新巻き鯉を作っていたら発酵して鯉ハムになってた

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今年の年始早々、「相模の鯉取りまあしゃん」の二つ名を持つ憂さん、まいったか筋肉さんをヘッドハンティングし、西多摩某所にコイを釣りに行きました。


無事全員本命を釣り上げ、憂さんはチェコ名物「コイのビール煮」を、筋肉さんはなんかやたらと味が濃厚で美味い「ニシキゴイのうま煮」をつくり、翌週開催された福岡野食会茅ケ崎支部にてふるまってくれました

都市河川鯉とシュールストレミングについて

めでたしめでたし。


……茸本のコイはどうなったんだって?
まあ焦んなって、今日はその話するから。。

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コイの新巻きを作ろうと思った

そもそもなんでコイ釣りを企画したかというとですね、そのちょっと前に「新巻き鯉」なる食材の存在を知ったからなんですよね。

以前「鮭の山漬け」という新巻き鮭の上位バージョンを作ろうとして調べていた時に見つけた情報なのですが、昔からコイを食べる文化のある長野県では、海の魚である鮭の代わりに淡水の大魚であるコイを塩引きして保存し、食べていたそうです。

昔ながらの美味しい「鮭の山漬け」を作った
★☆★☆★茸本朗の新刊が発売されました☆★☆★☆ さまざまなヘンテコ・トンデモ・絶品食材を食べていろいろな目に遭った茸本の体験記が、cakesでの連載を経て単行本になりました。 ブログとはまた違った切り口の文章をお楽しみいた...

面白いなと思うのは、年に1度まとまって遡上してくるサケは保存食にする理由が明確ですが、身近な淡水にいて1年じゅう漁獲可能なコイをわざわざ保存食にする理由ってあんまりないと思うんです。めでたい食品である「新巻き鮭」みたいなものを作りたかったけど、コイしか手に入らないのでそれで作ったか、あるいは塩引きにするとアミノ酸が増えてうま味が向上するのでそれを狙って作ったか……いずれにしても「のっぴきならない理由」で作ったものではないんじゃないかなーと思ったんですよね。
そういう食材や食文化、大好きです! 

というわけで作ってみることにしました。

コイは釣れたその日に内臓を出し、鱗をとり、鰓を抜いてきれいに洗います。
そして全体に大量の塩を擦り込んでいきます。

腹腔にもしっかりと。

それを新聞紙で包み、ビニールで包んで上に重しを乗せ、冷たい外気にさらしながら保存します。
どデカいコイとは言え1週間もすれば水分が抜けるはずなので、そしたら次のフェーズに進めていきます。

……とおもっていたのですが、ここで茸本らしさが発動。。
存在をすっかり忘れて放置し続けてしまいました。その期間、実に1か月半!
気温もじりじりと上がり続け、およそ冷温とは言えないレベルまで上昇。気づいたときにはビニール袋の外までナンプラー様の発酵臭が漂う、えぐい見た目のものに成り下がっていました。

これはさすがにダメかなーと思いながら取り出してみたのですが、新聞紙をはがして表面を洗い流し、香りを嗅いでみると

……(`・∞・´)あ、これアンチョビ
臭いは液体ほど強烈ではなく、むしろ食欲すらわきそうな発酵臭。密閉された高塩環境下で嫌気発酵が行われているという状況はシュールストレミングやくさやと共通するはずですが、50日程度の熟成ではそこまで強い香りにならないのかもしれません。


クーラーボックスに水を溜めてその中にコイを漬け、丸1日かけて塩抜きをします。

これをぶら下げて干し、乾燥させたら、新巻き鯉の完成です。

……

……いや、これ……新巻き鯉じゃなくて、コイのミイラだろ……


塩蔵期間が長すぎて頭部の皮がはげ、頭骨が露出しています。完全に川辺に打ちあがった腐敗しかけのコイの死骸です。


しかも、乾燥前にはしなかった、ウォッシュチーズの臭いがします。いったいなぜ……


勇気を出して解体してみると、その理由が分かりました。

腹腔内の水分がうまく飛びきらず、ここだけ高湿状態が続いたようで、ねばねばとする茶色い物体がいっぱい発生しています。


臭いを嗅ぐと完全にウォッシュチーズです。しかもマンステールとかリヴァロみたいな相当強いやつ。

くさバーガー

高塩、高湿の腹腔内で、ウォッシュチーズの熟成に寄与するリネンス菌が繁殖し、このような状態になってしまったのでしょう。


しかしこれ、見た目こそ相当ヤバい(臭いもヤバい)ですが、リネンス菌がついているということはつまり、コイの筋肉が分解されてうま味成分のアミノ酸が大量に発生しているということ。単純に考えて、ただ干し上げただけの新巻き鯉よりもうま味が強くなっているはずなのです。

百聞は一食に如かず、食べてみましょう。

薄くスライスして……


生でそのままいってみます。

……(≧〰≦)しょっぱうまっ!
質感はハムですが、旨味と香りはチーズみたいな感じになってます。鮒寿司に似てるんだけど、乳酸発酵はしていないみたいで酸味がほとんどないのでもっと食べやすいです。酒がクッソ進む。

今度はそのまま焼いてみました。
……(`・〰・´)うん、これも美味しい。塩分が強くて大辛の新巻き鮭みたいな味がするけど、後からふわっと出てくる発酵臭の中にコイの風味があります。これお茶漬けにしたらたまんないな……!

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆



また面白いものを錬成してしまった……己のズボラさに感謝です。コイはそもそも美味しい魚だと思いますが、ここまで強い旨味を引っ張り出せるとは、発酵おそるべしです。塩をして放置するだけでこんなに美味しくしてくれるなんて、微生物は本当に偉大ですね。

まだ大量にあるので、これからいろいろな料理に使ってみようと思います。
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さまざまなヘンテコ・トンデモ・絶品食材を食べていろいろな目に遭った茸本の体験記が、cakesでの連載を経て単行本になりました。

ブログとはまた違った切り口の文章をお楽しみいただけると思います。ぜひお手にとっていただけると嬉しいです!

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魚介その1(魚系) 発酵
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野食ハンマープライス

コメント

  1. ない より:

    自分がいた長野の山間部、川が細くて急なので小魚しかいませんでした
    なので荒巻鯉は聞いたことありませんでしたが
    もらったとすれば昔は大変なごちそうだったんだろうと思います
    明治以前は沿岸部以外の地域は動物性たんぱく源は常に不足していたのではないかと思います

    • wacky より:

      なるほど……確かに長野ではありとあらゆる動物をたんぱく源にしますもんね。それくらい、常にタンパク質不足と戦ってきたんでしょうね。

  2. ぶりぶり仮面 より:

    長野県民です
    長野県のため池は冬に凍結して鯉が捕れなくなります
    冬でも鯉を得るために塩にしたのかもしれません
    最近は池が凍ることは少ないですが10年ほど前まで氷の厚みが30cm以上ありました。

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