「南の海のニシン」カタボシイワシは刺身が美味しい

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片瀬漁港の直売所ではメールマガジンサービスを行っていて、その日なにが水揚げされているか、8時頃(スタートの一時間前)にお知らせしてくれる。
もちろんそれを見てから家を出たとしても、つく頃には売り場は空っぽなので朝市に行くかどうかの目安にはできないが、開場を待ちながら購入のシミュレーションをするのには役立つ。

今回片瀬漁港に行くことを決めてから、一週間ほどこのメルマガを見て買うものを考えていたのだが、毎日のように水揚げされる聞き覚えのない名前に興味があった。
カタボシイワシ,片瀬漁港

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固干しイワシ…ではなく肩星イワシ

メルマガでは、入り会い箱の中身は細かすぎるので載せていないようなのだが、カタボシイワシは載せてあるので大量に採れているものと想定できた。
あまり聞いたことがない名前なので調べてみると、マイワシに似たニシン科の魚で、南方系の種だが最近関東周辺でも採れるようになってきているらしい。
カタボシとは堅く干した「堅干し」…ではなくて頭の後方に黒い斑点があるので「肩星」とのこと。

ほかの市場や釣りでも見たことがない魚なので購入を楽しみにしていた。

これは…ニシン??

開場し、カゴを持って売り場をうろうろしていると、奥のテーブルにいる魚に違和感を覚えた。
カタボシイワシ,片瀬漁港
大きさは優に30cmを超え、イワシ特有の薄くて大きな剥がれやすい鱗に全身が覆われている。
顔や目は確かにマイワシに似ているが一見して分かるのはその扁平具合
コノシロやサッパほどではないがかなり平たい。
大きさもあって、マイワシと言うよりはむしろニシンに近い

グラム50円と、イワシとしては格安なので3匹(1kg)購入し、比較用にとウルメイワシ(こちらも30cm近い)を購入した。
どちらも「○○イワシ」と名のつくものでは日本最大クラスを誇る種だ。

カタボシイワシの刺身は美味い!塩焼きは…

持ち帰ってきた2種のイワシを改めて比較。

ウルメイワシ,カタボシイワシ

上2つがカタボシイワシ,下がウルメイワシ.


鱗のはがれかけた表面のようすや鋭くとがった尾鰭は、サッパやヒラにもよく似ている。
調べてみるとカタボシイワシはニシン科サッパ属ということで、マイワシよりはサッパに近い存在のようだ。

鱗をはがすと光沢がより鮮やかになった。
カタボシイワシ,片瀬漁港
マイワシの場合は鱗をはがすと斑点がよりはっきりするが、カタボシイワシの場合は逆に薄れて消えてしまった。
こうなると判別が難しい。

内臓を出そうとすると、黄色い卵巣が出てきた。
カタボシイワシ,卵巣
カズノコと比べると小さいものの、形状はよく似ている。
マイワシの卵巣は赤いので、このあたりもやはりニシンに近い。

3枚に下ろす。
カタボシイワシ,片瀬漁港
一見してわかるのが脂の乗りの良さ、そして小骨の多さ
厳密にいうと本数はマイワシなどとさほど変わらないのかもしれないが、1本1本が太く、鋭く主張する。
ヒラと違って食べられないものではないが、こどもやご老人が食べる時にはのどに刺さらないよう注意したほうがいいかもしれない。
身が柔らかく、骨を抜こうとすると身崩れしてしまうところはマイワシと共通だ。

カタボシイワシ,ウルメイワシ,刺身

上2つがウルメイワシ,下2つがカタボシイワシ


脂の乗りはうれしくなるほどで、ウルメイワシと比べてもよりノリノリだった。
他の特徴としては血合いが多く、肉の色もウルメイワシと比べてやや濃いようだ。
これは…骨が怖いけど、やはり刺身がよかろう!

さっそく実食。

刺身,6点盛り,片瀬漁港

一番上の左がカタボシイワシ,右がウルメイワシ


(○~○*)…
…美味いわぁ…しみじみ美味い。
三十路に乗ろうとしている最近、回転ずしなどに行ってもイワシばかり食べてしまうほど味覚が変わってきたのだが、カタボシイワシの脂、血合い、旨味のバランスはマイワシ・ウルメイワシと比較しても見劣りしないどころか、僕はむしろこちらの方が好きかもしれない。

薄く削ぎ切りにしても骨が少し気になるものの、他のイワシと比べても身がしっかりしているので歯ごたえがあり、血合いも臭みなく大変美味しい。
そして…この味はやっぱり、イワシというより旬のニシンに近いのかなと思った。
骨も、ニシン風に酢漬けないしはマリネにするともっとおいしく食べられるかもしれない。

味:★★★★★
価格:★★★☆☆

ただ、血合いが多いので鮮度の低いもので造った刺身は食べられたものじゃない気もする。

2匹目は塩焼きにする。
半身はそのまま、もう半身はヒラのように骨切りをしてみた。
カタボシイワシ,骨切り
フライパンでじっくり焼いて…

ウルメイワシ,カタボシイワシ

上がカタボシイワシ,下がウルメイワシ

(・~・`)…

すんげーパサつく。
身が締まっていて刺身では美味しいのだが、焼くと途端にしっとり感が無くなり、なぜか脂も感じられなくなってしまった。
骨切りしたほうは、さらにエキスが流れ出してしまったのかぱっさぱさで、箸でつまもうとするとばらばらにほぐれてしまった。
骨も焼くと気になるようになってしまった。

味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆

生か、マリネか、油で揚げるか

ということで現時点ではカタボシイワシの利用法は「生一択」という結論になった。
ただ身の締り方から、フライやオイルサーディンは間違いなく美味しくなる気はする。

ただいずれにしても骨は少し気になるだろう。
また血合いが多く鮮度が落ちやすいため、必然的に地元で消費される(流通させづらい)魚になってしまっていると思う。

この1ヶ月、毎日コンスタントに水揚げされているようなので、気になった人はぜひ片瀬に行って購入して試してみてほしい。
刺身の美味さは保証しますぜ!

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魚介その1(魚系) 魚市場
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野食ハンマープライス

コメント

  1. rennzann77 より:

    ハンバーグと酢締めがおすすめ

    • wacky より:

      ハンバーグ…ではないけどさんが焼き美味かったです。酢締めはテッパンだろうなぁ…

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