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cakesにて茸本朗の連載
「野食ハンターの七転八倒日記」
が始まりました!
野食失敗体験を中心に、ブログとはちょっと違った切り口の記事を公開していく予定です。
合わせてお楽しみいただけると嬉しいです。
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「僕は君を太らせたい」
先日、その予想をはるかに超える旨さで鮮烈な印象を残していった、有明海の「ヤスミ」ことメナダ。
同じような場所に棲息し、同様の食性を持っていると考えられるボラと比較しても、旨味がはるかに強く、一方で表皮や内臓の臭みははるかに弱い(というかほぼない)という、何とも不思議な魚です。
もしかすると、そっくりでも実は食べているものがちょっと違うとか……?
たとえば、中国から同時に移入された食用魚であるハクレンとコクレンは、見た目は似ておりどちらもプランクトンを食べますが、ハクレンは植物プランクトンを、コクレンは動物プランクトンを摂食することが知られています。
ボラとメナダはいずれもデトリタス(海底の泥の中にある微細な有機物)を食べていますが、もしかすると“ボラは藻類が好きで、メナダは小動物が好き”みたいなことがあったりして……
メナダの「へそ」を食べてみる
さて、ボラ科の魚を食べるとき、無視してはいけない「珍味」があります。
それは「へそ」と呼ばれる、胃の幽門部(腸に続く部分)の発達した筋肉。
デトリタスを食べている彼らは、消化に当たり胃の出口をキュッと締めておく必要があるのか、この部分の筋肉が大きく発達してそろばん玉状になっています。
ここが砂肝みたいで美味しいんですね。
ボラをよく食べる地域では、このへそだけまとめて販売されることもあるようです。
メナダもボラ科の一種、このへそが発達しているだろうと思い、傷つけないように丁寧に腸をかき出してみると
ありました。
あれ、でも予想より二回りくらい小さいなぁ。。
今回のメナダは60㎝近い個体ですが、50㎝サイズのボラの方がへそが大きいです。
また、肉質も柔らかく、厚みも少ない様子。
やっぱり、食べているものが違うんじゃないか……という仮説が見えてきますね。
このへそ、前回ボラのものが手に入ったときはそのままスライスして刺身にしましたが、いろいろな文献を見ると「表面を軽く焼いて『タタキ』にするのがよい」というようなことが書いてあります。
ということでやってみました。
軽く焼いて
スライス。
……(`・〰・´)
あーなるほどね。。
先ほど「砂肝みたい」と書きましたが、このへそはコリコリとジャキジャキの中間的な歯ごたえが売りです。
ただ、そのまま食べると歯ごたえが一定で、面白みに欠けます。
しかし表面を軽く焼き締めてあげると、ムチッとした食感がアクセント的に加わり、より食べ応えが出てきます。
わずかな臭みも完全に飛ぶので、それも大事なポイント。
ただ、やっぱりボラのへその方が歯ごたえがあっていいですね。
ここだけはボラの勝ち、ということでいいでしょう。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
「ぜんまい」は……
へそとは別にもうひとつ、気になったのがこの
内臓脂肪ノリノリの腸。
以前、アイゴの同様の腸を「ぜんまい」と呼んで珍重する地域がある、というネタをやりましたが、
見た目だけなら負けていない、メナダのぜんまい。
ワンチャンあるんじゃないかと思い、薄味で煮付けてみましたが……
……溶けた! 完全に!
味:?
価格:無
まあ、藻類食のアイゴと違い、デトリタス食のメナダの内臓はきっと泥まみれで食べれたものじゃないとは思うけど……
でも、次回は内臓脂肪だけでも引っぺがして食べてみたい。絶対旨いと思うんだよね。。
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