先日無事に本が校了しまして、一息ついているところの茸本です。
これでブログの更新にも精が出るぜ……と思いきや、またも大変ワクワクするお話をいただきまして、大変申し訳ないのですが今月いっぱいくらいは不定期更新が続くと思います。いつも来てくださる皆様、申し訳ありません。。
今回のチャレンジがしっかりと形になり皆様のお目にかかれますこと、そして「野食のススメ」がしっかり売れてくれることを祈願し、先日日本で一番高いところの神社に行ってまいりました。
ぼく自身は仏教徒なのですが、今回は一生一代の神頼みです。
神様どうか……! なにとぞ……!!
さて今回上梓いたします「野食のススメ」は、ジセダイで連載していたものをベースに、書き下ろしを追加しまくって予想をはるかに上回るページ数に収めたものです。
内容としては「野食やってみたいんだけどやったことないしぃー、食べておなか壊したらいやだしぃー」という野食初心者ギャルの皆様に向けたガイドブック、といった趣のものです。
想定読者層は10代から20代もしくは30代から40代の男性ないし女性、50代から60代の可能性もありうる、といった感じですね。
ぼくは「野食はともかく自分でやってみてナンボ」という考えをずっと持っていて、「野食やってみたいけどどうしたらいいかわからない」という人は見つけ次第オルグしてきたのですが、今回の本はその際の教本にできるということを念頭に置いて執筆しました。
そのため「やってみたい」と思った時期に野食デビューできるよう、それぞれの時期ごとに「いま採って食べるならこれやろ」という食材をクローズアップし解説しています。
本自体は今月の下旬に刊行される予定なのですが、その理由はやっぱり「秋はめっちゃ野食に向いたシーズンだから」なんですね。
何もしなくても、自然が美味い物を大量生産してくれるのが秋という季節。
「秋の恵み」というと果実やキノコなどがすぐに連想されますが、水中の生きものも脂がのり、その名詞にふさわしいものになります。
とくに今の時期、東京湾奥の人々だけが楽しめる「金アジ」なんかはその最高峰なんじゃないでしょうか。
江戸前金アジを釣って食べようず
まず釣りを全くされない方のために解説すると、食卓でおなじみのアジ(正式和名マアジ)は全国津々浦々でもっとも人気の高い釣魚のひとつで、陸から船から、初心者からご隠居に至るまで、オールシーズン狙われています。
誰にでも簡単に釣れ、言うまでもなく美味しいので人気があるわけです。
まあぶっちゃけ魚屋で買っても安いんだけど、それは言いっこなしということになっております。
金アジといっても特殊な種類があるわけではなく、関アジとか岬アジ、どんちっちアジなどと同じ、いわゆるマアジの地域ブランドのひとつです。
東京湾奥で8月終わり~9月いっぱいぐらいの間に釣れる、20㎝程度の大きさのアジがそれ。
アジは大きくなると50㎝を超える魚で、しかも一般的には大きいほど美味しいとされています。そこから考えると、20㎝程度のアジなんてものはたかが知れてるんじゃないかと思いきや……この金アジは魚のプロたちが大絶賛し、ときに「関アジを超える」とまで言われることもあります。
舌が肥え、釣りの腕も卓越した玄人釣り人たちが、6000円も払って船に乗り、この小さなアジを血眼になって狙うのはこの時期の東京湾の風物詩と言えるでしょう。
何が違うのか、それは脂ののり。
頭を落とし、はらわたを落とそうとすると
寒気がするほどの内臓脂肪の量に愕然とします。
人間だったら即再検査⇒メタボリック症候群で入院のコンボを決めそう。
もともとマアジには2つのタイプがあり、外洋を広く回遊し大きくなる系統のものと、沿岸性が強く、定着してあまり大きくならない系統のものが存在しています。
前者は黒アジと呼ばれ、後者が金アジと呼ばれます。
なので金アジ自体は全国にいるんだけど、東京湾の金アジは業界でも最高峰のものとして認識されているんですね。
これ、周りの人に話すと、驚くほどに知られていない。
最近では東京都心にも関アジが鮮魚で入っておりいい値段していますが、首都圏に住んでいるなら東京湾の金アジを食べたらいいのにと思います。
いやまあ関アジも抜群に美味いけど、青魚は基本的には鮮度が命だからね。
で、先ほど「船に乗って狙う」と書きましたが、実は金アジは陸からでも簡単に釣れます。
新木場~金沢八景くらいまでならどこの岸壁にも回遊してくると思います。
京浜運河とかでも釣れるし(あんまり奥まったところのだと臭みが心配だけど)
先日、連れを誘って川崎港でサビキ釣りをしたら、いい感じにぽんぽんと釣れてきました。
しかもどれも20㎝弱の典型的な金アジ。
本命はサッパだったんだけど、金アジが釣れるんだったらそのほうがいいに決まってます。(今の時期はサッパもめっちゃ美味いけど)
釣りをやったことがない! って人でも、上州屋に行って店頭に飾ってあるサビキ釣りセットとアミエビを購入すれば、ごくごく簡単にバッシバシ釣れます。
コツとしては以下の通り。
・玄人っぽい人を見つけ、邪魔にならない程度に近いところで釣らせてもらう。
・常夜灯がある場所に行き、その光が海面に当っているところの周囲を狙う
・サビキ仕掛けはピンクスキンの4号が鉄板。慣れたらトリックサビキが効果を発揮しまくる。
・朝マズメは釣り場が混むので夕マズメを狙う。日没寸前から19時半くらいまでに集中して釣る。
・タナは底から1m位。ちょっとでも高すぎるとカタクチイワシ祭に
・カタクチイワシが底でも釣れて来たら終了。
20匹も釣れたら大漁です。群れが来たら一瞬でイケる。
がんばってください。釣りの入門には最良のターゲットですぜ!
