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先日、はるき船長のところにとあるブツを届けに行った際、「面白いものがあるから食べていきなよ」と言われました。
船長はその日、朝から豊洲市場の馴染みの仲買さんのところで特別な魚を購入してきたそうなのです。
ややあって登場したそれは、一見するとタイ型ですがよく見ると不自然に小顔で、魚というより鳥のような顔つき。
メジナのようでメジナでない、これは……
「イズスミです!」
あーやっぱり、イズスミ、そうだイズスミ……
ん?
イズスミか、イスズミか
えっ、イスズミ、ですよね?
「イズスミじゃない?」
「イズスミでしょ。」
マジか……おれずっと間違ってたのか……
恥ずかしいから詳細調べてみよう……
イスズミ -ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑\
イスズミじゃねーかちくしょー! 騙されるところだったぜ……
正式和名はイスズミ、西日本での地方名がイズスミ、らしいです。イズスミクラスタ各位は反省文をご提出ください。
磯に棲む魚で「磯棲み」「石棲み」が名前の由来だそう。
漢字で書くと「伊寿墨」。なんだかよくわかりませんがめでたそうだなおい。
ゴクラクメジナ、なんて愉快な地方名もありますね。
ババタレは究極の血抜きで美味しくなってくれるのか
さて、ここでイスズミかイズスミかちょっと揉めてみたりしましたが、実際はかなりどうでもいいことです。
なぜなら釣り人の間ではこの魚「ババタレ」というかわいそうな通り名が一般的だからです。
イスズミは釣り上げられるとき、ショックのせいか水圧の変化のせいか、腸の内容物を盛大にぶちまけます。
ただでさえ、本命であるメジナそっくりの引きでぬか喜びさせてくるのですが、そこに追い打ちをかけるような脱糞シーン。
それでもね、もし彼らが美味な魚だったら全然問題ないわけです。日本人は魚の見てくれを問わず、味で評価できる民族。
しかし、残念ながらイスズミ、基本的には美味しいとは言えない魚です。
簡単に説明すると磯臭さの権化のような魚で、捌いている最中から磯臭さが立ち上りギブアップしてしまうことも。。
磯臭さって不思議な存在で、どういった理由で魚が磯臭くなるかって実はあまりわかっていません。
藻類を食べるから臭くなるんだという説を唱える人がいますが、メジナやアイゴは藻類食性が強くなる冬に磯臭さが抜けて美味しくなります。
暑い時期は磯臭いという説もありますが、タカノハダイやニザダイなんかは明確に夏の方が臭くなくて美味いです。
そしてこのイスズミはというと……正直、一年中臭いです。表皮から常に磯で半分干からびたカジメみたいな臭いがしています。
はっきり言うとアンモニア臭い。
うんこは漏らすし、しょんべん臭いしとなればまあ、嫌われるのもやむなしというカンジはしますよね。
しかし、そこははるき船長、ただ磯臭いだけのイスズミなんか手配するわけはなく……
今回のものはなんと「津本式・究極の血抜き熟成」を施したもの、だというのです!
津本式とは今魚好きの間で大変ホットなトピックである魚の熟成方法。
特殊な器具で体内の血液を完全に抜くことで、鮮魚の状態で1週間以上という長期の熟成を施すことができ、それによってこれまでにないほど旨味の強い刺身が食べられるということで注目を浴びています。
今回イスズミを購入したお店は、入荷した魚に津本式熟成をかけてから販売するサービスをされているのだそう。
しかし、高級魚であったり青魚であったりならわかるのですが、イスズミとは……
魚価を考えたら全く割に合わない仕事だし、購入するのも我々のようなマニアしかいないと思います。本当に頭が下がる……
こちらが尾の断面。
血合いの血液まで完全に排除され、たちのぼるような臭みは全くありません。
肉質も、熟成させたとは思えないほどの締まり。活〆と神経抜きを施しているからこそです。
はるき船長の手で見事な刺し盛に。
普通の刺身と皮付きの霜降り造りの2種類をご用意いただきました。
まずは普通の刺身から、いただきまーす
……(・〰・)
ふむふむ、フーム……うん、なるほどなるほど。
メジナと比べるとやや淡白な味わいで、脂もそれほど強いわけではありませんが、熟成による旨味はしっかりと感じられます。
ただ……なんだろう、きど味のような、なんとなーく舌に引っかかる感じのような……?
続けて霜降り造りを。
この調理法は、魚の中で最も美味いといわれる「皮と皮ぎしの脂」を堪能できるものなのですが、一方で諸刃の剣でもあります。
これはどっちに転ぶか……
……(`・〰・´)あーなるほどなるほど、なるほどねー。
磯に棲む魚らしく、皮のゼラチン質が豊富で厚みもあり、脂もよくのっています。
しかし……やはり、皮ごと食べると磯臭さがね、しっかりと出てきますね……
イシダイやメジナなど、美味さの中に磯臭さが同居する魚は、霜降り造りにすると皮の磯臭さが加熱で目立ってしまうことがあるんですね。
イスズミはなおさら、というカンジです。
しかし一方で、普通の刺身の時に感じたきど味は、霜降り造りにするとむしろ感じなくなりました。
皮目の磯臭さが上手くカバーしたのでしょう。
そもそもこのぐらいの磯臭さも、言ってしまえば磯魚における個性のひとつ、これが好きという人もいっぱいいます。
ぼくはちょっと苦手なタイプで、こういう魚をそのまま食べるのはあまり好きではないですが、そんなぼくでも磯臭さが嬉しい調理法があります。
それはずばり
寿司!
試食のときにいらっしゃった、アマダイ釣り船船長のSさんが、パパっと握りずしにしてくれました。
どんな魚も、酢飯と合わさることで隠れていた個性や相性が引き出されます。
その中でも、磯臭さのある白身魚はとくに酢飯によって魅力が顕わになるものが多いのです。余計な臭みを酢の香りが打ち消し、飯が純粋な旨味や脂ののりを堪能させてくれる。
イスズミもとても美味しくなりました。
とくに霜降り造りの方はかなりのもの。伊豆の地魚寿司屋さんでこれが出てきたらめっちゃうれしい、そんな味です。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
ということで、津本式の魔法だけではイスズミの魔力に勝てませんでしたが、酢飯の魔法と合わさることで調伏することができました。
前に銅蟲さんが熟成寿司の美味さを語ってくれたことがあるけど、さもありなんだよなぁという話ですね。。
コメント
おしゃれイズム出てましたね(笑)
津本式の根本は雑魚をいかに価値ある美味しい魚にするか、という考えからだったと思います。
実物みてないのでなんともいえませんが
臭みが気にならないなら沖磯のノトかミナミの若魚ではないでしょうか?
ノトかミナミの4~5kクラスは美味いですよ
夏場はヘタなメジナより匂わないです
機会があれば食してみて下さい