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cakesにて茸本朗の連載
「野食ハンターの七転八倒日記」
が始まりました!
野食失敗体験を中心に、ブログとはちょっと違った切り口の記事を公開していく予定です。
合わせてお楽しみいただけると嬉しいです。
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コイの話続き。。
この人のサインが、、 pic.twitter.com/USPMeTYUkY
— 小林銅蟲 (@doom_k) 2018年5月12日
都市河川産であっても、水質の良いところで育ったコイならば基本的には臭みがないものですが、ときにハズレを引くことがあります。
海水魚の磯臭さもそうなんですけど、コイ目淡水魚の臭みも外見からは分からないので、釣って持ち帰ってからがっかりすることは少なくありません。
ただこの臭みにも2種類あって、ものによってはどうにかなることがあります。
まず、これは河川下流部で採れたものに多いのですが、いわゆる「ゲオスミン臭」がする場合、正直かなり厳しいです。
ゲオスミンは「雨が降った後のアスファルト」に例えられる何とも不快な匂いがあるのですが、大きなコイ目魚やウナギなど、これが筋肉中まで入り込んでしまっているものがあります。
以前、全身がゲオスミンの円に包まれたアメリカナマズと戦ったことがあり、煮込みはもちろん唐揚げもダメ、カレーに入れてもダメとさんざん手を尽くした挙句「蒸してほぐして焦げる寸前まで揚げる」というレシピで何とか引き分けに持ち込んだ経験があります。
ゲオスミンはかなり安定的な物質で、相当な高温で調理するか強酸で何とかするかしない限り除去することができません。
そのくせ匂いは強く、油断すると台所全体がアスファルト臭に包まれることになります。
ゲオ魚を釣ってしまったら、他魚の釣りの餌にする・埋めて肥料にするなど、食べる以外の活用手段を考えないといけないでしょう。
一方でいわゆる泥臭さ・藻臭さについては、これは調理法で何とかなります。
有名なのは「牛乳に漬ける」というもので、皮を剥ぐのとセットでかなりの臭み取り能力を発揮します。
ただこれをやると切り身に牛乳の匂いがつくので、煮つけとか和風の料理はやりづらくなります。
また度数の高いアルコールを使うと、わずかなゲオスミン臭も含めてうまく除去してくれるので、牛乳と組み合わせて使うと効果的です。
あとは皮や血合いなど、匂いが強い部分を切除するのもいいですね。
さらに、川臭さの成分は高温で調理すると揮発するので、揚げたりオーブンで焼くなど高温で調理するのもいい対処法です。
今回は、これらをすべて組み合わせることで、「もっとも川魚に適したレシピ」の料理を作ってみたいと思います。
フランス・リヨンの名物料理「クネル」をコイで作ってみた
美食の都として世界的に名高いフランス・リヨン。(銭形警部もときどきいるよ)
内陸都市であるリヨンには、フランスを代表する大河であるローヌ川・ソーヌ川の魚を利用した魚料理がいくつか存在しています。
その中でも、もっとも有名なものが「クネル」。
簡単にいうと「つみれのグラタン」みたいな感じです。本当はノーザンパイクを使って作るんですけど、今は海産魚なんかも使うようですね。
高級料理というよりはいわゆる家庭料理で、駅前のビストロとかで美味いのが食えます。
15€位するけど、ラグビーボールみたいにデカいので笑えるくらい腹いっぱいになるんだ……。
これを、今回コイに応用してみたいと思います。
まず、コイは皮を剥ぎ、
血合いを切除します。
これをぶつ切りにして、牛乳とブランデーを合わせたものに1時間ほど漬けて臭みを取ります。
溶かしバターと全卵、小麦粉を混ぜて餅状のもの(パナードという)を作ります。
パナードにおける小麦粉の割合が多いと、どっしりと重く腹持ちのいいクネルになります。本場のものはこっち。
逆に卵の割合が高いと、ふわふわとしてはんぺんみたいなクネルになります。日本で好かれるのはこっちだそう。
臭み取りを済ませたコイをフープロですり身にして、パナードと混ぜ合わせます。
これでタネが完成。
これを成形して、沸騰した湯で茹でます。
このとき、2本のスプーンで挟むようにして、ラグビーボール状に成型するのですが、この行為のことを「クネル」というんですね。
さあクネっていきましょう……
……クネれとらんやんけwwww
本場サイズにしようとしたらちっともうまくできませんでした。
このサイズのクネルを作るなら、ニュータンタンメン本舗のレンゲを使わないとうまくできないな……。
中まで火が通ったら、耐熱皿に乗せます。
小鍋にバターを熱し、牛乳を入れて沸騰させ、ホワイトソースを入れてのばします。
リヨンのクネルはこの状態(いわゆるベシャメルソース)でソースとしますが、今回はコイの風味に負けてはならんということでスライスタマネギとマッシュルームを入れてことこと煮ます。
さらにチーズも入れて、モルネーソースにしちゃいましょう。
これを先ほどのクネルの上にたっぷりと掛けて、230度(うちのオーブンのマックス温度)で30分ほどしっかり焼けば
荒川水系コイのクネル、完成!
いただきマース
……(`・〰・´*)
うん、ばっちりですな!
さすがにこれだけやれば、川臭さもゲオ臭さもまったく感じません。
食べごたえがあるし、旨味もしっかりしていてとても美味しい。
後味に若干のコイの風味が残るのが喜ばしいです。
ちょっと小麦粉多すぎてむっちりしすぎかな、次回はもうちょっと卵を多くしましょう。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
匂いさえ何とかなれば、コイもおそるるに足らず。
積極的に利用して、エンゲル係数を減らしつつ河川環境の保全に貢献しましょうぞ。
コメント
前回、今回の記事を読んで「鯉を釣って食べたい」と思ったのですが、鯉のしめかた(あるいは、デカイ淡水魚のしめかた)がよくわかりません。
ネットで調べても、色々な意見があるようで……
教えていただけるとありがたいです。(´・ω・)
前提として「淡水魚は捌くときまで活かしておく」ということがありますが(生臭さが出やすいため)、実際に捌くにあたっては普通の海水魚と一緒で構いません。
コイ目の場合は胆嚢が有毒なのと、内臓が匂うことが多いので、できるだけ傷つけず取り出すのが肝要だと思います。
まああれだ、頭ぱーんとおとして、内臓ずるっと抜いて、お腹の中よく洗えばだいたい大丈夫ですよ!w
前の記事からの疑問なのですが
鯉ってこんな身の色でしたっけ??