金アジのアジフライで新たな世界を開こう
小さいアジがたくさん釣れると下処理が面倒です。
ちびっこサビキ釣り師はだいたい一度は母親を激怒させます。「こんなに釣ってきて、誰が捌くと思ってるの!!」
こんなとき、ぼくが以前金沢八景の船宿で教わった捌き方を適用すると楽にたくさん捌くことができるのでお勧めです。
アジをさっと水洗いし、頭の後ろに切れ目を入れ、背びれの両サイドにも切れ目を入れます。
頭を左手で持ち、右手で皮をめりめりと引っ張ると、
ゼイゴ、鱗ともに皮がきれいに剥けます。
金アジは皮下脂肪もたっぷりなので、普通のアジと比べこの捌き方が適用しやすいように思います。
大きさ的にもちょうどいい。
頭を切れ目から折りとり、内臓を引き抜きながら胴体と離します。
あとはこれを3枚に下ろせばOK。
金アジの料理といえばやはり刺身。
皮目の脂がトロっとしており、舌の上でじゅわっと溶けます。
軽く酢で締めてもいいよね。
でも、これを敢えてアジフライにすると……
もう言葉が出ないくらいうまい。
アジフライって正直、刺身よりも鮮度の差、身質の差が如実に表れると思っています。
新鮮な金アジで作るのが間違いなく一番美味しい。
関アジで作ってもめっちゃ美味いと思うけど、すごい高いアジフライになっちゃうよね……w
アジ:★★★★★
カカク:★★★☆☆
釣りをやってみたいけど何を釣ればいいかわからない、野食を始めたいけど今何を採ればいいかわからない、そういう方はぜひ東京湾奥の岸壁で夕方、サビキ仕掛けを垂らしてみてください。
自分で採って食べるということの素晴らしさを、一発で実感させてくれる素晴らしいターゲットが遊んでくれると思いますので。。
コメント
うまいですよね。金アジ。
ちょうど近所で釣れるのでこのお世話になってます。
自分の釣るものは写真のよりもっと金ですが、おそらく食味は変わらないと思います。
>>日没寸前から19時半くらいまでに集中して釣る
そうなんです!そんくらいが釣れるんですよね
日の入りの時間、時期にもよりますが、だいたい5時半~6時すぎまでが一番釣れます。
まっくらになってからは釣れなくもないけどパタっと止まるときが多いです。
自分の釣り場ではみなさん投げてますが、この時間だけは大きめのも足元で釣れます。
でも、同じことをしてる人が圧倒的に少ない。この時期は夕方に必ず釣れるので、ありがたい魚です。
本校了おめです!!買います。
金アジフライうまそうすぐるww
いつも楽しく拝見させて頂いております。
また、校了おめでとうございます。
熊本の書店でお目にかかれる日を心待ちにしております。
これからも飽くなき探究心と共に新たな食の発見に期待しております。ありがとうございます。
本出されるんですね!即買いさせていただきますw
ちょうど昨晩、横浜でがっつりアジングして、昼飯に刺身となめろう丼をたのしみました。昨日記事に気づけば記事のさばき方試せたのに…orz
鯵は天ぷらにしてもめちゃめちゃ美味しいです。
ぜひお試しを。
天つゆより岩塩が良い感じです。
フライがイチバン=激しく同意です。今年の川崎港は私も良い思いをしました。