先日のカワハギ釣りで釣れたのは魔界生物のほか、
泣き尺カワハギが多数と
おなじみの外道ベラ類にハコフグ、
イシダイ、そして
タカノハダイでした。
タカノハダイって本当に磯臭いの？
タカノハダイは一般的知名度は皆無ですが、釣り人には比較的よく知られた魚。しかし多くの場合それは悪名としてです。
尾びれ付近の模様を鷹の羽になぞらえてつけられた立派な和名がありながら、だいたいの場合ちゃんと呼んでもらえず「タカッパ」「ヒダリマキ」などと呼び捨てられます。
更には「ションベンタレ」なんてひどい名前も……
実は磯周りに生息する魚には「小便」にかかわる名前を付けられているものが結構あります。これは磯臭さが強くアンモニア臭に感じられることが原因なのですが、タカノハダイの磯臭さは中でも強烈なことで知られており、これが嫌われる原因になってしまっているわけです。
ただその一方で、千葉県外房などこの魚を好む地域も点在しています。共通しているのは漁師町で「魚喰いの土地」だということ。
つまり魚の扱いに卓越した人ならば、このタカノハダイも美味しく食べられるんじゃないか、という仮説が立ちます。
実はぼくは以前「真夏のタカノハダイ」に挑戦したことがあります。
ふつう魚の磯臭さというのは夏に増大するものと考えられており、磯魚の旬は冬だと考えられています。美味な魚として知られるイシダイやメジナも「夏はネコマタギ（魚好きのネコもまたぎ越すくらいマズいということ）」といわれることも。
一方でその時食べたタカノハダイは夏だというのに磯臭さは皆無で、脂の乗りもよくめちゃくちゃ美味かったのです。
これらのことから考えるに、タカノハダイの磯臭さは、個体に由来するというより『扱い方の問題』なのではないか。つまりどんなシーズンのものでも（繁殖期は別ね）ちゃんと処理すれば美味しく食べられるのではないかと思われるのです。
「ちゃんとした処理」とは何かというとたぶん「血抜き」なんじゃないかなぁ。。磯魚の臭みは血に由来すると聞いたことがありますし、確かにどいつもこいつも血の気が多いやつばかり。
丸吉商店さんで購入した時も、当時いらっしゃったなじみの専務さんがしっかり血抜きしてくれたんですよね。
今回せっかく元気の良いタカノハダイが手に入ったので、ちょっと試してみることにしました。
しっかり血抜きしたタカノハダイは刺身で美味い
元気なタカノハダイの鰓ぶたからハサミを入れて鰓を切り、さらに動脈もカットしてバケツの中でしばし泳がせます。血が抜けきったのを確認してクーラーボックスにイン。
持ち帰り、3枚におろしてみると
Wow……ﾋﾞｭｰﾃｨﾎｩデスネー！
いわゆるエンガワの部分を中心にコッテリと脂が乗り、皮下脂肪も乗って身が白濁しています。
鼻を近づけてスンスンと嗅いでみると……うーん、ごくわずかに磯臭さがあるかな……いやそうでもないかなあ。
正直気になるものではないのですが、身質がぶりんぶりんし過ぎて刺身で食べるには硬すぎたので、熟成もかねて冷蔵庫で休ませることにしました。
キッチンペーパーを巻いておけば臭みも消えます。
翌日、刺身にしてみました。一緒に釣れたサンバソウ（イシダイの若魚）もついでに刺身にします。
いただきまーす
……(≧〰≦)ｳﾒｪｰ!!
タカノハダイ、やっぱり美味しい！ 臭みなどもはや欠片もなく、サクサクとした食感にコクのある脂が絡んでめちゃめちゃ美味しいです。
エンガワはヒラメのそれのようにプリプリ、脂の乗りは大トロという感じ。
塩味のカルパッチョにしても美味しく食べられた
サンバソウもサイズのわりにコッテリと脂が乗り、ねっとりした質感で大変美味しかったのですが、一晩寝かしてもまだ磯臭さを若干感じます。まさかタカノハダイのほうが無臭になるとは……
味：★★★★☆
入手難易度：★★★☆☆ タカノハダイ自体は漁師町に行けば結構売られてるけど「活〆血抜きもの」は釣り人でないとまず手に入れられないと思うな
というわけで、タカノハダイは夏のものも冬のものも血抜きでしっかり美味しくなりました。ニザダイやアイゴも一回泳がせながら血抜きしてあげたらもうちょい美味しく食べられるかもわからんですね。
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