例の「トイレ臭さ」をもたらします。
ただこれはあくまで一部の海水が臭くなるだけであって、生物濃縮を経て魚体に蓄積するような類にものではありません。なので魚がうんこ臭くなるということはまずないのではないかと思います。
Twitterなどでは「東京湾奥はウンコが浮いている」「魚が大量死している」などのデマが散見されましたが、超大型台風の後ならいざしらず、先日の台風程度では下水が台場に流れ込んだという可能性は高くないでしょう。
もちろん水が臭い時点でトライアスロン会場にするのはふさわしくなかったという考え方もありますが、世界から来たアスリートをうんこの海の中で泳がせたなどということはないので、日本人としては安心していいと思います。
魚も、まあ臭かったけど人によっては耐えられるレベルだと思うし、実際に隅田川で釣れたスズキを食べられている知り合いもいます。生息数も多く、台場の海は汚染されてはいるものの、魚にとっては決して棲みにくい場所というわけでもないのではないかと思われます。
食べてからもう3日位経つけどもちろん体調は問題なしです。次回台場で釣りすることがあったら、レモンとハーブを駆使してニオイ消し調理をしようかな。。
まあそういうわけで、実はぼくは明日8/4が誕生日なんですけど(脈絡ない情報ブッ込み)今後もこんな感じで、ブログやYouTubeで体当たりレポをやっていきますんで、引き続きのご愛顧を賜われるとありがたいです。
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今後ともどうぞよろしくお願いいたします!!
コメント
ハッピーバースデイです
いつも楽しく読んでいます
ギリギリを責めるその心意気が最高
今後も期待してます
お誕生日おめでとうございます!!
伊右衛門は動画に毎回こっそり(或いはあからさまに)映したら、
いくらかはタダでもらえるかもしれません、、、
YouTubeにある究極の血抜きというものをやると臭みが消せるようなことを見ました。このような魚たちにも効果があるか試してみてほしいです。