バングラディシュの国魚「イリッシュ」をジャパニーズマリネスタイル(酢締め)で食べてみた

スポンサーリンク

「野食のススメ」第9回の記事が公開されました。
↓↓
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
星海社Webサイト「ジセダイ」
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


秋葉原駅前のハラールフードショップが楽しくて通っている。
最寄駅の駅前にこんなものを作るとは全く、危険すぎることこの上ない。
茸本家の財政を破たんさせようという闇の陰謀を感じます。


ここで、先日のキノボリウオに続き、購入してしまった商品がこちら。


ニシン科のイリッシュという魚だ。

Ilish -Wikipedia 英語版のページ-

東南アジアからペルシャ湾にかけての沿岸から汽水域に生息しており、最大で60cm、3㎏にもなるという。
日本には生息しておらず、また食用として輸入されることもほぼ限られている。

その理由のひとつとして、主要産地バングラディシュでこの魚の国内需要が高すぎるため、輸出禁止措置が取られている、というのがあげられるだろう。
当地では1匹の価格が日本円でいうと1000円、物価を考えると10,000円相当と非常に高価で取引されているといい、その人気がうかがえる。
ウィキペディアによると、バングラディシュのGDPの1%をイリッシュ関連の加工物の売り上げが占めるということで、日本で同様の魚を考えるのはちょっと難しい。

今回購入したものは、バングラディシュのお隣ミャンマーで水揚げ後即冷凍、輸出されたものである。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
 

イリッシュを日本風に食べてみた

キノボリウオと異なり、イリッシュについてググると様々な日本語のページが見つかった。
やはり、バングラディシュに滞在した際に食べたというエピソードが多いようだ。

当地では主に揚げて食べられるか、あるいはカレーの具になることが多いという。
購入するときにお店のお兄さんに聞いても「マスタードオイルで揚げるのが一番」と言っていた。
揚げるときは筒切りにして、焦げる寸前までしっかりと火を通すことが多いようだ。
小骨の関係だろうか。

とはいえそうなると魚の味なんてわからなくなっちゃうんじゃないか……という危惧がある。
まずは身の味を知りたい。
なので、ニシン科ということもあり、酢締めにしてみることにした。
(水揚げ後すぐに冷凍されたということだが、さすがに生で食べる勇気はない)


じっくりと観察しながら捌いていこう。


今回のものは全長50㎝強、1.56㎏の中型? サイズ。
大きいものの方が高いらしく、今回はキロ2550円、都合4,000円ほどだった。
日本でも高級魚といって差し支えはなさそうだ。


ニシン科の大きな魚といえば当サイトのアイドル「ヒラ」が挙げられるが、全長は同じくらいでも体の厚みが倍ぐらい異なる。


顔は一見するとブリみたいだが、しばらく眺めていると「コノシロだ!」と考えを改めた。
浅い内湾や河口部に棲息し、泥の中のプランクトンを濾しとって食べるという性質(by Wikipedia)からも、コノシロの超巨大化したものだと考えれば納得がいく。


鱗を剥いでいくが、ニシン科とは思えないほどしっかりと皮膚に張り付いており、とりづらい。
仕方がないので、まず側線上の鱗を指先でむしりとり、そこから鱗とりをすべり込ませていくようにすると、そこそこうまくとれた。

内臓を取り出すと、奥から立派な卵巣が現れた。

大きさは優に20㎝あり、形は数の子そっくりだが、色がマリリンモンローのルージュのように赤い。
これはとっておこう。


とここまではヒラやコノシロなど、ニシン科の魚らしい特徴がみられたが、③枚に下ろしていくと驚きの光景が現れた。

何だこの脂の入り方!!


ニシン科の魚は、脂肪を皮下に溜めることが多く、脂が筋肉中に入ることはあまりない。
しかしこのイリッシュは、まるでブリやツムブリといったアジ科魚のように、筋肉中にきれいな脂の筋が入り込んでいる。


まるで霜降りだ。

食レポで「ブリみたい」というものを見かけたが、さもありなんと思う。



サクどりして塩をして一晩おき、水分をしっかりと出す。

甘めの寿司酢を作り、一晩かけてじっくりと酢締めにする。
生食用の魚でないうえに、生食文化のない国から送られてきた魚だ、念を入れて長く漬け込むのがいいだろう。

翌日。

取り出してみると、まるで拍子木のようにカチカチに締まったサクが登場した。


薄くそぎ切りにすると、ニシン科特有の皮下埋没骨が包丁に当たってくる。
試食してみると……

……(´・~・`)
しょっぱいのはいいとして、身が締まりすぎたせいか脂が全然溶け出てこない。
薄切りのおかげで骨はそこまで気にならないけど……

これは、加熱したほうがいいだろうな。
ということで軽く火あぶりにしてみると……


……(`・~・´)
うん、やっぱりしょっぱいけど、こうすると脂が出てきて美味しいぞ!

味としてはやはり、ヒラやコノシロよりはブリに近いなと思う。
見た目だけでなく味もツムブリに似ている感じがある。
でも、奥からふわっと出てくる脂はやっぱりニシンっぽい。

他にたとえようがない、不思議な味だ。

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆



酢締めを食べた印象としては、生より加熱したほうが美味しそうだと思った。
脂がすごいから、揚げ物にしても身がしっかり主張してくるのかな?

明日はしっかり加熱して食べてみよう。。

スポンサーリンク
 
スポンサーリンク
魚介その1(魚系)
スポンサーリンク
茸本 朗をフォローする
野食ハンマープライス

コメント

  1. rennzann77 より:

    姿かたちがカタボシイワシと似ていますね。
    南国の魚にしてはかなりの脂の乗りといった点でも。

    • wacky より:

      確かに。カタボシイワシも割と偏平ですもんね。
      脂の乗りでいうとイリッシュの方が数段上かもです。カタボシはそこまで筋肉中に脂肪が入る印象がないので。。

  2. すいーと より:

    未知の魚って楽しいですね!
    私なんかは初めて食べる魚はその魚の一般的な料理で(要は無難に)試してそれが味の基準になってしまうんですが、この記事のようにどうにか工夫して身の純粋な味を求めていく姿勢には頭が下がります。

    • wacky より:

      あ、僕も普段はそうですよ!
      でも、バングラディシュの食べ方ってスパイスで煮るか、揚げるかだから素材の味分からなくなっちゃうんじゃないかと思って(^_^;)
      僕は何かの食材を手に入れた時って、産地ではなく素材を理解したいって思うんですよ。そしてやっぱり、魚の味を引き出すことにかけては、和食の右に出るものはありませんねぇ。

タイトルとURLをコピーしました