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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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先日久々に岡山豊栄水産の翔さんからから連絡があり、最近何か変わった魚入っていませんかと聞いたところ「今はハモがいいですね」という返事がきた。
ハモか……
確かにまだ関東ではあまりメジャーではないが、それでも吉池などでは毎日入荷しているし、そこまで変わったものではないような……
と思ったが、しかしよく聞いてみるとなんと4~5㎏ほどもある超大型のハモなのだという。
ハモの料理で最も有名なのは湯引き(ぼたんハモ)だと思うが、これに適しているのは数百グラムまでのもので、それ以上のサイズになると骨切りをしたうえで天ぷらなどにされる。
しかしさらに大きいものになると、骨切り程度ではどうしようもないほど骨が硬くなるので、スプーンなどで肉をこそいですり身にするのだという。
それをつみれ汁にしたり、あるいは焼いたりあげたりして食べると大変美味しいのだという。
そんなことを聞いたらやってみたくなるのが魚食いの性というもの。
ぼっけぇハモを捌いて食べてみた
そして明くる日、豊栄便が届いた。
でけぇぇえぇ
ハモってこんなにでっかくなるの!?
軽くメーターを超えているこの個体で4kgほど、これでも翔さん的に満足いってはいないらしいのだが、衝撃は十二分だ。
さて、早速捌いていこう。
調理台には乗りきらないので、お風呂場にまな板を持ち込んで開いていく。
身は分厚いが柔らかく、するすると切り開いていける。
ウナギ目の魚は夏に産卵するものが多いが、この個体の卵巣も大きく成長していた。
前に吉池でこの卵巣だけを売っているのを見たことがあり、意外と美味いのかもしれないと思ったのでキープしておいた。
形状のよく似たウツボの卵巣は割りと美味しいのでハモも期待できそうだ。
前半身を切り出し、まな板に乗るサイズに切り分ける。
身を表裏から指でなぞり、小骨の入り方を確認するが、かなり入りくんでいるようだ。
「将太の寿司」に出てきた「骨抜きハモの握り」は相当難易度が高そうである。
今回は一番背鰭寄りの部分を、小骨を避けながらサクにとり、刺身にしてみることにした。
……(`・~・´)
うん、柔らかくて脂も乗っていて、口の上でとろけるようだ。
やや淡白だけど、これを塩で食べるとなかなか通好みの味わいになりそう。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
さて、それでは翔さんオススメのつみれを作ってみよう。
といってもかなり簡単で、スプーンで身をぐりぐりとこそいでいくだけで、とても滑らかな擂り身になる。
これに塩を少々と青ネギをいれて粘りが出るまで練る。
肉をこそいだ後の皮はこの通り、
上下の皮下埋没骨がX字に組み合っていて非人道的な状態なのがわかるが、これを水から煮て出汁をとる。
ていねいにアクを取りながらゆっくりコトコト煮ていると、黄金色で上品な脂の浮いた美しいスープが取れた。
味付けし、このスープで先程のつみれを煮る。
ついでに卵巣も入れて煮てみよう。
完成。
いただきマース
……(≧~≦)
柔らかくてふわっふわだ!
つなぎを何も入れていないので、ハモそのものの濃厚な味がして、さらに後味が甘い。
きっと脂の甘味なのだろう。
卵巣は粒の大きさのわりには歯応えがしっかりしていて、まあ普通の魚卵という感じだ。
魚卵好きなら普通に及第点だろう。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
さらにこのつみれを油で揚げてみた。
……(`・~・´)
うん、これも美味しいけど、そのまま食べるんだったらもっとしっかり味付けした方がよかったな。
これをおでんのつゆなどでコトコト煮込んだら素晴らしいものになると思う。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
ふつうに骨切りしたものも揚げてみた。
……
うん、確かに骨が固くて舌に刺さるな……
でもこのサイズになると皮も相当分厚くて、ゼラチン質が多くて舌の上でとろけるようだ。
ハモの皮を串に巻きつけて焼く料理があったと思うけど、大型のハモでやった方が美味しいんだろうね。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
なるほど、でかハモの実力はなかなかよくわかった。
これは美味しいし、骨切りしないのであれば扱いやすくて一般家庭でも食べやすいかもしれない。
関東での漁獲量が少ないのが残念だ。
代わりになるかは分からないけど、同じく「はも」と呼ばれる東京湾名物のアイツを釣ってきたので、本家ハモと比較してみたいと思う。
コメント
ちなみに、このサイズが昔は、最高級の竹輪や蒲鉾に大阪では成ってました。京都では、細く骨切りして蒲焼きに…今でも、錦市場に行くと見事なサイズの鱧の蒲焼きがズラッと並んでます。
後は、鱧は、麺つゆの素を伸ばして薄切り玉ねぎとすき焼きみたいにして食べても旨いですよ。大阪南部の食べ方です。
京都じゃこのサイズも骨切りするんですか!職人さんもたいへんだ……
はもすきってやつですね? 玉ねぎと合わせるのがハモの鉄則でしたっけ。。関東人ですが見よう見まねでやってみましょう。
まあ、その為に鱧切り包丁成る専用包丁が有りますからね。
実は、あの包丁のミソは、薄刃包丁並に刃が薄くて鋭いのに、楽に骨を切り続ける為に、重量があって重さを利用して切ると言う構造…。
ちなみに、長モノと言う意味なら、琵琶湖では、鰻が鱧と同じ様に玉ねぎのすき焼きで食されて居ますね。鰻のじゅんじゅんと言う名前で。
ハモはでかければでかいほど美味い 小さいハモなんかテンプラと湯引きにしか使えない
これは京都を除く関西の鉄則なのです
ほほう……
まあ確かにデカいほどキロ単価的には安くなるみたいですもんね。
最近このサイトを知りいつも楽しく拝見しています
いつか豊栄水産で魚を購入しようと問い合わせたところ、もう翔さんは退職なさったとのこと…もっと早くここに出会えていればと後悔です
これからも楽しく読ませてください