先日のシロギス釣りでは、師匠の的確な指導もあって無事素晴らしい釣果を得られました。
釣れた魚をクーラーから出し、綺麗にしながら数の確認などを行ったのですが、その時に師匠が「いますね……」とぽつり。
ん、なにがいるの?
「カルキスです。手がめっちゃ臭くなりました」
お、噂のカルキス!
塩素臭いキス「カルキス」
天ぷら用の魚として非常に高い人気を誇るキス(シロギス)。
美味な魚であり、最近は漁師さんも盛んに漁獲するようになっているのですが、実は流通するうえでちょっと困った弱点を抱えています。それは「ときに臭い魚がいる」というもの。
皆さんは天ぷら屋さんでキス天を食べていて、なんだかやたらと漂白剤臭いものにあたったことはないでしょうか。「捌く直前にまな板を漂白したのかな?」と思っていた方もいるかもしれませんが、実はそれ、もともとキスに由来する匂いである可能性があります。
砂地の海底付近に棲息するシロギスは、砂に潜るゴカイ等の餌を食べています。そのゴカイの中に塩素臭を持つものがいるそうで、それを食べたシロギスもその匂いになってしまうのだそう。
確かにぼくは以前アオイソメを食べたことがありますが、臭さの要素の中に塩素系の匂いがありました。
アオイソメは韓国からの輸入品が多く、輸入にあたり塩素消毒など施したのかなぁと思っていたのですが、もしかしたらアオイソメ自身に由来するものだったのかもしれません。
このようなキスは関東近隣では特に三浦で良く釣れるそうで、三浦の投げ釣り師は「カルキス」と呼んで恐れています。
冒頭の師匠の発言のように「触った手すら臭くなる」ほか、間違えて天ぷらにしてしまうと鍋の油が臭くなり使い物にならなくなる、とも言われます。カルキスは外見では区別することができず、また個体差も大きいため、ときに流通品に紛れ込んでしまい、クレームの種になってしまうことがあるのです。
最近では特に20㎝を超えるキスは高級魚であり、そのようなものにカルキスが混ざってしまうと損した感が半端ないです。
カルキスの臭いは消せるのか
今回、釣り上げた70匹のキスのうち3匹がカルキスでした。
リリースしてもよかったのですが、ちょっと考えて持ち帰ってみることにしました。勝算というほどのものでもないですが「こうしたら食えるんじゃね?」というアイディアがあったのです。
ぼくが以前勤めていたワイン業界でも、シロギスと同様に「塩素臭いものが混じる」というトラブルが発生することがあります。これは塩素消毒されたコルクが原因でおこるもので「ブショネ」と呼ばれています。
外見からはブショネかどうか判断できず(瓶に入ってるからね)クレームの種になるという点でもカルキスと似ています。
ブショネのワインは基本的には利用することはできません、しかし実は、ブショネの度合いが低いものについては、身近にある道具でその匂いを除去し、飲めるレベルに持っていく裏技があります。その道具とは
食品用ラップ。
ラップの主原料であるポリ塩化物は塩素臭さの成分を良く吸着する性質があり、そのためラップをワインの中に漬けておくことで塩素臭さを吸着させて取り除くことが可能なのです。
この裏技をカルキスにも使えないかと試してみました。
まず、何も処理していないカルキスを、塩焼きにして食べてみます。
あー(;´×`)くっせぇ
完全に小学校のプールの消毒槽の臭いです。これを美味しく食べられるのはスク水マイスター・平林氏くらいでしょう。
そういや平林さんやたらとシロギス好きだったな、まさか……
まあいいや、さっそく匂い消しにトライしてみよう。
まず、カルキスを三枚におろし、中骨をすいてラップにくるみます。
そのまま30分ほど放置して、もう一度確認。
……(;´Д`)うーん……
多少は弱くなっているようですが、まだ鼻にツンときます。身に厚みがあることや、ワインと違って液体ではないためラップと触れ合う部分が小さく、匂い成分の吸着効果が小さいことが原因のようです。
これだけじゃだめだということで
塩締めにしたのち
ワインビネガーと麺つゆ、砂糖で簡易三杯酢を作りそこに漬けこんでみました。
ワインビネガーを使ったのは風味が強いから、三杯酢にしたのは、淡白な白身であるシロギスに鰹節の風味をつけることで塩素臭さに対抗できるようにしたかったからです。
1時間ほど酢締めにして、水分を切ってからもう一度ラップにくるんで消臭したものを
そのまま生で食べてみます。
いただきまーす
……(;´∀`)ギリギリセーフ!
まあぶっちゃけ塩素臭さは残っていますが、塩締めで水分を抜いたのに加えラップの力もあって、かなり弱まってくれました。
ワインビネガー三杯酢の風味もいいカンジにマスキングに寄与してくれています。これくらいならまあ、食えなくもないな。
味:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆
天ぷら屋の皆さんは、購入したキスがカルキスだったらぜひ塩をして水分を抜いたのち、ラップにくるんでみてください。もしかしたら多少はましになるかもしれません。
20201028追記
サランラップはポリエチレンではなくポリ塩化ビニリデンという成分で作られているそうです。なのでサランラップやクレラップよりも、ポリエチレン製の安いラップのほうが消臭効果が大きい可能性があります。
次回またカルキス釣れたら比較してみようと思います(`・ω・´)
コメント
エセ科学やニセ医療の広告が多すぎます
ご迷惑おかけしております。広告出稿業者にクレームを入れておきます。