ちょっと前に、iPhone6をやすりで磨いて鏡面仕上げにしたという話が話題になりました。
iPhoneの背面をピッカピカに磨いて鏡面にした猛者現る 「かっけえ!」「昔のiPodみたい」と話題に
そもそも紙やすりで磨いてなんでピカピカになるのかがよくわかっていないド文系のぼくですが、それはそれとして深海にも鏡面仕上げみたいな外見をした魚がいます。
それがこの
カゴカマス。
以前、清水港魚市場で投げ売りされていたものを購入したことがあり、その時もきれいだなーとは思ったのですが、生きているものの美しさはその比ではなかったです。
輝くような銀色といえばタチウオが有名ですが、個人的にはカゴカマスの方がよりパールカラーに近い銀で美しいというか、鏡面って感じがします。
例えるならタチウオが磨き上げたシルバー、カゴカマスは青銅鏡ってカンジ。
釣り上げた瞬間からその美しさに黒が差していき、輝きが鈍ってしまうのですが、それでも新鮮であればしばらくは美しいです。
釣り上げたのはこの日が初めてだったのですが、船長とふたりで6匹ほど釣れ、代わりにいつも混ざってくるクロシビカマス(スミヤキ)は釣れませんでした。
互いに近縁なんだけど、群れの中で混ざり合っているということはないみたいです。
カゴカマスの鏡面仕上げ塩炒り
カゴカマスは深海魚の中でメインターゲットとなることはまずありませんが、それでも通は必ず持ち帰る美味な魚。
ぼくも大好きで、今回も釣れた時はめっちゃテンション上がってました。(そのあとアカムツが釣れてしまい、興奮が上書きされた)
見た目はタチウオとサバのキメラって感じですが、身質はタチウオとサバの合いの子に脂肪マシマシって感じでめたくそにトロです。全身大トロ。
皮下に脂肪が集中するスミヤキと異なり、中骨近くまでしっかりとサシが入っています。
ナガスミほどコクのある脂ではありませんが、さっぱりとしながらも甘みもあり絶品。
初めての人はぜひ刺身で食べてください。小骨もスミヤキほど強靭じゃないので、骨切りや薄造りでも食べられます。
なんですけど、今回よりカゴカマスの魅力を引き出す食べ方を見つけました。
それは、塩炒り。
沖縄のマース煮と似た料理法で、簡単に言うと塩水で煮切ってしまうというものです。
どんな魚もたいがい美味しくなるんですが、とくに「身が柔らかく、身離れがよく、出汁がよく出て脂がのっている魚」にぴったりの調理法。
通常はサバやカタクチイワシで作ることが多いですが、このカゴカマスはそれ以上に美味くなります。
カゴカマスは下処理をし、筒切りにします。
鱗は小さく舌に障りませんが、気になる場合は皮を引いてしまいましょう。
サバと同じようにペロンと剥けます。
皮剥いてもピッカピカ。この銀色の色素(グアニル)は鮮度が落ちると途端に生臭くなってしまうので、カゴカマスが流通しにくい原因となっているようです。
これを鍋に敷き詰め、海水と同程度の塩水をひたひたに入れて、中火で煮ていきます。
出汁がいっぱい出てほしいので、頭も一緒に煮るといいです。
焦げないように注意しながら、火を弱めつつ煮切っていき、水分がなくなったら器に盛り付けます。
調理してもピッカピカやなぁ……
いただきマース
……(≧〰≦)めっさウマー
カゴカマスやスミヤキ(あとダメだけどバラムツ、アブラソコムツ)など、クロタチカマス科の魚の一番の魅力は何か。
多くの場合脂の多さだと思われていますが、実は最大の魅力は出汁の美味さです。
アマダイの出汁に力強さを足したような、マダイの出汁にコクを足したような、カツオの出汁に上品さを足したような、ほかの魚では出せない旨味汁がでます。
しかも表面に浮かぶ球脂がそこに甘みとコクをドン! っと上乗せ。
正直、反則に近いです。
煮込まれた身は柔らかくほろりとほどけ、己から出た旨味をもう一度吸い込んで弾けます。
汁にあれだけ放出されたはずなのに、無限に湧き出るかのような脂がすばらしい。
小骨がちょっと煩わしいけど、1本1本が長いから注意していればのどに刺さることはないです。
正直、美味すぎて骨のことなんかどうでもよくなるよ。
味:★★★★★
価格:★★★★☆
カゴカマス、狙って釣れるなら乗り合い遊漁船のターゲットになってもいいくらいだと思うんだけど、スミヤキとの釣り分けは難しそうな感じがします。
同じポイントでもスミヤキが釣れるときとカゴカマスが釣れるときがあるんだよねぇ……研究の余地ありって感じです。
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